SNSの投稿、フリマ出品、自分の思い出やメモ用と、写真は私たちの生活に不可欠なツール。そこで気になるのが出来上がり写真の質。スマホのカメラの性能がアップしたとはいえ、撮り方はアップデートできていなかったり、カメラ任せだったり。そんな人、多いのではないでしょうか。すでに「わかったつもり」の人も、「いつもカメラ任せ」の人も、プロのアドバイスを参考に、いつもの写真をグレードアップしましょう。担当ライターが、フォトグラファー・遠藤素子さんを質問攻めにしました!(使用機種:iPhone14)
少しでも魅力的に見せたい! フリマアプリで出品編
遠藤:まずスマホでの撮影で心がけたいポイントは、①影を入れない、②立体感のあるものは活かすの2つです。さて、今日は何を撮りたいですか?
ライター:まずは小物の撮り方を教えてください。私はフリマアプリをよく使うのですが、いつも写真を撮るのに苦戦しています。何度も撮り直しするものの、結局うまく撮れない。今日は、海外で購入したけど結局出番がなかったおしゃれな石鹸と、使わなくなったアクセサリーを出品したいので、これらをかわいく撮る方法を教えてください。普段撮影するときは、白い壁を背景にしたり、テーブルや椅子に置いて撮っています。特にアクセサリーって、写真でかわいらしさが伝わりにくいので難しいんですよね…。
遠藤:う〜ん。石鹸の写真は手がきれいに映っているわけでもなく、パッケージのかわいらしさもイマイチわからないし、暗いし、すべてがもったいない。どちらもせっかく立体感のあるものなので、それを活かしたいところ。私ならこう撮るかな。まずは石鹸から。
ライター:すごい、全然違いますね!
遠藤:まずは立体感を見せるために少し奥行きも見えるように斜めに箱を立ててみました。また、テーブルの先に植物があったので、これもちょっと活かしてみました。このとき、背景と被写体の距離はしっかり離して撮ること。背景の植物と被写体が近すぎると、きれいに背景がボケないので。
ライター:テーブルに置いただけなのに、迫力もあってカッコいいですね。これは角度にこだわっているのですか?
遠藤:そう。上から撮るよりもできるだけカメラの位置を低くして撮ってみました。iPhoneの底をテーブルにくっつけて寄ったり引いたりして、被写体の大きさを調整してみました。
ポイント①
手やからだの影は絶対に入れない
ポイント②
背景を活かすときは、被写体と背景の距離はある程度離して撮ること
ポイント③
立体感のあるものは上から撮るのではなく、カメラの位置をかなり低くして撮ってみる。物体を少し斜めにして奥行きを見せるのもあり
遠藤:で、アクセサリーはこんな感じですかね。
ライター:ヘアピンのパールが立体的に見えることでツヤ感が増し、かわいらしさがより伝わってきますね。
遠藤:これも上から撮るよりも、カメラの位置をできるだけ低くして、立体感を最大限に引き出しました。あと小物は、部屋にあるライトの位置も見ながら、自分の影が入らないようにするのがポイント。よく照明の真下でものも人も撮ろうとする人がいますが、影が強く入ったり光の調整がしにくいので、いろいろなところにものを置いて影が入らないところを最終的に選びましょう。
ライター:なるほど。それにしても、遠藤さんの写真はどちらも私が撮った写真と比べると、かなり明るくきれいに撮れているような…。何が違うのでしょうか。
遠藤:物撮りで押さえるべきテクニックが、もうひとつあります。カメラを開くと、iPhoneの場合、画面上の被写体に指で触れると太陽マークが出てきます。
遠藤:この太陽のマークを上に動かすと、明るさを調整できるのでぜひお試しあれ。小物、食べ物、人物、風景、どれにでも使える設定なので覚えていて損はなし。
ポイント④
照明の真下は避ける
ポイント⑤
被写体を画面上でタップして明るさを調整
インスタ投稿に必須! ごはんの撮り方編
ライター:ものの撮り方は、食べ物を撮るときにも活かせそうですね。以前は、食べ物もひたすら上から撮っていました。影が入ってしまうのは仕方がないと思ってあきらめていたな…。だから私の食べ物の記録はほとんど上からです。
遠藤:おっしゃるとおり、食べ物もほかの物撮りと同じポイントを押さえて撮るといいですよ。では、学んだことを活かしてもう一度撮ってみましょうか。
ライター:少しですが立体感はある料理なので、カメラを近づけてスマホの位置も低くして…と。ついでに明るさもちょっと上げてみよう。こちらいかがでしょうか!
遠藤:1枚目よりおいしそうに撮れていますね! 食べ物はディテールが伝われば伝わるほどいいですね。
ライター:でもカフェの場合はちょっと難しいんですよね。ドリンクとフードがあると、両方にピントが合わない。
遠藤:2つとも目立たせようとすると、難しいですよね。サンドイッチをメインにしたいなら、オレンジジュースの位置を調整してみては。少し後ろにずらすだけでも、ずいぶん変わりますよ。
ライター:ブルックリンのカフェみたいな一枚になりましたね! 全然違う…!
遠藤:カフェの場合、窓があるなら窓際席を取って背景を活かすのもひとつの手。席が選べるところなら、店内や外の背景がきれいなところを選ぶのもありです。
ポイント⑥
被写体をできるだけひとつに絞る
ポイント⑦
撮影場所は窓際の席が第一候補
次回は人物・風景を撮る方法を遠藤さんが伝授。お見逃しなく。
- フォトグラファー・遠藤素子さん 東京造形大学にて写真と出会い、全く考えてもいなかったカメラマンの道へ。撮影対象は人物を中心に料理、風景など多岐にわたる。キャリア20年。ポートレイトでは、その人らしさを感じつつもその人の新しい一面を写し出すことを信条としている。
デザイン/WATARIGRAPHIC