
陰から陽へと季節が移り変わり、ようやくあたたかい季節になりました。花が咲き、木々が芽吹き、気持ちも軽くウキウキしてきたという方も多いと思いますが、一方でからだが重い、なんだかだるい、やる気が出ない…と、不調を感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
新学期や新年度、環境の変化により精神的部分への影響も考えられます。
そんなときは「肝」のケアを。苦味のあるもの、酸味のあるものを食べて、解毒・デトックスし、冬に溜まったものを出すことが必要です。
それでも気分が晴れない、すっきりしないという場合は、からだに余分な水分が溜まっている状態かもしれません。乾燥した冬から春への季節の変わり目を過ぎ、私たちをとりまく湿度がどんどん増えていき、湿度にからだが慣れていかないことが不調の原因と考えられます。
私たち日本人は四方を海に囲まれた環境で生活しており、もともと「湿」に弱い傾向があります。この湿度が溜まったからだの状態を「水滞(すいたい)」といいます。
中医学の基本的な考え方では、「気・血・水」は、生命活動を維持するために必要な3つの要素であり、体質や健康状態を知る目安です。
「血<けつ>」は、全身に栄養を運ぶ体液。赤い体液。
「水<すい>」は、血以外の体液。無色の体液、津液(しんえき)。
「気<き>」は、血と水を巡らせている生命活動(元気、気力)。
この3つが量の過不足なく、バランスの良い状態で円滑にめぐることで健康が保たれるとされます。
水が滞っている「水滞」は、病気ではないけれど、不調、病気予備軍の状態ということになります。
今の時期、スナップエンドウ、グリーンピース、そら豆など、たくさんの青豆をスーパーで見かけます。甘味がある青豆のおいしい季節です。この青豆はからだの余分な水分を排出してくれる優秀食材。食物繊維も豊富なので、積極的に食べたいですね。
今日はとても簡単なそら豆のガーリック塩炒めをご紹介します。
薄皮をむくのが少し面倒ですが、コツさえ覚えれば簡単にむくことができます。
今月のレシピ
そら豆のガーリック塩炒め

<材料>(2人分)
そら豆(さやから出したもの)……約20粒
にんにく薄切り……1片分
乾燥唐辛子……少々
塩……小さじ1/2
サラダ油……大さじ1
作り方
❶そら豆は、おはぐろ(黒い部分)を爪またはペティナイフで取り、薄皮をむく。
❷フライパンにサラダ油、にんにく、唐辛子を入れて中火にかけ、香りが立ってきたら、❶のそら豆を加えて炒める。
❸全体的に油がまわり、火が通ったら塩で味を調える。
お酒のアテにも、ご飯のおかずにもなる1品です。
スナップエンドウでもつくることができます。
その場合は、筋を取り、半分に切って炒めてください。食感もよく、火の通りがよくなります。
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橋本加名子(はしもと かなこ)
料理研究家、栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。タイ料理、ヴィーガンタイ料理、和食、発酵の料理教室「おいしいスプーン」を主宰。『老けない体をつくる! たんぱく質の10分おかず』(ART NEXT)ほか著書多数。新刊『魔法の万能調味料 玉ねぎ麹レシピ』(河出書房新社)が好評発売中。食べてからだを調える「養生・ベジ発酵薬膳クラス」、「ヴィーガンタイ料理・ベジタイ指導者クラス」開催中。
サイト:「おいしいスプーン」oishi-spoon.com
Instagram:kanakohashimoto1
イラスト/いしわたりきわこ
デザイン/WATARIGRAPHIC