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  • 2023.07.26

初心者も失敗しない、浴衣の選び方・はじめ方

こなれてみえる浴衣着こなし術<前編>

初心者も失敗しない、浴衣の選び方・はじめ方

「新しい日本文化の創造」をコンセプトに、日本の四季や風情をポップに表現したものづくりを行う京都発ブランド<SOU・SOU>。和服や小物、さらには和菓子や家具まで多岐に渡るアイテムを展開し、世代や年齢、国籍を超えて、多くの人気を集めています。
花火大会や夏祭りが久しぶりに開催され、浴衣を着てお出かけする機会も増えそうな今年の夏。夏に数回しか着ない浴衣だけに、着付けを忘れてしまっていたり、なにを買えばいいのか分からないと迷ったりしている人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、<SOU・SOU>の和装企画を担当されている山本聖美さんに、浴衣の選び方や着慣れていない人でも粋に見える着こなしの簡単なコツを教えていただきます。前編では、浴衣の選び方や着付けに必要な小物類、そして気になる下着の選び方まで、お話を伺いました。

楽しいのは帯選び! 帯の選び方で浴衣の雰囲気は変わります

浴衣を着るときに悩ましいのが浴衣と帯の組み合わせ。「この浴衣には何色の帯を合わせるのが正解?」と迷ってしまう人も多いようです。「浴衣と帯の組み合わせは、“浴衣のベース色の反対色を合わせる”、“同系色でまとめる”の2つが定番です」と山本さん。一着の浴衣でも合わせる帯を変えることで、がらりと雰囲気の違った着姿にできるそう。「帯を何本か用意して、気分やお出かけするイベントに合わせて雰囲気を変えてみるのもおすすめです」

楽しいのは帯選び! 帯の選び方で浴衣の雰囲気は変わります

浴衣の反対色にあたる色の帯を合わせると、コントラストがはっきりとして華やかな印象に仕上ります。紺×黄色は、浴衣では定番の色合わせ。落ち着いた印象の紺の浴衣が、黄色の明るさによって華やいだ雰囲気になります。

ちょっと大人っぽい雰囲気にしたいなというときは、浴衣と同系色を選ぶのがおすすめ。全身に統一感が出てすっきりまとまります。

可愛い印象になる紺×赤の組み合わせ。明るい赤が苦手な人は、えんじ系の赤を合わせてみて。落ち着いているのに愛らしい「大人可愛い」浴衣スタイルが完成します。

万能なのは意外にも白い帯! 白帯で着こなしの幅を広げよう

涼しげで上品な印象を与えてくれる白帯は1本持っていると便利。「何色にも馴染む品のある色合いが、それぞれの浴衣の魅力をぐっと引き立ててくれます。真っ白よりも、まろやかな乳白色や生成り色がより合わせやすくておすすめです」

万能なのは意外にも白い帯! 白帯で着こなしの幅を広げよう

落ちついた雰囲気の紫色の浴衣を、白帯で品よくまとめました。帯柄の赤がアクセントになって、ぐっと大人っぽい表情に仕上ります。

パステルカラーの菊の花が愛らしい、涼し気な配色の浴衣に合わせて。地色と帯の色をリンクさせることで華やぎを残しつつ軽やかな印象に。

爽やかなグリーンやブルーをベースにした浴衣に合わせると、白のクリーンさがより際立ち、清涼感のある装いが完成します。

浴衣のときの下着選び、どうすればいい?

浴衣のときの気になるインナー問題。どんなものを身に着けておけばいいのでしょうか。

浴衣のときの下着選び、どうすればいい?

「和装用の下着があればベストです。が、用意できない場合は、薄手でフィット感のあるカップ付きのタンクトップやキャミソールなど、手持ちのもので代用してみてはいかがでしょうか。また、足元のカバーのためにステテコやひざ下丈のインナーをはいておくのもおすすめです。ステテコはショーツの透けの予防になり、汗も程よく吸収してくれます。また、長時間のお出かけで着崩れてしまった…という時でも素肌が見えないので安心感があります」

着付けに必要なものを揃えよう

着付けに必要なものを揃えよう

浴衣の着付けに必要なものは意外とシンプル。
「私が浴衣の着付けに用意しているのは、帯板と伊達締め、腰ひも2本、タオル、あと衿の形をきれいにキープしたい場合は、衿芯も用意しています」と山本さん。

衿芯とは、浴衣の衿部分に通す着ける板状の芯のこと。

衿芯とは、浴衣の衿部分に通す着ける板状の芯のこと。

「浴衣の衿は畳むときの折り目などで内側に折れやすく、着崩れしやすい部分。衿芯を通しておくことで生地がシャンと張って、きれいな形をいつまでもキープすることができます。浴衣を大人っぽく着たい、浴衣できちんと感を出したいという人には、ぜひおすすめしたいですね」

衿芯は、浴衣を着る前に衿裏から通しておきましょう(衿裏が閉じられている場合は、その部分のしつけを解いて通します)

肌着を着用したあと、胸とお腹の段差やウエストのくびれをなくすようにタオルを腰に巻き、その上から腰ひもを巻きます。

浴衣は直線に仕立てられているので、できるだけからだの凹凸が少ない方がきれいに着付けることができます。

「タオルはからだのラインを真っ直ぐに整える補正役として使用します。体型によっては必要でない場合も。使用する場合はタオルの枚数で厚みを調整してください。厚手のタイプだとごわついてラインが崩れてしまうので、粗品でもらえるような薄手のものがおすすめです」

「肌着を着用したあと、胸とお腹の段差やウエストのくびれをなくすようにタオルを腰に巻き、その上から腰ひもを巻きます。補正をすることでシルエットが整うだけでなく、着崩れ防止やウエスト部分の汗ジミ対策、腰ひもの食い込みなどの緩和にも役立ちます」

浴衣の基本と必要なアイテムが分かったらいよいよ着付け!
後編では、着付けのポイントと小物選びについてお話を伺います。

  • 山本聖美さん
  • 教えてくれた人/山本聖美さん <SOU・SOU>企画室・企画主任。「衣食住のなにかに携わる仕事がしたい」と、京都老舗呉服店で経験を積み、2009年に<SOU・SOU>に入社。テキスタイル管理からほぼすべてのアイテムの企画・デザインを手掛ける。自身も和装好きで、最近のお気に入りは京絞りの浴衣。
取材・文/下川あづ紗
撮影/わたなべよしこ
構成/梅原加奈
デザイン/WATARIGRAPHIC