「腸むくみ」と食事の深い関係

特集/むくみの正体に迫る!

先生/小林弘幸(順天堂大学医学部附属 順天堂医院
総合診療科・病院管理学 教授)

「腸むくみ」と食事の深い関係

夕食を食べる時間に注意!

むくみ腸の改善法については、前回お話ししましたが、むくみの原因となる私たち女性がやってしまいがちな行動が、まだまだあるのだとか。さらなる美腸を目指すなら、知っておきたい!

善玉菌である乳酸菌やガセリ菌、そして善玉菌のエサとなる食物繊維を補うだけでなく、食べる時間にも気をつければ完璧。腸のぜん動運動副交感神経が支配しているわけですが、夕食後すぐに寝てしまうと交感神経が優位になったままで、副交感神経にシフトチェンジされないのです。そうなると当然、消化・吸収も不十分になるため、脂肪として蓄積されてしまいます。夕食と就寝は、最低でも3時間はあけましょう。

朝食、昼食、夕食の間を各6時間あけるのが理想ですが、夕食を午後6時前後に食べるのは、会社勤めをしているとなかなか難しいと思います。ですが、健康的にやせたいなら、なるべく早い時間に食べる、21時以降に食べる場合は食事の量を半分にする、などの工夫も必要です。

夏は冷たいものをついとりすぎてしまいますが、胃腸が冷えると副交感神経が働きづらくなります。1杯くらいなら...という油断が習慣化を招くので、今年の夏はぜひ冷たいものを絶ってみてください。

腸が喜ぶことをすれば、気持ちもハッピーに!

電車やオフィスでは冷房が効いていますが、寒いと感じた時点で自律神経は乱れてしまうのです。自律神経はストレスに敏感。だから、寒いと感じる前に1枚羽織るなどの対策をしていきましょう。

また、忙しくなると気持ちに余裕がなくなるせいか、呼吸が浅くなってしまいがちですが、深呼吸も副交感神経を高める方法のひとつです。息を吐くことがポイントなので、吸うときの倍の長さで吐いてみてください。

腸に多くの免疫細胞が集まっていることから、からだの免疫機能にとっても重要な役割を担っていることがわかってきていますが、腸には脳と同じ神経細胞があり、幸せホルモンと呼ばれるセロトニンの約90%は腸管でつくられていることは意外と知られていません。腸が喜ぶことをすれば、気分もよくなるのですから、もっと積極的に自律神経のバランスと腸内環境を整えて欲しいですね。

----思っていた以上に、腸は重要な器官だということがわかれば、腸が喜ぶことをもっとしたくなるはずです。美と健康のために、むくみのない腸を目指しましょう!
小林弘幸

小林弘幸 順天堂大学医学部附属 順天堂医院 総合診療科・病院管理学 教授。日本初の便秘外来を開設。また、自律神経研究の第一人者として、プロスポーツ選手のパフォーマンス向上指導も行っている。『人生を決めるのは脳が1割、腸が9割!「むくみ腸」を治せば仕事も恋愛もうまく行く』(講談社+α新書)、『自律神経が整う時間コントロール術』(小学館)など著書多数。

取材・文/山崎潤子(ライター)
イラスト/はまだなぎさ