始めようと思ったタイミングでいつでもスタートできるのがランニングのいいところですが、最初におさえておきたいことやカラダのケアなど、不安に思うことも。ワコールボディブックに以前寄せられたランニングに関する質問に、神野大地さんが答えてくれました。
ランニングのモチベアップアイテムとは?
Q. ランニング初心者のウェアやシューズの選び方のコツはありますか?

難しいことは考えずに、ぜひ「形から入ってほしい」ですね。気に入ったデザインのシューズやウェアは、ランニングを続けるモチベーションにつながりますから。最初は、ショップに行ってスタッフに自分に合ったレベルのものを相談してみてください。その中から、好きな柄や色、生地感やクッション性の好みで選んだものを試着して決めるのが、いい買い物につながると思います。
----モチベーションアップのためにもウェア選びは大事ですね。
せっかくお気に入りのウェアを一式そろえたのに、走り始めてすぐひざを痛めてしまう人の話もよく聞きます。ウェアを買うときにはコンディショニングウェアを一緒に買うのもいいですよ。CW-Xのコンディショニングウェアは、着地のときのひざにかかる負担を緩和したり、運動時の筋肉疲労の軽減も期待できるので、初心者にもおすすめです。
----走るとき、スマホなど小物はどうしたらいいでしょうか?

持ち歩くものは最小限で、なるべく身ひとつで走っている感覚があるほうが快適ですよね。僕は、CW-Xの内側についた小さなポケットに小銭を入れています。
最近はランニングパンツの腰部分にポケットがついているタイプも多いのですが、腰背部のポケットは重さが左右に偏らず、入れたことを忘れてしまうくらい快適ですよ。長い時間走る人は、カラダに密着するザックを活用するのもいいですね。
筋肉痛をやわらげるためのポイント
Q. 走る前と後のウォーミングアップとクールダウンの効果的なやり方とは?
走る前は、筋肉をあたためて、関節の可動域を広げ、心拍を上げていく「動的ストレッチ」がおすすめです。走ったあとは、疲れが取れやすいからだにするために、ゆっくりとカラダを伸ばしてそのまま維持する「静的ストレッチ」を行ってください。
静的ストレッチを走る前にする人もいますが、筋肉を伸ばすのは走ったあとに。走る前はからだの内側からあたためることが大事です。「動的」と「静的」が逆にならないように気をつけてくださいね。
----具体的にはストレッチはどんなことをすればいいですか?
動的ストレッチのポイントは、ランニングに近い動作を繰り返し行うことです。肩甲骨を回す動きをしておけば、ランニング中に腕振りがしやすくなりますし、太ももを上げるときに使う腸腰筋を何度も上げておくとスムーズに走り出せます。

「左右20回ほどが目安です」と神野さん。
静的ストレッチは、太ももやハムストリングス、腕などゆっくりとした動作で伸ばしたままの姿勢を保持することがポイント。


Q. 筋肉痛の解消法はありますか?
生活に支障をきたすほどの筋肉痛は安静にしたほうがいいですが、走ったあとの筋肉痛ならば、からだを休めるよりも再び走ると治ることが多いですよ。筋肉痛を考えても、コンディショニングウェアはメリットがあると思っています。CW-Xは、テーピングの原理で筋肉をサポートしてくれるので、運動時の筋肉の疲労を軽減してくれる効果が期待できます。
あとは、あたたかいお湯と冷水に交互に浸かる交代浴をよく行っています。血の巡りをよくして筋肉痛をやわらげてくれるので、ハードな練習をした日や大会後は、交代浴をしたあとにストレッチで伸ばしています。
ラン前は面倒でも「走ってよかった」が待っている
Q. 長距離を走るために効果的な運動量とは?

ランニング初心者の方のなかには「5kmは走らないとランニングとは言えないですよね…」と思い込んであきらめてしまう人もいるのですが、そんなにハードルを上げなくても大丈夫ですよ。たとえば、2分走って2分歩く、これだけでもランニングです。
そもそも2分もきついという方は、手を大きく振って大股で歩くだけでも心拍数は上がりますから、そこから始めるのでもいいでしょう。慣れてきたら2分走って2分歩く、無理なくできたら5分走って5分歩く、その次は10分…と少しずつ段階的にレベルを上げていってください。
Q. フォームづくりのコツはありますか?
フォームがかっこいいと思う人を見つけて、その姿をイメージして走ってみるといいでしょう。ただし、自分のフォームを客観的に捉えるのは難しいので、動画で撮ってもらうのもおすすめ。イメージしているフォームと実際との違いがわかりやすいので、ぜひやってみてください。
あとはチームに入って走るのも楽しいですよ。初心者でも参加できますし、自分だけでは気づきにくいフォームのクセを教えてもらうこともできます。チームに入るよさはそれだけではありません。ランニングってやっぱり「やりたくないな」と感じる日もあるんですよね。そんなときに仲間がいると走るモチベーションになります。
走る前はどんなに面倒でも、走り終えたら「走ってよかった!」となることは僕が保証します(笑)。ぜひ、ウェア選びや仲間づくりなども含めてランニングを楽しんでほしいです。
- 神野大地 中学校から陸上を始め、中京大中京高校から青山学院大学に進学。大学3年生のときに箱根駅伝往路5区で区間新記録を樹立、“3代目山の神”として駅伝ファンに親しまれる。プロランナーに転向し、2019年アジア選手権マラソン優勝等さまざまな実績をあげる。現在は、世界大会での活躍を目指して日々トレーニングに励むかたわら、MABP陸上部プレイングマネージャーとして、選手を導く役割も担う。
撮影/高木亜麗
デザイン/WATARIGRAPHIC