2022.03.30

モデルKIKIさん/自分を縛らず、自由に。素のままの美しい佇まいに惹かれます

モデルKIKIさん/自分を縛らず、自由に。素のままの美しい佇まいに惹かれます

自然体の美しさで女性からの支持も高いモデルのKIKIさん。彼女のファッションや、毎日の食事やエクササイズへの考え方には「無理をしない」「ここちよい方へ」という一貫した思いがありました。そんなKIKIさんが感じる、素であることの美しさとは。

登山を始めて、美しい佇まいへの考えが変わった

モデルや俳優として長年活躍しているKIKIさんは、年齢を重ねることによって「美しい佇まい」への考え方が少しずつ変わってきたそうです。

「今、私が思う美しい佇まいは、素でいること。仕事では、きれいな服を着せていただき、プロのヘアメイクさんやカメラマンさんの力で美しく撮っていただく仕事を長くさせていただいて、そこには変わらず楽しさを感じます。ダイヤルを合わせるような感覚で、仕事モード、プライベートモードと切り替えるその感覚も、とても好きなんですよね。ただ最近は仕事を終えてひと息ついて、ダイヤルを回してプライベートモードになったとき、どんどんシンプルになっているように思います。自分がここちいいと感じたり、楽だと思える方向に進んでいます」

KIKIさん

KIKIさんの考え方がこのように変わったのは、2006年から始めた登山がきっかけです。

「登山では、できるだけ最小限の装備で行くことが求められます。服やメイク、食品など、たくさん持って行けば、荷物が増えて自分がきつい思いをしたり、つけている香りが虫や動物を呼び寄せてしまうなど、いろいろなマイナス面があるんです。というわけで、最初は仕方なく削ぎ落としていったのですが、そのうちにそれが自分らしいと思うようになっていきました。素であることに、自由や楽しさを感じるようになったのです

自分の世界観をもった人の美しい佇まい

「ファッションに関しても、同じです。以前は、洋服を選んで、それに合ったメイクをして、靴はどうしようと支度をするのにすごく時間がかかっていました。ですが今は、最小限の自分に似合うと思うものしか持っていないので、出かける前に悩む時間もだいぶ少なくなりましたね。それは自分がいろいろ試して失敗もして、これが好きというものがはっきりしてきたからかもしれません。ほかの女性を見ていても、それがシンプルであろうが、華やかに着飾っていようが、その人の素が垣間見れるような佇まい、自分の世界観をもっている佇まいを、素敵だと思いますし、見ていてここちよさを感じます」

KIKIさん

とは言いつつ、素のままでいることが、「気を抜いた状態」にならないように気をつけているとKIKIさん。

「どこかにその人らしさやトレードマークがあると、スタイルがつくりやすいと思うんですよね。私はたまたま自分が好きで短めにカットしていた前髪が、みなさんの印象に残ったようで、いつしかトレードマークになりました。出かけるときにも、前髪だけはきちんと整えようとスタイリングしています(笑)」

「こうでなきゃ」という考えがなくなったら、素に近づいた

毎日の生活においても、おのずと気持ちやからだが楽だと感じることを行うようになるのは、KIKIさんにとってとても自然な流れです。

「仕事柄、体幹や歩く姿勢などはいつも意識していますが、やはり出産後やコロナ以降は、体力の低下を実感しています。そこで最近は、娘の保育園まで片道25分を歩くようになって、往復50分のウォーキングと犬の散歩30分を日課に。目に見えて体重が減って、体力がアップしました。

私には今の『やむをえず運動になっている』という状態がちょうどいいんです。これが自主的にジムに行くとか、毎日何十分エクササイズをする! と決めてしまうと、守れなかったときにすごくストレスを感じるので、そういうやり方は私には合っていないのだと思います。食事に関しても、圧力鍋で炊いた玄米を3〜4日寝かせる“寝かせ玄米”をつくっていますが、からだが楽だからたまたま続いたという感じで、できない日はそれでもいいんです」

そのときの自分の気分や状況に合わせて無理なく行う習慣がついたのは、やはり登山の影響だそう。

「山の天気って読めないんですよね。頂上からの景色が見たいと思ってがんばって登っても、天気がくずれて山頂を踏めないこともよくあります。でもそんなとき、ガッカリしているだけでは時間がもったいない。『雨だったから仲間と山小屋で過ごして、話す時間がたくさんできた』など、そのときの状況でよかったことを探すクセがいつの間にかつきました」

こうあるべき、と縛らない。素のままの自分を受け入れる。すると毎日が楽しくなる。その生き生きとした佇まいが、KIKIさんの美しさにつながっています。

「身にまとうものや考え方をシンプルにしても、なおにじみ出る、その人らしい佇まいに惹かれます。私もそれを目指して、実践していきます」

美しい佇まいとは、
身にまとうものや考え方をシンプルにしたとき
にじみ出る、その人らしさ。

  • KIKI(きき)
  • KIKI(きき) 武蔵野美術大学建築学科卒業後、モデル・女優・写真家として多方面で活躍。エッセイ寄稿や紀行文の執筆なども手がける。著書に『美しい山を旅して』(平凡社)、『山が大好きになる練習帳』(雷鳥社)、『山・音・色』(山と渓谷社)など多数。

*お知らせ*
4月後半からは、KIKIさんが「美しい佇まい」研究の現場をレポートする連載が始まります。どうぞお楽しみに。

取材・文/大庭典子
写真提供/望月みちか
デザイン/WATARIGRAPHIC

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