腸活と免疫力の関係をおさらい。具だくさんスープで冬を乗り切る!

薬膳の知恵できれいに〜レシピ付き

腸活と免疫力の関係をおさらい。具だくさんスープで冬を乗り切る!

免疫とは、「疫(えき)」(=病気)から「免(めん)」(=まぬがれる)こと。からだの外部から侵入してくる抗原※に対してからだを守るシステム、すなわちからだの防御システムのことです。

免疫力が高ければ、ウイルスや細菌による感染症など、さまざまな病気を未然に防ぐことができます。逆に免疫力が低いと風邪や感染症にかかりやすくなり、花粉や小麦などのアレルギー誘発物質に敏感になります。

私たちの免疫細胞は、からだをめぐる血液やリンパ液に乗って抗原を常に探しており、免疫細胞のうち50%が小腸に、20%が大腸に集まっているといわれています。小腸は私たちが食べたものの栄養分の吸収と輸送を担います。小腸で残ったものは大腸へ送られ、水分やミネラルを吸収し、便をつくる働きをします。

腸内環境と免疫力が密接に関わっているのは、こうしたからだの仕組みによるものです。

※ 抗原:病原性のウイルスや細菌、花粉、卵、小麦など、生体に免疫応答を引き起こす物質。

腸内環境をよくする食材

では、免疫力を上げるためには、どんな食材をとるのがよいのでしょうか。
味噌、キムチなどの発酵食品
きのこ類、野菜・果物・海藻類などの食物繊維を含む食品
大豆、ごぼう、玉ねぎなどオリゴ糖を含む食品
です。

これらの食材を積極的にとり、さらに自律神経を調える適度な運動、脳を休ませるための適度な睡眠が、腸内環境を整えるために必要です。

中医学の視点から見ると、免疫力を高めるには、からだをあたためて、目には見えないけれど人間のからだの大切なエネルギーである「気(き)」と全身に栄養を運ぶ「血(けつ)」の巡りをよくすることが重要とされています。

からだをあたためる食材は、鶏肉、えび、にんにく、ねぎ、生姜、にら、山芋、スパイス、発酵食品など。ねぎ、生姜、スパイスは気の巡りもよくしてくれます。

また冬の時期は、成長・発育・生殖などに関わる泌尿器・生殖器・腎臓などの機能である「腎(じん)」を補う黒い食材(黒豆、黒ごま、キクラゲ、きのこ、海藻類、小豆、牡蠣、うなぎなど)をとるとよいとされています。

現代の栄養学、東洋の栄養学である薬膳の考えを利用し、「未病先防」(みびょうせんぼう)――病気になる前に日ごろから養生を心がけ、健康でここちよい生活をしていきたいものですね。

今回ご紹介するレシピは、上であげた食材を使った、この季節にぴったりのスープです。

今月のレシピ
白菜と鶏肉団子のスープ

白菜と鶏肉団子のスープ

<材料>(2人分)
白菜……3枚
ねぎ……1/2本
しいたけ……2枚

鶏ひき肉……300g
A
ねぎの青い部分(粗みじん切り)……大さじ2
片栗粉……大さじ1
塩……少々

水……800ml
昆布……1枚(約5cm)

B
酒……大さじ1
味噌……大さじ3
みりん……小さじ1

作り方
❶白菜の芯の部分は長さ2cm、葉の部分はざく切りにする。ねぎは幅1cmの斜め切り、しいたけは幅5mmの薄切りにする。鶏ひき肉にAを混ぜ合わせておく。

❷鍋に水、昆布を入れて中火にかける。沸騰直前に昆布を取り出し、弱火にする。

❸❷に❶の白菜、しいたけを入れて、火が通ったら、鶏ひき肉を食べやすい大きさに丸めながら入れて、Bを加える。

❹肉団子に火が通ったら火からおろす。

白菜はビタミンCや食物繊維も豊富。むくみやすい方にもおすすめの食材です。また、うどんを入れたり、残ったスープにご飯を入れておじやにするのもおすすめです。

  • 橋本加名子(はしもと かなこ) 料理研究家、栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。タイ料理、ヴィーガンタイ料理、和食、発酵の料理教室「おいしいスプーン」を主宰。『老けない体をつくる! たんぱく質の10分おかず』(ART NEXT)ほか著書多数。新刊『魔法の万能調味料 玉ねぎ麹レシピ』(河出書房新社)が好評発売中。食べてからだを調える「養生・ベジ発酵薬膳クラス」、「ヴィーガンタイ料理・ベジタイ指導者クラス」各9月からスタート。
    サイト:「おいしいスプーン」oishi-spoon.com
    Instagram:kanakohashimoto1
文・写真/橋本加名子(料理研究家、国際薬膳調理師・栄養士)
イラスト/いしわたりきわこ
デザイン/WATARIGRAPHIC