風味を楽しみながら、からだをあたためる。冬のスパイス使い

薬膳の知恵できれいに〜レシピ付き

風味を楽しみながら、からだをあたためる。冬のスパイス使い

昨今のカレーブームで、スーパーの棚に多種多様なスパイスが並ぶようになりました。スパイスはカレーを作るためだけではなく、中医学的にも生薬であるというのをご存知でしたか?

ウコン、クミン、シナモン、八角…
香りを楽しみつつ冬のからだを守る生薬

たとえば、カレーでよく使われるターメリックは鬱金(ウコン)。気と血の巡りをよくし、腹痛や生理痛などの痛みを緩和します。また、肝機能を高め、二日酔いの予防や疲労回復効果があります。中国の唐の時代から使われ、中国の書物『本草綱目(ほんぞうこうもく)』にも記載されています。風邪が流行する時季には、塩水にターメリックを少し混ぜてうがいをすると喉を守るともいわれています。

スパイスの中で人気のあるクミンは、消化促進、免疫力アップ、抗酸化作用、コレステロールを下げるなど、女性にうれしい効果がたくさんあるので、アンチエイジングスパイスと言われるほど。ガラムマサラにも必ず入っているスパイスのひとつで、中医学的にもからだをあたため、気の流れをよくしてくれます。内側からの冷えによる月経痛などにもおすすめです。

薬膳おすすめ食材である長芋をじゃがいもと同じように揚げ焼きし、クミンを最後に入れる「長芋クミンフライドポテト」など、カレー以外に手軽に使うこともおすすめします。

今回ご紹介するレシピで使用するのは、やはりスパイスとして定番のシナモンと八角です。シナモンは桂皮(けいひ)と言われ、からだの内側からあたため、消化促進、血流改善効果があります。

八角は、腎(じん)を補い、気の流れをよくします。中医学の腎とは、成長・発育・生殖などに関わる泌尿器・生殖器・腎臓などの機能。冬に補うべき臓であり、アンチエイジングのための臓でもあります。

中医学では、巡りが滞ることで病気が発生すると考えられているので、シナモンと八角の組み合わせは、血と気の流れをよくしてくれる冬のベストペアです。これにうるおいを与えてくれる豚肉を合わせ、冬の乾燥を補いながらからだをあたためてくれるレシピをご紹介いたします。

今月のレシピ
スペアリブと長芋の中華風煮物

スペアリブと長芋の中華風煮物

<材料>(2〜3人分)
豚骨つきスペアリブ用肉……4〜6本
長芋……400g
シナモン……1本
八角……2個
生姜の薄切り……4枚
酒……1カップ

A
しょうゆ……大さじ4
みりん……大さじ4
砂糖……大さじ2

作り方
❶豚肉を鍋に入れ、水をたっぷり加えて中火にかける。沸騰したら弱火にし、アクが出てくるまでゆでる。

❷❶の豚肉を取り出して、水洗いし、鍋もきれいに洗う。豚肉を再び鍋に入れ、ひたひたになるまで水(約6カップ)を加え、オーブンペーパーで落とし蓋をし、中火にかける。沸騰したら弱火にし、1時間ゆでる。時間があればそのままにし、翌日オーブンペーパーについている脂をペーパーごと捨て、煮汁に脂が浮いていたら取り出す。豚肉と煮汁を分けておく。

❸鍋に豚肉、❷の煮汁2カップ分、酒、シナモン、八角、生姜を入れてオーブンペーパーで落とし蓋をして中火にかけ、沸騰したら弱火にし、20分煮る。

❹❸にひと口大に切った長芋、Aを加えてさらに20分煮る。ゆで卵を加えてもおいしくいただけます。

  • 橋本加名子(はしもと かなこ) 料理研究家、栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。タイ料理、ヴィーガンタイ料理、和食、発酵の料理教室「おいしいスプーン」を主宰。『老けない体をつくる! たんぱく質の10分おかず』(ART NEXT)ほか著書多数。新刊『魔法の万能調味料 玉ねぎ麹レシピ』(河出書房新社)が好評発売中。食べてからだを調える「養生・ベジ発酵薬膳クラス」、「ヴィーガンタイ料理・ベジタイ指導者クラス」開催中。
    サイト:「おいしいスプーン」oishi-spoon.com
    Instagram:kanakohashimoto1
文・写真/橋本加名子(料理研究家、国際薬膳調理師・栄養士)
イラスト/いしわたりきわこ
デザイン/WATARIGRAPHIC