肌が美しい人には、いったいどんな特別な習慣があるのでしょうか。肌のお手入れ方法やスキンケアアイテム選びが大切になるのはもちろんですが、日々の食材選びとその食事法にも大きな理由がありました。肌がゆらぎ始めた年代に向けて、管理栄養士の森由香子さんより、食習慣に関するアドバイスをいただきます。
更年期世代が増やすべき食材、
減らすべき食材とは
「若いときのみずみずしい肌とツヤを失ってしまった今の肌。過去と現在を比べて、ため息をついてしまうのはよくわかります。それでも自分が満足できるベストな肌を目指したいと考えたとき、まず心がけるべきことがあります。それが食生活の見直しです。では、50代に突入した人が増やすべき食材、減らすべき食材についてみていきましょう。
増やすべき食材は、野菜、海藻、キノコ、豆、芋などからの食物繊維。そしてたんぱく質です。次回#05でも触れますが、たんぱく質は、肉、魚、卵などの動物性食品由来のたんぱく質と、大豆製品などの植物性食品由来のたんぱく質、どちらもバランスよく摂取することが大切になります。

一方、減らすべきなのが、お漬物や梅干し、佃煮、干物などのいわゆる塩蔵品。全体的に薄味を心がけるようにしてください。また、余分な糖質も意識して減らしていきましょう。年齢を重ねて調理などがおっくうになると、つい甘いお菓子に手が伸びてしまいがち。その積み重ねが肌に悪影響を与えることも少なくないのです」
肌の乾燥に悩むなら、
まず意識したいのがビタミンA
「アンケート結果からもわかるように、年齢肌の悩みとしてまず挙げられるのが『かさつき・乾燥』です。これはビタミンA、ビタミンB群をとることが大切になります。ビタミンAは、皮膚や粘膜を丈夫にして、粘膜の乾燥や角質化を防ぐ役割があります。具体的には、レバー、卵黄、牛乳、うなぎ、ホタルイカ、銀だら、バターなどですね。ビタミンB群はかつお、まぐろ、鮭、豚ヒレ、鶏ささみなど動物性食品に多く含まれています。

また、ビタミンCは抗酸化ビタミンのひとつで、健康な肌づくりの重要な役割を担うコラーゲンの材料にもなっています。レバー、ブロッコリー、ほうれん草、赤ピーマン、いちご、みかん、柿、キウイなどを食べるようにしましょう。ほかにコラーゲンの生成をサポートする鉄や亜鉛も意識するようにしてください。
『シミ・くすみ』『シワ・たるみ』に関しては、活性酸素の除去が必要不可欠。βカロテン、ビタミンC、ビタミンEの摂取を意識するといいでしょう。βカロテンはにんじんやほうれん草、ピーマンに、ビタミン Eはかぼちゃ、ナッツ、植物油、青魚、するめいかなどに多く含まれていますよ」
美肌には朝ごはんが効く!
その理由とメカニズム
「何より美肌のために提案したいのが、『朝ごはんをしっかり食べる』ということです。その理由は、朝ごはんは体内時計をリセットして、体内環境を整えてくれるから。私たちの体内時計は毎日24.5時間周期のリズムを刻んでいて、地球の自転周期である24時間より長いため、このズレをリセットしなければなりません。そのために必要なのが朝の光、そして朝ごはんなのです。
更年期に突入し、ホルモンバランスのくずれを感じている人は多いと思いますが、ホルモンの分泌を司っているのは自律神経で、睡眠の質にも影響を与えています。その自律神経を管理しているのは体内時計。となると、この〝時差ボケ〟を調整することはマスト事項なのです。
また、朝という時間帯は、栄養素の代謝がピークを迎える時間帯だと考えられています。代謝とは、食事からとった栄養素をからだが分解したり、合成したり、エネルギーに変えたり、蓄えたりする働きのことですが、これらがもっとも活発になるのは朝なのです。ならば、栄養たっぷりの朝食を食べない手はないですよね。正しい朝食習慣は将来の健康なからだへの投資となることがおわかりいただけたでしょうか。
そうはいっても、気力体力ともに衰えを感じる更年期世代は、だるい、やる気が出ないなど、調理が億劫になることもあるでしょう。その場合は、もう『何もしない』と割り切ってしまいましょう。家族に事情を話して協力してもらうのもいいし、ひとり暮らしならば、今はレトルト食品や冷凍食品が充実しているので、バランスよく選べば大丈夫です。心身ともに健やかでいることを優先して、この時期を乗り越えていきましょう」
次回#05では、「森由香子さんと考える『たんぱく質との上手なつき合い方』」についてご紹介します。
イラスト/いしわたりきわこ
デザイン/日比野まり子
【特集】おとな世代の肌悩みを徹底解剖(全5回)
- #01|そろそろ深刻になってきた…。年齢肌の実態と解決法―読者400人のリアルボイス
- #02|教えて、小林ひろ美さん! おとな世代の肌悩みQ&A
- #03|愛用品も大公開! 小林ひろ美さんが考える、おとな世代のスキンケアで大切なこと
- #04|管理栄養士・森由香子さんと考える「50代からの肌のための食事法」
- #05|森由香子さんと考える「たんぱく質との上手なつき合い方」