秋は、肺・からだ・肌をうるおす「白い」食材を

薬膳の知恵できれいに〜レシピ付き

秋は、肺・からだ・肌をうるおす「白い」食材を

蒸し暑い夏も終わり、過ごしやすい秋の到来です。この時期は気温の寒暖差があり、空気の乾燥が急に激しくなります。空気が乾燥することにより、からだの細胞の水分も失われ、肺、胃腸、皮膚の機能が低下してしまいます。乾燥によって起こるこのような病気の原因を、中医学では「燥邪(そうじゃ)※1」といいます。

燥邪をそのままにしておくと、肺の乾燥により粘膜が弱り、ウイルスが侵入しやすくなり、肌もカサカサ、からだもカラカラに…。腸のうるおいもなくなるため、便秘にもなりやすくなります。

※1 燥邪(そうじゃ)…空気の乾燥によって起こるからだへの影響をさす。「口、のど、鼻の乾燥」「咳」「皮膚の乾燥・かゆみ」「便秘」などの症状につながる。

燥邪対策の薬膳ポイントは、「肺」「からだ」「肌」をうるおすこと、保湿することです。

体内から保湿する食材は「白い食材」です。長芋、れんこん、百合根、梨、白胡麻、ヨーグルト、豆乳、ハチミツ、白キクラゲなどがあてはまります。

ヨーグルトにハチミツを加える。豆乳に白すりごまを入れて飲む。…こんなふうに、難しいことを考えず、身近なもので気軽に取り入れてみてください。

そのとき、ぜひエネルギーを補う食材も加えてみて。保湿食材とともにエネルギーを補う、「補気(ほき)※2」の食材(鶏肉、芋類、豆類、きのこ類、米)をとることで、からだの巡りをアップさせます。

※1 補気(ほき)…目には見えないけれど人間のからだに大切なエネルギーである「気」を補うこと・もの。

今回ご紹介するレシピに長芋を使っていますが、長芋は生薬(しょうやく)でもある優秀な食材です。山薬(さんやく)という名前で多くの漢方薬にも入っています。保湿食材としても、補気食材としても活用できます。

生で食べるだけではなく、今回のようにスープに入れても、じゃがいものように蒸してポテトサラダにしても、おいしいですよ。

今月のレシピ
長芋、鶏肉、きのこのスパイススープ煮

長芋、鶏肉、きのこのスパイススープ煮

<材料>(2人分)
長芋……300g
鶏もも肉……1枚
エリンギ……2個
しめじ……1/2パック

A
水……4カップ
しょうゆ……大さじ2
砂糖……大さじ1/2
塩……小さじ1/3
にんにく(潰したもの)……1個
シナモンスティック……1本
八角(スターアニス)……1個

作り方
❶長芋は皮をむき、ひと口大の乱切りにする。鶏肉もひと口大、エリンギは食べやすい大きさに切る。しめじは石づきを切り落としてほぐす。

❷A、❶を鍋に入れ、中火にかける。沸騰したら弱火にし、ときどき混ぜながら、20〜30分煮る。

シナモンと八角を加えることで、血流が改善され、毛細血管を修復してくれるので、肌のシワやくすみ、さらに抜け毛や骨がもろくなるのを予防します。からだの内側からあたためてくれるので、冷え性の改善にも。

ただし、シナモンは肝臓に負担がかかるので取りすぎに注意してください。1日小さじ1杯を目安に。

  • 橋本加名子(はしもと かなこ) 料理研究家、栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。タイ料理、ヴィーガンタイ料理、和食、発酵の料理教室「おいしいスプーン」を主宰。『老けない体をつくる! たんぱく質の10分おかず』(ART NEXT)ほか著書多数。新刊『魔法の万能調味料 玉ねぎ麹レシピ』(河出書房新社)が好評発売中。食べてからだを調える「養生・ベジ発酵薬膳クラス」、「ヴィーガンタイ料理・ベジタイ指導者クラス」開催中。
    サイト:「おいしいスプーン」oishi-spoon.com
    Instagram:kanakohashimoto1
文・写真/橋本加名子(料理研究家、国際薬膳調理師・栄養士)
イラスト/いしわたりきわこ
デザイン/WATARIGRAPHIC