春の始まりのカサカサ、ブツブツ。肌荒れピンチに「老廃物排出おかず」

薬膳の知恵できれいに〜レシピ付き

春の始まりのカサカサ、ブツブツ。肌荒れピンチに「老廃物排出おかず」

冬から春へ季節が移行する今は、四季の中で気温の変化が最も厳しい時季です。朝晩の寒暖差もあるため、自律神経が乱れやすく、不調を起こしやすいので体調管理が大切です。

また、肌のトラブルが起こりやすい時季でもあります。冬の乾燥によるダメージを受けているところに加え、急にあたたかくなり汗や皮脂の分泌が増えたり、花粉や黄砂などの刺激物質が飛散するため、肌が荒れたり、吹き出物が出たりしやすいのです。

春の薬膳のポイントは、気や血の流れをコントロールしている「肝」を使って「解毒」をすること、冬の間に溜まった老廃物を体外に出すことです。 

中医学的な観点では、溜まる、滞るは病気の原因。血の流れが悪くなると、肌あれ、くすみ、婦人科系のトラブルも多くなるとされています。

そこで春のトラブルを解消してくれるのは、「苦味」のある食材。「苦味」のある食材は、不要なものをからだから出す働きがあります。春の「苦味」のある代表食材は山菜です。ふきのとう、たらの芽、こごみ、うど、などの山菜を食べると一時的に肌荒れをすることがありますが、これは冬場に溜め込んだものを外に出そうと山菜の苦味が肝に作用するからです。

春のもうひとつのおすすめ食材は、山菜と同じく苦味のある「菜の花」です。菜の花は「消腫(しょうしゅ)」作用(はれやむくみをとる作用)があるとされ、炎症を抑える効果があり、おできや吹き出物を改善します。

また、血の滞りを流して、肌だけでなく、全身の新陳代謝をスムーズに促してくれるうえに、ビタミンが豊富なので免疫力も高めて風邪予防もしてくれるので、積極的に食べたい食材なのです。

今月は、こんな春にうれしい効果いっぱいの菜の花をたっぷり使ったレシピをご紹介します。

今月のレシピ
菜の花としらすの春雨炒め

菜の花としらすの春雨炒め

<材料>(2人分)
菜の花……1束
しらす(釜揚げ)……80g
緑豆春雨(乾燥)……40g
にんにく薄切り……1片分
唐辛子輪切り……適量
サラダ油……大さじ1
しょうゆ……小さじ2
水……200ml

作り方
❶菜の花は2〜3等分の長さに切る。春雨は水で10分戻し、長さ半分にハサミで切る。

❷フライパンにサラダ油、にんにく、唐辛子を入れて中火にかける。香りが立ったら、菜の花を加えてさっと油を回し、春雨、水を加える。

❸春雨がやわらかくなり、水分が飛んだら、しらすを加えてさっと炒め、しょうゆを入れて味を調える。

しらすは「気」「血」を補ってくれる食材です。体力アップしたいときにぴったりです。
緑豆春雨は、原料の緑豆がからだの熱を取り、吹き出物などの解毒によいとされています。

  • 橋本加名子(はしもと かなこ) 料理研究家、栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。タイ料理、ヴィーガンタイ料理、和食、発酵の料理教室「おいしいスプーン」を主宰。『老けない体をつくる! たんぱく質の10分おかず』(ART NEXT)ほか著書多数。新刊『魔法の万能調味料 玉ねぎ麹レシピ』(河出書房新社)が好評発売中。食べてからだを調える「養生・ベジ発酵薬膳クラス」、「ヴィーガンタイ料理・ベジタイ指導者クラス」開催中。
    サイト:「おいしいスプーン」oishi-spoon.com
    Instagram:kanakohashimoto1
文・写真/橋本加名子(料理研究家、国際薬膳調理師・栄養士)
イラスト/いしわたりきわこ
デザイン/WATARIGRAPHIC