• Fashion
  • 2023.08.02

浴衣を粋に着こなすコツは、着方と小物使いにあり!

こなれてみえる浴衣着こなし術<後編>

粋に着こなすコツは、着方と小物使いにあり!

気温もぐんぐん上昇し、いよいよ夏本番。今年は、花火大会や夏祭りが復活して浴衣を着てお出かけする機会が増えそうですね。せっかく浴衣でお出かけするなら、コーディネートも今年らしくアップデートしたい! と考えている人も多いのではないでしょうか。今回<SOU・SOU>の和装企画を担当されている山本聖美さんに、浴衣の選び方や着慣れていない人でも粋に見える着こなしの簡単なコツを教えてもらいました。後編では、こなれて見える浴衣の着付けのポイントや小物合わせについてお話を伺います。

浴衣のこなれ感は衿と裾でつくるのが基本

浴衣の着付けは「衿袷せと裾合わせが肝心」と言われているそう。
ここでは、こなれて見える衿&裾のワンポイントを教わります。

【浴衣姿の印象を左右する、最重要ポイントが衿合わせ】
OK例

衿は胸の1番高いところを通るように交差させるのがコツ。交差部分は、鎖骨と鎖骨の間のくぼみを目安にクロスさせてみましょう。

「衿は胸の1番高いところを通るように交差させるのがコツ。交差部分は、鎖骨と鎖骨の間のくぼみを目安にクロスさせてみましょう。また、首の横に少し空間をつくって衿は当たらないように調整すると、こなれて見える上に着ごこちも涼しいです。衿は詰まりすぎると子供っぽく見えてしまい、開きすぎるとだらしない印象に。鏡を見ながらパランスを調整し、左右の身頃を深く合わせてすっきりと見せましょう」

衣紋(抜いた部分)は、こぶしひとつ分程度が目安です。衿芯を入れておくと衿がくたっとならず、よりきれいで大人っぽい印象に仕上ります

「衣紋(抜いた部分)は、こぶしひとつ分程度が目安です。衿芯を入れておくと衿がくたっとならず、よりきれいで大人っぽい印象に仕上ります」

これだとNG!

衣紋が詰まっていて交差の角度も浅く着付けてしまうと、首の横は詰まっているのに胸元はややだらしない印象に。首が短く顔が大きく見えてしまうので注意が必要です。

衣紋が詰まっていて交差の角度も浅く着付けてしまうと、首の横は詰まっているのに胸元はややだらしない印象に。首が短く顔が大きく見えてしまうので注意が必要です。

【浴衣の裾はすぼまっていると美しい印象に】
OK例

浴衣の裾がきゅっとすぼまった「裾すぼまり」の状態になっているのが、和装美人の証しといわれています。

浴衣の裾がきゅっとすぼまった「裾すぼまり」の状態になっているのが、和装美人の証しといわれています。

裾すぼまりにするためには、下前を合わせるときに浴衣の裾の角の部分を裾線から15cmほどしっかりと上げることが肝心。腰ひもを締めた後に上前の裾を開き、下前の裾の角がきちんと上がっているか確認しましょう。
「裾がすぼまっていることで着やせして見えたり、後ろ姿がきれいに整ったりというメリットもあるんです。キリッと粋な装いを目指してみましょう」

これだとNG!

裾丈が長く、裾線が真っ直ぐだとちょっと野暮ったい印象に見えてしまいます。浴衣を着る際の裾線は、くるぶしの下ぐらいを目安に合わせてみて。

裾丈が長く、裾線が真っ直ぐだとちょっと野暮ったい印象に見えてしまいます。浴衣を着る際の裾線は、くるぶしの下ぐらいを目安に合わせてみて。

バッグ&小物選びも大事なこなれポイントです

浴衣でお出かけするときに、どんなバッグを持ったらいいのか迷ってしまう人も多いはず。

「浴衣姿には、スッキリと小ぶりなバッグが可愛いと思います。荷物は必要最低限のものを厳選して、粋にお出かけしたいですね」

バッグ&小物選びも大事なこなれポイントです

夏らしいかごバッグは、浴衣にも合わせやすいアイテム。透かし編みも涼しげな印象で、内袋の色や柄によって雰囲気を変えられるのも魅力です。写真は、山本さんが実際に浴衣でお出かけする時に持っていくアイテムたち。

「バッグの中にすっぽり収まり、パンパンに膨らんで見えない物量が理想的。財布は小さいものに替えて、スマホなどの必需品のほかには、少しのメイクグッズ(リップや手鏡、コームなど)、暑さ対策の扇子と手ぬぐいを用意。夏祭りで食事を楽しむときは、ウェットティッシュもあると便利です」

そのほかにおすすめのバッグはこちら。

そのほかにおすすめのバッグはこちら。

「手ぬぐいなどの綿生地で仕立てた小巾折は、街歩きやカジュアルなお出かけに。小さく折り畳めるので、サブバッグとしてバッグに入れておくのもおすすめです。斜めがけできるポシェットタイプのがま口は、両手があくので夏祭りや夜店を楽しみたい時にぴったり。華奢なストラップで和装にも合わせやすいです。マチのあるしっかりとした作りのバッグは、ややきちんとした印象。ちょっとした会食の場にも対応できます」

最近増えているのが、浴衣に洋装の小物を合わせるアレンジ。なかでも帽子は、浴衣とも相性がよく、比較的取り入れやすい組み合わせです。

最近増えているのが、浴衣に洋装の小物を合わせるアレンジ。なかでも帽子は、浴衣とも相性がよく、比較的取り入れやすい組み合わせです。

「帽子は目を引くアイテムなので、それだけでおしゃれ度が上がります。カンカン帽や麦わら帽子で夏らしく、ベレー帽ならちょっぴりレトロ可愛い印象に。ストローや和紙など、涼やかな素材を合わせると夏らしく、よりまとまった印象に仕上がると思います」

肌着を着用したあと、胸とお腹の段差やウエストのくびれをなくすようにタオルを腰に巻き、その上から腰ひもを巻きます。

かごバッグや帽子など、華がありつつもシンプルな小物類は、和装だけでなく普段のコーディネイトにも使えるのがうれしいところ。いろんな着こなしに合わせて自分らしいおしゃれを楽しんでみて。

いかがでしたか? 着付けや小物合わせなど、少しのポイントをマスターすればおしゃれに差がつく“大人の浴衣スタイル”が誰にでも作れます。イベントのときだけでなく、夏のおしゃれ着としてちょっとしたお出かけにも気軽に取り入れて、涼やかで楽しい夏を過ごしましょう。

  • 山本聖美さん
  • 教えてくれた人/山本聖美さん <SOU・SOU>企画室・企画主任。「衣食住のなにかに携わる仕事がしたい」と、京都老舗呉服店で経験を積み、2009年に<SOU・SOU>に入社。テキスタイル管理からほぼすべてのアイテムの企画・デザインを手掛ける。自身も和装好きで、最近のお気に入りは京絞りの浴衣。
取材・文/下川あづ紗
撮影/わたなべよしこ
構成/梅原加奈
デザイン/WATARIGRAPHIC