残暑に負けない! 秋バテの対策3つ〜薬膳レシピ付き

薬膳の知恵で乗り切る!<後編>

暦の上では秋になっても、まだまだ厳しい残暑が続く今年の夏。ここにきて、からだがだるい、重い、食欲がない、気力がわかない…などと感じている人もいるのではないでしょうか。

これは「秋バテ」のサインです。夏にたまった疲れがどっと出て、朝晩の寒暖差と乾燥が「気」(エネルギー)を消耗し、台風や秋雨前線による気圧の変化が「自律神経」を乱します。そこで、薬膳の知識を取り入れながら、秋バテとそこからくる未病を防ぎ、からだを整える知恵をご紹介します。

❶体力を回復させる

夏の疲れを取り、人間のからだに必要なエネルギーである「気」を補うことで、体力を回復させましょう。気を補う「補気食材」は、穀類やいも・豆類などのホクホク食材やきのこ類。そして疲労回復にはタンパク質とビタミンBの摂取も重要です。豚肉、鶏むね肉、鶏ささみ、サバなどを活用して、元気なからだを取り戻しましょう。

おすすめ料理
サバとさつまいもの炊き込みごはん
…手軽なサバの水煮缶を汁ごと使い、さつまいもと一緒に炊き込んで。タンパク質、ビタミンBを摂取し、エネルギーを補える簡単ごはんです。

サバとさつまいもの炊き込みごはん

<材料>
サバの水煮缶詰……1缶(190g)
さつまいも……200g
米……2合
酒……大さじ1
塩……小さじ1

❷乾燥を防ぐ

夏から秋に移り変わる時期のことを「温燥(※1)」といいます。まだ日中は暑いため、からだにこもる熱を取りながら、秋の天敵である「乾燥」を防ぐことが重要です。中医学的には、秋は「肺」をケアしなければいけないとされています。肺は胃腸と一緒に「気」をつくり、肌をうるおし、からだの免疫機能を守る大切な臓器。乾燥は「肺」の機能を低下させます。夏のように汗をかかないので、喉の渇きを感じにくくなり、水を飲まずに放置しておくと、からだの中が乾き、便秘やドロドロ血の原因にもなります。

からだにうるおいを与える食材は、白い食材。梨、大根、れんこん、山芋、白ごま、白きくらげ、百合根、イカ、牡蠣、はちみつなど。

※1 温燥(おんそう)…中医学では、秋の前半を「温燥」、後半を「涼燥」と呼び、区別する。温燥は夏の暑さが残っている状態に秋の乾燥が加わるという特徴があり、からだのうるおいが不足状態になるといわれている。

おすすめ料理
きのこの白和え
…きのこ類はゆでておき、すべての材料をビニール袋に入れて手で潰すようにしながら混ぜ合わせます。

きのこの白和え

<材料>
木綿豆腐……1/2丁
しいたけ……2個
しめじ……1/2パック
白練りごま……小さじ2
はちみつ……小さじ1
塩、しょうゆ……少々

❸自律神経を整える

気圧の変化、ストレスなどが原因で自律神経が乱れると、不眠、疲労感、頭痛、肩こりなどさまざまな不調を感じます。中国の古書は、秋の養生として、「早く寝て、早く起きる」ことを推奨しています。夜は半身浴をしてゆっくりからだを休ませて、早寝早起きを習慣に。

からだにうるおいを与えながらもイライラを取り除く小松菜は、積極的に取り入れたい食材。また、アミノ酸の一種GABAが豊富な発酵食品は、腸内環境を整え、心を落ち着かせる効果があります。

おすすめ料理
小松菜と鶏肉の玉ねぎ麹豆乳スープ
…うるおいを補う豆乳を使った、栄養バランスのいいスープ。水と玉ねぎ麹で鶏肉を煮て、火を通したあと、豆乳、小松菜を加えます。

小松菜と鶏肉の玉ねぎ麹豆乳スープ

<材料>
小松菜……1/2束
鶏もも肉……1/2枚
玉ねぎ麹……大さじ2
(玉ねぎのみじん切りに麹、塩、水を加え、毎日かき混ぜて1週間ほどで出来上がります。味噌で代用してもOK)
水……400ml
豆乳…… 400ml

  • 橋本加名子(はしもと かなこ) 料理研究家、栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。タイ料理、ヴィーガンタイ料理、和食、発酵の料理教室「おいしいスプーン」を主宰。『老けない体をつくる! たんぱく質の10分おかず』(ART NEXT)ほか著書多数。新刊『魔法の万能調味料 玉ねぎ麹レシピ』(河出書房新社)が好評発売中。食べてからだを調える「養生・ベジ発酵薬膳クラス」、「ヴィーガンタイ料理・ベジタイ指導者クラス」各9月からスタート。
    サイト:「おいしいスプーン」oishi-spoon.com
    Instagram:kanakohashimoto1
文・写真/橋本加名子(料理研究家、国際薬膳調理師・栄養士)
デザイン/WATARIGRAPHIC