入浴中は皮膚がふやけているので、硬めのタオルでゴシゴシこすれば、皮膚の表面は簡単に傷ついてしまいます。その結果、角質層で水分を保つ働きをする細胞間脂質やNMF(天然保湿因子)が流出し、バリア機能が低下するわけですが、それを数値で示したのが上のグラフです。石けんベースのボディソープ(ライオン従来品)&硬めのタオルで洗った場合と、石けんベースのボディソープ(ライオン従来品)&手で洗った場合、さらにうるおいタイプのボディソープ&手で洗った場合、それぞれのお風呂上がりの肌から蒸発する水分量を測定してみると、うるおいタイプのボティソープを使って手で洗うと、肌のバリア機能が守られ、乾燥しにくくなることがわかりました。オイリー肌だからといって、ゴシゴシ洗うのもNG。大人ニキビは乾燥によってターンオーバーが乱れ、皮脂の排出が上手くいかなくなることが原因の場合もあるので、皮脂を取りすぎるとかえって悪化することもあるのです。ボディソープは洗顔料ほど種類がありませんが、乾燥が気になる人は保湿タイプのものを選んでみてください。
泡が汚れを落とす力
うるおいタイプのボディソープをしっかり泡立てて、手でやさしく洗うのがベストな洗い方ですが、手では汚れが落ちないのでは? と思いますよね。そこで、泡の洗浄力を実験してみました。皮脂を赤く染め、泡を接触させたところを拡大したのが上の写真です。きめ細かい泡を肌に乗せると、気泡と気泡の間に生じる圧力によって汚れは3つの気泡の境界に吸い込まれます。だから、きめ細かい泡を作ればやさしく洗っても汚れを落とすことができるのです。顔を洗うときは、みなさん洗顔フォームできめ細かい泡を作っているのに、からだはゴシゴシ洗っている人が意外といるんですよね。それでもゴシゴシ洗わないと洗った気がしない人は、汗をかく夏はデコルテや背中だけ肌触りがソフトなボディタオルで洗い、それ以外は手で洗うというように、季節や肌状態に合わせて洗い方を変えてみる。肌と相談しながら、気持ちいいと思える洗い方をしてみてください。
----泡のついた手で触れると乳房の凹凸がよくわかるので、しこりがないかチェックできたり、洗うついでにリンパマッサージができたり。手で洗うと肌が乾燥しにくいだけでなく、こんなメリットもあるのです。汚れが落ちていないのでは?という心配は不要ということもわかったので、ゴシゴシ洗いは卒業したいと思います。
山岸理恵子 ライオン 快適生活研究所 副主席研究員 ヘルスケアマイスター。毛髪診断士、睡眠改善インストラクターの資格も有する。身体洗浄剤、スキンケア剤の研究・開発に約20年携わってきた知識と経験を活かし、健康や美容に役立つ情報を発信している。