
ここ数年、老若男女を問わず高まり続けているキャンプ熱。行ってみたい気持ちはあるけれど、何から始めたらいいのか、どんな準備をしたらいいのか、あれこれ考えているうちに面倒になってしまった人も多いのでは? 今回はそんな迷えるキャンプビギナーに向けて、そろえるべきアイテムや知っておくべき豆知識をご紹介。キャンパーに人気のアウトドアカジュアルブランド「CHUMS」のスタッフ、赤楚浩基さんと大沢優佳さんにレクチャーしていただきます。
目次
テント&寝袋:最小限のステップで完成させるくつろぎのスペース テーブル&いす:リラックスしながら自然を満喫するための必需品 クーラーボックス:持ってよし収納してよしの大容量&軽量型を選択 調理器具:直火OK! キャンプ料理の鉄板アイテム3選 ランプ:静かな夜のひとときはLEDの灯りとともに キャンプ用ウェア:もっと快適にアクティブに! 秘訣はウェア選びにあり 初心者が見落としがちなキャンプ場選びの豆知識&心得
テント&寝袋
最小限のステップで完成させるくつろぎのスペース

「キャンプに行ったら、最初に行うのがテントの設営。何をするにも、まずは荷物置き場とくつろぐ場所の確保が必要です」と語るのはキャンプ歴の長い、赤楚さん。おすすめは、日よけやリビングスペースとしても活用できるタープ一体型のテント。「大人2人がゆったりくつろげるくらいのサイズが、初心者でも扱いやすいと思います。ポールの数が比較的少なく簡単に組み立てられること、持ち運びやすい軽さとコンパクトさ、たたみやすさもポイントです」
そしてもう一つが、寝具となるシュラフ。「キャンプ場はだいたい山の中や川の近くにあるので、夏でも夜は気温が下がります。ふわふわのダウンを使用したシュラフなら寒さ対策も万全。子どもでも持ち運べるくらい軽く小さくまとまるので、運搬も苦になりません」。CHUMSのイメージキャラクター、ブービーバードをかたどったシュラフは、かわいいだけでなく、使用されているダウンは寒冷地でも耐えられる700フィルパワーと高性能。「テントと寝袋、この二つがあれば、とりあえずの素泊まりが可能です」(大沢さん)

右:ブービースリーピングバッグ(本体:約H220×W80、収納時:約H33×W19cm、重量:約0.9kg、適応温度:3℃以上)
テーブル&いす
リラックスしながら自然を満喫するための必需品


「今どきキャンプでは、テーブルといすは必需品です」と赤楚さん。つい不便を楽しむのもキャンプの醍醐味だと思いがちですが……。「今は自然の中でどれだけ快適に、のんびり過ごせるかが大事な要素の一つです。料理や飲み物を置ける安定したテーブルとそれを囲むいすがあれば、リラックスタイムがより快適に。日帰りのデイキャンプでも十分楽しめます」
持ち運びや機能性にすぐれているのも、今どきのキャンプギアの特徴。「このテーブルは天板が1/2サイズに折りたためるうえにキャリーハンドルつき。たたんでしまえば、クローゼットにも収まります。また、高さが3段階に調節できるのも特徴。扱いやすく安定感もあり、飽きのこないデザインなので自宅で日常使いしているキャンパーもいるほどです」
あわせて使いたいチェアは、背もたれのポケットに本体をたたんで収納できるパッカブルタイプがおすすめ。「軽くて簡単に折りたたみができるから、とにかくラク。片手で持てるサイズ感がちょうどいいんです」と、大沢さんもお気に入り。立ち上がり時の安定感のよさなど、ストレスのない使用感もチェックポイントです。

右:コンパクトチェアブービーフットロー Paprika Red/Blue Gray(本体:H72〔座面の高さ:34〕×W49×D30cm、収納時:H38×W15×D15cn、重量:約1.2kg、耐荷重:80kg)
クーラーボックス
持ってよし収納してよしの大容量&軽量型を選択

「冷蔵庫などないキャンプシーンでは、食品類の冷却になくてはならないのがクーラーボックス。ただ、頑丈なハードボックスタイプだと家に置いておくときにかさばって、邪魔になりがち。コンパクトに折りたためてスリム収納ができるソフトタイプがおすすめです」(赤楚さん)
CHUMSのソフトクーラーボックスは容量が約23Lで、一般的な2Lのペットボトルが縦に6本収納可能。たたんだテントと並べると大きそうな印象ですが……。「1泊2日のキャンプの場合、最低でも当日の夕食、翌日の朝食のほかドリンクや軽食なども必要。あれこれ詰め込むと23Lサイズでも小さく感じるかもしれません」(赤楚さん)。そして、ソフトタイプの軽さも大きなメリットに。「手持ち用のハンドルだけでなくショルダーベルトもついていると、食材がたっぷり入っていても肩がけにしてラクに運べます」
調理器具
直火OK! キャンプ料理の鉄板アイテム3選

中:ブービーシェラカップ 630ml(直径14〔底9〕×深さ6cm)
右:チャムススキレット 6インチ(外径15.5cm、全長26.2cm、高さ4.7cm、重量:約0.75kg/IH・オーブン対応)
キャンプでの楽しみの一つは、やはり家ではできない豪快なアウトドア料理。「直火調理がメインになるので、調理器具も直火対応のアイテム選びが重要に。いろいろな用途に使える多目的アイテムであるほど役立ちます」と赤楚さん。
その一つが、シェラカップ。「まず、サビに強いステンレス製でとても軽い。コップや食器として使え、直火にもかけられるので調理器具にもなる。一つで何役もこなせる点が優秀です」。さらに、カップ内に水量を計測できる目盛がついているとなおよし。「インスタントラーメンなども水量を測って作って、そのまま食べることが可能。持ち手が本体一体型ではない、熱くなりにくいものを選ぶのもポイントです」
また最近は、好きな具材をパンにはさんで焼くだけのホットサンドが、手軽さと“映え”を兼ねたキャンプ飯の定番に。「取り外し可能な蝶つがい仕様のホットサンドメーカーは、使い勝手が抜群。外して片面ずつフライパンとして別々に使えるのがポイントです。目玉焼きを作ったり、ウインナーを焼いたり、少量の炒め物をすることもできるから、キャンプ飯だけでなく普段使いもしていただけます」
そして「ちょっと重量感はありますが……」とすすめてくれたのが、キャンプ料理の鉄板アイテム、スキレット。「熱効率がよく冷めにくいので、一つあるとキャンプ飯が盛り上がるんです。現地で買った魚介や野菜をアヒージョにしたり、カマンベールチーズを丸ごと焼いてディップしたりと、おしゃれなおつまみ作りにも大活躍します」。作る前から、もう美味しそう!
ランプ
静かな夜のひとときはLEDの灯りとともに

陽が落ちて夜になると、アウトドアでは揺らぐ焚き火の炎が明かり代わりに。「ただ、食事時や団らん中などに、もう少し明るさが欲しいときがあって。そんなときには、乾電池式の置き型ライトが重宝するんです」(赤楚さん)。眩しすぎないLEDタイプで、明るさの強弱を選べるものがおすすめ。「テーブルや真っ暗なテントの中に置くと、じんわりとした灯りに和みます」と、大沢さん。キャンプ用のみならず、部屋のインテリアや防災用ランプとしても備えておきたいアイテムです。
キャンプ用ウェア
もっと快適にアクティブに! 秘訣はウェア選びにあり

右:ウィメンズ CHUMS×CW-X キャンプタイツ(LNY300)
「フェスやアウトドアアクティビティなどもそうですが、最近ではウェア選びもキャンプデビューの楽しみの一つになっています」(大沢さん)。CHUMSでは、快適さとファッション性を兼ね備えた機能性コンディショニングブランド「CW-X」とコラボしたキャンプウェアを限定発売中。
「テント設営から焚き火や料理まで、普段よりたくさん動いて長時間行動するので、脚の動きをサポートする段階着圧タイツをはいていれば、アクティブに動き回るキャンプシーンでも快適に過ごせます」(赤楚さん)。限定タイツは、ストレッチ性にすぐれたライトなはきごこち。UVカット率90%以上に加え、吸汗速乾機能もあるので、夏場もさわやかに過ごせそう!

下段:CHUMS×CW-X キャンプソックス(LNR600)
キャンプでは下向きの体勢になったり、左右の動きが多かったりして、ブラジャーのズレが気になりやすい傾向も。「キャンプブラが誕生したきっかけもそこに。長時間着用していてもしめつけ感のないソフトなつけごこちで、丸くきれいなバストシルエットをキープできる独自設計になっています。本体は、吸汗速乾・汗消臭機能もついて、屋外でたっぷり汗をかいてもニオイが気にならないので、一着あると便利です」(大沢さん)。インナーウェアながら、“見せブラ”OKのおしゃれ感があるのもうれしい!
初心者が見落としがちなキャンプ場選びの豆知識&心得

右:大沢優佳さん(CHUMS表参道店) 趣味は激流ラフティング。川上を目指して山に登り、テント素泊まり体験は数知れず
キャンプデビューに際して、赤楚さんからこんなメッセージが。「キャンプでは非日常のアクションも多いので、最初はぜひキャンプ経験者と一緒に行くことをおすすめします。例えば、テントの設営一つとっても、いきなり現地でトライすると時間ばかりかかって、夕食作りの前に疲れ切ってしまうことも。経験者の知恵を借りることで、さまざまな作業がスムーズにできるメリットは大きいです」
また、キャンプ場選びに関してはこんなアドバイスも。「キャンプが好きになるか否かは、水回りの清潔感と虫対策によるところが大きいと思います。キャンプ場を選ぶ際には、洗い場やトイレ、お風呂の有無など、細かいところまできちんと確認し、不安なら近くに温泉などがある場所を選ぶように。虫よけ用のアイテムや、寒暖差に対応できるキャンプウェアなども準備しておくといいですね」
「そしてできれば、2泊3日の旅を。デイキャンプや1泊2日でももちろん楽しめますが、2泊あれば中1日は何も作業せずのんびり過ごせるから、キャンプ本来の魅力を感じられると思います」。ただただ自然を感じながら、森や渓谷に座って澄んだ空気や景色に癒やされる。そんな流行の“チェアリング”体験もできるかも! 備えあれば憂いなし。準備万端でキャンプデビューをかざりましょう。
撮影/蝦名まゆこ
構成/江尻千穂
デザイン/WATARIGRAPHIC