歯科医師・小林瑠美さん「美しい歯は健康な<からだ>から」<前編>

特集/ニューノーマル時代のマウスケア

語り/小林瑠美さん(「ルカデンタルクリニック」院長)
小林瑠美さん

女性医師ならではの目線を生かした患者に寄り添うアドバイスで、数々のメディアでも活躍中の歯科医師・小林瑠美さん。開業医として忙しい毎日を過ごしながらも、常にキラキラとしたポジティブな空気を発している、その美と健康の秘訣をうかがいました。

お口の中を見れば健康状態がわかります

患者さんのお口の中を拝見すると、だいたい、普段よく食べているものや、からだの調子もわかります。漢方でも「舌診(ぜっしん)」といって、舌の状態で健康状態を見ますが、それと同じで、お口の中の粘膜の様子で、「免疫が下がっているんじゃないですか」「アレルギー症状が出てませんか」「貧血気味では?」なんて、歯のことだけでなく、体調についてもお話しすることがあります。粘膜って、口から喉や肺や胃、大腸まで、ずっとつながっていますから、からだに何かしらの症状があれば、それは口の中に現れてくるんです。

逆にいえば、からだを整えれば、お口の中の環境もよくなっていく。だから、私自身がハマっている腸活を、患者さんにおすすめすることもあります。歯ブラシを選んだり、歯の磨き方をアドバイスしたりするのと同じように、乳酸菌のサプリメントをすすめたり、食事指導をしたりもするんです。

私の腸活は、まず、キムチや納豆などの発酵食品を積極的に食べること。食事では、イチゴやキウイ、りんごなどに含まれる水溶性の食物繊維をとります。ゴボウなどの硬い食物繊維は、便の骨組みをつくり、形を整えてくれるのですが、そればかりでは、便が固くなってしまう。水溶性の食物繊維で便をふんわりとさせることで、つるんとスムーズに排出されるんです。腸内環境が改善されれば、歯や歯ぐき、からだ全体も、よくなっていきます。

乳酸菌やビタミンのサプリメントも利用

腸活には、サプリメントも併用しています。私が飲んでいるのは、ビタミンCとビタミンD、そして乳酸菌のサプリメント。

乳酸菌には、動物由来のものと、植物由来のものがあります。さらに、生きている菌か死んでいる菌か、ということもある。そして、どの乳酸菌が合うかという、自分のからだとの相性もあるんですね。

相性が合わない乳酸菌だと、せっかく摂取しても吸収されずに出てしまったりします。自分に合った乳酸菌を見つけるためには、同じものを2週間続けてみる。

肌の調子がいい、便通が整ってきた、花粉症の症状が改善したなどの効果が実感できれば自分と合っているし、何も効果が実感できなければ、菌の種類を変えてみるのもいいかもしれません。

ほかにも、「自分は牛乳を飲むとお通じがよくなる」と思っている方がいますが、それは誤解で、乳糖不耐症による牛乳のアレルギー反応で、下痢をしているだけということもあります。

日本人は農耕民族なので、体質的に植物性のもののほうが合うといわれています。私も、大豆由来の乳酸菌を飲んでいます。

免疫力を高めるビタミンDも、サプリメントで補充します。女性は特に、年齢とともに女性ホルモンのバランスが崩れて骨密度も下がってきますから、それを防ぐためにもビタミンDは積極的にとりたいもの。私は椎茸のエキスを抽出したサプリメントを愛飲しています。

そして、コラーゲンの柱となるビタミンC。血管や肌、歯くぎを健やかに保つコラーゲンは、ビタミンCがなければちゃんとした身になりません。

患者さんにとっては、歯のケアで歯医者に来たのに、腸活やサプリメントの話をされるなんて不思議な感じかもしれませんが(笑)、実際、免疫が上がってくれないと、どれだけ歯ぐきのケアをしても、よくなっていかないんです。デンタルケアが、からだ全体を整えるきっかけになればうれしいですね。(後編に続く)

取材・文/剣持亜弥
撮影/高木亜麗
  • 小林瑠美(こばやし るみ) 2002年日本大学松戸歯学部卒業。鶴見大学歯学部口腔学顔面インプラント科を経て、2014年、東京・南青山に「ルカデンタルクリニック」を開業。株式会社RUGO代表取締役。二児の母でもある。
    TVや雑誌やラジオ、トークショーへの出演も多数。