2024.04.10

【特集】また、歩き出そう! #03

大谷義夫先生が登場! ウォーキングの疑問・質問すべて答えます<前編>

「池袋大谷クリニック」院長 大谷義夫先生

「この春、また歩き出そう!」と考えているおとな世代のために、著書『1日1万歩を続けなさい』が話題を呼ぶ医師・大谷義夫さんへの一問一答を敢行。おとなボディブックでは、かつて「骨の健康のため」の歩き方をご紹介してきましたが、今回はトータルで長生きするためのウォーキングを考えます。

大谷先生いわく、「日本は『座りっぱなしの国』のひとつと言われていますが、座ったままだと死亡リスクが激増することをご存知でしょうか。買い物で1,000歩、コーヒーを買いに行って1,000歩、その積み重ねで1日1万歩は達成できるはずです。まずはその重い腰を上げて歩いてみましょう」という応援メッセージが! 読者みなさんからの疑問・質問にお答えいただきながら、ウォーキングへの理解を深めていきましょう。

【質問1】
年齢によって、歩くべき距離は違いますか?

スマートフォンの歩数計測アプリを使う人が増えている今、距離数よりも測りやすい「歩数」で把握しましょう。厚生労働省の主導する「21世紀の国民健康づくり運動(健康日本21)」では、週2,000キロカロリー(1日300キロカロリー)以上消費する運動を推奨していて、これがウォーキングの1万歩にあたります。基礎疾患がなく、体力に自信があるおとな世代ならば、ぜひ「1日1万歩」を目指してください。

【質問2】
健康維持のためには、走るのと歩くのと、どちらが効果的ですか?

どちらも効果的です。走る習慣がある人はそのまま続けるといいでしょう。走る習慣がない方は、無理をすることなく、まず歩くことから始めてください。

【質問3】
ジョギングは心臓に負担がかかると聞いたことありますが、ウォーキングは大丈夫ですか?

激しいランニングは、年齢や基礎疾患によっては、心臓に負担となる可能性があります。ジョギングは、基礎疾患がなければ心臓に負担がかかるほどではない、というのが私の認識です。ウォーキングは心臓のリハビリでも推奨されています。年齢や基礎疾患に応じて速度と時間を調整すれば、心臓への負担の心配は不要です。走り慣れていない人は、ウォーキングから始めればなお安心ですね。

【質問4】
1日1万歩とよく聞くけれど、実際そんなに歩けません。6,000歩程度が精一杯。少ない歩数でも効率を上げるにはどうすればいいですか?

少ない歩数で効率を上げる方法を探すより、1万歩を歩くことを目標にしてみてください。先ほども挙げた「健康日本21」によると、日本人の1日の平均歩数は6,278歩ですから、今の歩数でようやく平均値です。まとめて一気に歩く必要はありません。駅まで1,000歩、近所を散歩して1,000歩…その積み重ねで1万歩を目指してみてはいかがでしょうか。

【質問5】
歩きすぎるとからだに悪いということはありますか?

どのぐらい歩くかによりますが、1日4,000歩より8,000歩、さらに1万5,000歩を歩く人のほうが、死亡率が低いということがわかりました。そのピークは1万5,000歩で、それ以上はほぼ横ばいとなっています。さらに1万歩と1万5,000歩の死亡率は大きく変わらないので、私は1万歩を推奨しているというわけです。ちなみにゴルフの1ラウンドは1万8,000歩程度だそう。基礎疾患がない人は、自分が心地よいと感じる歩数を歩いてみてください。

【質問6】
1日1万歩を意識しているけど、日常生活(家事など)の歩数もカウントしてもいいですか?

もちろんです。家事は立派な労働であり、多くのエネルギーを使っています。1日の総歩数で1万歩になればいいのです。

大谷義夫先生が登場! ウォーキングの疑問・質問すべて答えます<後編>

  • 大谷義夫(おおたに よしお)
  • 大谷義夫(おおたに よしお) 呼吸器内科医・医学博士。九段坂病院内科医長、東京医科歯科大学呼吸器内科医局長、米国ミシガン大学留学などを経て、2009年「池袋大谷クリニック」を開院。呼吸器内科のスペシャリストとしてテレビなどでも情報発信を行う。『1日1万歩を続けなさい』(ダイヤモンド社)ほか著書多数。 池袋大谷クリニック
構成・文/本庄真穂
デザイン/日比野まり子
イメージ写真・イラスト/stock.adobe.com

【特集】また、歩き出そう!(全6回)