2022.12.28

【ボディケアツーリズム実証実験・後編】道後の温泉街を浴衣で歩く、2カ月間の総仕上げ

「ボディケアツーリズム実証実験・後編」道後の温泉街を浴衣で歩く、2カ月間の総仕上げ

からだ文化研究プロジェクトが目指している「美しい佇まい」。それを楽しみながら実現するために、科学的メソッドと観光を組み合わせた2カ月間のプログラムが「ボディケアツーリズム」です。実用化に向けての実証実験は今回第2弾。その<前編>では、9人のモニターが参加した2カ月にわたる事前の計測とエクササイズの様子をお届けしました。<後編>では、その成果のお披露目の場となる道後温泉2泊3日に密着。2カ月の成果はどう表れたのでしょうか。

観光スポットめぐり&和装体験の道後旅行

11月中旬、少しずつ紅葉が始まった愛媛県松山市の道後温泉に、モニター9人が集合。2カ月間実践してきたエクササイズの成果をお披露目するのと同時に、参加者にとっては頑張った自分へのご褒美旅でもあります。3日間の予定をざっと紹介すると、ワークショップと観光がミックスされた、「ボディケアツーリズム」ならではの貴重な体験ばかり。

●1日目
道後に到着し、過去2回の計測結果の比較をフィードバック。2カ月のからだの変化を知る。
その後、浴衣に着替えて能舞台へ。
舞踊家・梅川壱ノ介さんによるワークショップ。

●2日目
浴衣姿で写真映えするスポットを巡る。
その後、歩き姿をドローン撮影。
ランチの後、ドローン映像を見ながら振り返り座談会。
以降、フリータイム。

●3日目
フリータイムで湯めぐりや観光をした後、帰路へ。

全員初めての日本舞踊にチャレンジ

到着してすぐの計測結果フィードバックでは、2カ月前と先週とでよい変化があった人が大多数。立ち姿・歩き姿に安定感が出て、エクササイズによって「軸づくり」ができただけでなく、見た目にスッキリ感を感じている人も多くいました。

そして夕方から、ここでしかできない体験のひとつ、舞踊家・梅川壱ノ介さんのワークショップ。「立つ・座る・歩く・おじぎする」などの日常動作の基本を、日本舞踊を通じて気づき、日常に取り入れていけるようになるのが、目的です。梅川さんの舞を目の前で鑑賞できて、さらには2カ月で身に着けてきた基本の動きを取り入れた(梅川さん振り付けによる)日本舞踊を指導してもらえるというもの。梅川さんの日本舞踊『君が代松竹梅』をうっとり鑑賞したあと、モニターたちが全員参加で『おぼろ月夜』に挑戦。もちろん、みんな日本舞踊は初体験。すり足や袖の使い方、目線の動かし方、おじぎの仕方など、難しい動作はありつつも、「基本ができているから、習得が早い!」と、梅川さんからお褒めの言葉をいただきました。

「おじぎで始まりおじぎで終わる」と梅川さん。おじぎでも「間(ま)」を大事にすると、美しく見えると教えてもらいました。 「おじぎで始まりおじぎで終わる」と梅川さん。おじぎでも「間(ま)」を大事にすると、美しく見えると教えてもらいました。 繰り返し練習するうちに、様になってきたモニターたちの舞。『おぼろ月夜』で歌われている情景を頭に浮かべながら、目線や表情まで細やかに表現できるように。 繰り返し練習するうちに、様になってきたモニターたちの舞。『おぼろ月夜』で歌われている情景を頭に浮かべながら、目線や表情まで細やかに表現できるように。 大和屋本店の能舞台では、定期的に能の公演を開催。浴衣や足袋、能面などの貸し出しもあり。舞台中央では浴衣姿で記念撮影。その姿も自然と決まります。 大和屋本店の能舞台では、定期的に能の公演を開催。浴衣や足袋、能面などの貸し出しもあり。舞台中央では浴衣姿で記念撮影。その姿も自然と決まります。

道後の観光名所に華やかな浴衣が映える

2日目は、「きれいな動作」を記録するべく、プロのカメラマンによる記念撮影からスタート。浴衣も2日目となると、立ち姿・歩き姿に自信も生まれてくるものです。「みなさん確実に、所作が美しく変化していますね」と、エクササイズを指導してきた山本邦子先生も笑顔いっぱい。

一同が訪れたのは、写真映えするスポットとして知られる「ハダカヒロバ」、駅前のからくり時計、坊っちゃん列車など、道後観光には外せないスポット。仲間で集まって撮影したり、お互いを撮り合ったりしつつ、ポーズを決める姿もいつのまにか様になっていました。そして、場所を移動するときの歩き姿も堂々と美しく、道ゆく人たちも振り返るほど。

今回の浴衣は、自前のものを持参した人やレンタルした人などさまざま。下駄や髪飾り、マスクにつけるアクセサリーまでトータルにコーディネイトして華やかに。今回の浴衣は、自前のものを持参した人やレンタルした人などさまざま。下駄や髪飾り、マスクにつけるアクセサリーまでトータルにコーディネイトして華やかに。 記念撮影をした飛鳥乃湯泉中庭(通称・ハダカヒロバ)では、写真家で映画監督の蜷川実花さんの作品を展示中(道後温泉別館 飛鳥乃湯泉中庭インスタレーション)。浴衣の色柄も溶け合ってひとつの作品のよう。記念撮影をした飛鳥乃湯泉中庭(通称・ハダカヒロバ)では、写真家で映画監督の蜷川実花さんの作品を展示中(道後温泉別館 飛鳥乃湯泉中庭インスタレーション)。浴衣の色柄も溶け合ってひとつの作品のよう。 浴衣の上の羽織は、「美しく歩く」ことを目的に、ワコールとファッションデザイナー坂寄順子さんとの共同プロジェクトで作成された。2wayで着られて、洋服にも合わせることができる。浴衣の上の羽織は、「美しく歩く」ことを目的に、ワコールとファッションデザイナー坂寄順子さんとの共同プロジェクトで作成された。2wayで使えて、洋服にも合わせることができる。 道後駅前にある「坊ちゃんカラクリ時計」も道後を代表する撮影スポット。30分ごとに、夏目漱石の小説『坊ちゃん』のキャラクターが動き出す。すぐ隣には足湯もあり。道後駅前にある「坊ちゃんカラクリ時計」も道後を代表する撮影スポット。30分ごとに、夏目漱石の小説『坊ちゃん』のキャラクターが動き出す。すぐ隣には足湯もあり。 道後駅前の名物「坊っちゃん列車」を背景に、山本邦子先生(中央)と撮影。道後駅前の名物「坊っちゃん列車」を背景に、山本邦子先生(中央)と撮影。 街中をひととおり歩いた後、道後の老舗旅館「ふなや」の庭園で歩行の最終確認。これをドローンから撮影し、このあと鑑賞。街中をひととおり歩いた後、道後の老舗旅館「ふなや」の庭園で歩行の最終確認。これをドローンから撮影し、このあと鑑賞。 街中をひととおり歩いた後、道後の老舗旅館「ふなや」の庭園で歩行の最終確認。これをドローンから撮影し、このあと鑑賞。
ランチはホテル「茶波瑠(ちゃはる)」のランチブッフェを堪能。ランチはホテル「茶波瑠(ちゃはる)」のランチブッフェを堪能。

自信がついて、素敵な空気感が生まれた

「堂々と」「美しく」変化したことを客観的に確認できたのが、ランチ後に行われた、歩き姿のドローン撮影動画鑑賞会でした。

ランチの後、デザートとお茶をいただきながら、ひとりずつ撮影したドローン映像の鑑賞と座談会。ホテル「茶波瑠」にて。 ランチの後、デザートとお茶をいただきながら、ひとりずつ撮影したドローン映像の鑑賞と座談会。ホテル「茶波瑠」にて。

ひとりずつドローン映像を鑑賞したあと、2カ月間のプログラムを振り返ってコメント。「エクササイズが続けられるか心配だった」と本音がこぼれつつも、「続けてよかった」「からだが変わっていくのがわかった」「体幹への意識が高まった」など、効果を実感する言葉が続々と。

ひとりずつドローン映像を鑑賞したあと、2カ月間のプログラムを振り返ってコメント。

散会後も、「せっかく浴衣を着たのだから」「きれいに歩けるようになったんだから」と、あちこちで写真を撮る参加者たち。そして写真やツアーの感想を交換しあいながら、「美しい佇まい」だけでなく、「同じ目的をもつ仲間づくり」というまた別の成果も得られたようです。

からだに向き合うことで、気持ちも変化していく。でも、からだに向き合うことはよいとわかっていても、きっかけが難しいもの。浴衣で自然にきれいに歩けることを目指した今回の取り組みは、ひとつのきっかけとなり、モニターさんたちに、からだに向き合うことの大切さを実感してもらえた取り組みとなりました。

撮影/善家宏明
デザイン/WATARIGRAPHIC

新着記事

「美しい佇まい」を全身でパフォーマンス。協力し合う筋肉を音とダンスと衣装で魅せる

2023.05.18

「美しい佇まい」を全身でパフォーマンス。協力し合う筋肉を音とダンスと衣装で魅せる

呼吸専門サロン体験レポート/「息を吐く」にフォーカスすると、からだが変わる! 生活が変わる!

2023.04.27

呼吸専門サロン体験レポート/「息を吐く」にフォーカスすると、からだが変わる! 生活が変わる!

作家・小野美由紀さん×ワコール/SF小説『私の、美しい皮膚』Vol.3

2023.04.13

作家・小野美由紀さん×ワコール/SF小説『私の、美しい皮膚』Vol.3

作家・小野美由紀さん×ワコール/SF小説『私の、美しい皮膚』Vol.2

2023.04.06

作家・小野美由紀さん×ワコール/SF小説『私の、美しい皮膚』Vol.2