
からだ文化研究プロジェクトが目指している「美しい佇まい」。それを楽しみながら実現するために、科学的メソッドと観光を組み合わせた2カ月間のプログラムが「ボディケアツーリズム」です。実用化に向けての実証実験は今回第2弾。その<前編>では、9人のモニターが参加した2カ月にわたる事前の計測とエクササイズの様子をお届けしました。<後編>では、その成果のお披露目の場となる道後温泉2泊3日に密着。2カ月の成果はどう表れたのでしょうか。
観光スポットめぐり&和装体験の道後旅行
11月中旬、少しずつ紅葉が始まった愛媛県松山市の道後温泉に、モニター9人が集合。2カ月間実践してきたエクササイズの成果をお披露目するのと同時に、参加者にとっては頑張った自分へのご褒美旅でもあります。3日間の予定をざっと紹介すると、ワークショップと観光がミックスされた、「ボディケアツーリズム」ならではの貴重な体験ばかり。
●1日目
道後に到着し、過去2回の計測結果の比較をフィードバック。2カ月のからだの変化を知る。
その後、浴衣に着替えて能舞台へ。
舞踊家・梅川壱ノ介さんによるワークショップ。
●2日目
浴衣姿で写真映えするスポットを巡る。
その後、歩き姿をドローン撮影。
ランチの後、ドローン映像を見ながら振り返り座談会。
以降、フリータイム。
●3日目
フリータイムで湯めぐりや観光をした後、帰路へ。
全員初めての日本舞踊にチャレンジ
到着してすぐの計測結果フィードバックでは、2カ月前と先週とでよい変化があった人が大多数。立ち姿・歩き姿に安定感が出て、エクササイズによって「軸づくり」ができただけでなく、見た目にスッキリ感を感じている人も多くいました。
そして夕方から、ここでしかできない体験のひとつ、舞踊家・梅川壱ノ介さんのワークショップ。「立つ・座る・歩く・おじぎする」などの日常動作の基本を、日本舞踊を通じて気づき、日常に取り入れていけるようになるのが、目的です。梅川さんの舞を目の前で鑑賞できて、さらには2カ月で身に着けてきた基本の動きを取り入れた(梅川さん振り付けによる)日本舞踊を指導してもらえるというもの。梅川さんの日本舞踊『君が代松竹梅』をうっとり鑑賞したあと、モニターたちが全員参加で『おぼろ月夜』に挑戦。もちろん、みんな日本舞踊は初体験。すり足や袖の使い方、目線の動かし方、おじぎの仕方など、難しい動作はありつつも、「基本ができているから、習得が早い!」と、梅川さんからお褒めの言葉をいただきました。



道後の観光名所に華やかな浴衣が映える
2日目は、「きれいな動作」を記録するべく、プロのカメラマンによる記念撮影からスタート。浴衣も2日目となると、立ち姿・歩き姿に自信も生まれてくるものです。「みなさん確実に、所作が美しく変化していますね」と、エクササイズを指導してきた山本邦子先生も笑顔いっぱい。
一同が訪れたのは、写真映えするスポットとして知られる「ハダカヒロバ」、駅前のからくり時計、坊っちゃん列車など、道後観光には外せないスポット。仲間で集まって撮影したり、お互いを撮り合ったりしつつ、ポーズを決める姿もいつのまにか様になっていました。そして、場所を移動するときの歩き姿も堂々と美しく、道ゆく人たちも振り返るほど。








自信がついて、素敵な空気感が生まれた
「堂々と」「美しく」変化したことを客観的に確認できたのが、ランチ後に行われた、歩き姿のドローン撮影動画鑑賞会でした。

ひとりずつドローン映像を鑑賞したあと、2カ月間のプログラムを振り返ってコメント。「エクササイズが続けられるか心配だった」と本音がこぼれつつも、「続けてよかった」「からだが変わっていくのがわかった」「体幹への意識が高まった」など、効果を実感する言葉が続々と。

散会後も、「せっかく浴衣を着たのだから」「きれいに歩けるようになったんだから」と、あちこちで写真を撮る参加者たち。そして写真やツアーの感想を交換しあいながら、「美しい佇まい」だけでなく、「同じ目的をもつ仲間づくり」というまた別の成果も得られたようです。
からだに向き合うことで、気持ちも変化していく。でも、からだに向き合うことはよいとわかっていても、きっかけが難しいもの。浴衣で自然にきれいに歩けることを目指した今回の取り組みは、ひとつのきっかけとなり、モニターさんたちに、からだに向き合うことの大切さを実感してもらえた取り組みとなりました。
デザイン/WATARIGRAPHIC