2025.03.05

【特集】おとな世代の肌悩みを徹底解剖#02

教えて、小林ひろ美さん!おとな世代の肌悩みQ&A

美容家 小林ひろ美さん

前回【特集】おとな世代の肌悩みを徹底解剖#01の記事では、おとな世代の肌悩みの実態をご紹介しました。#02では、読者のみなさんから寄せられた具体的なお悩みをピックアップし、美容家・小林ひろ美さんにお答えいただきます。以前は感じなかったのに、「更年期になって変化した」「年齢とともにひどくなる…」といった、深刻だけど「あるある」な状況を、ともに考えます。

Q

1. 45歳すぎから、肌が敏感になりこれまでの基礎化粧品が合わなくなりました。季節の変わり目にアレルギーを起こしたりも。スキンケアで注意することはありますか?(46歳)

A

顔を洗うときのお湯の温度を下げて、肌をこすらないように心がけて。

「心とからだがゆらぐ更年期は、肌状態も不安定になりがちです。まずひとつめ、洗顔するときのお湯の温度を少し下げることをおすすめします。言葉で表現するならば〝冷(さ)めたぬるま湯〟ぐらいですね。そしてふたつめ、同じく洗顔のときになるべく摩擦レスな洗い方を心がけてみてください。ふわふわ、もちもちの泡で包み込み、その弾力で洗うイメージです。決して肌を擦らないようにしましょう。

私自身、肌が敏感になってきたなと思ったら、信頼するアイテムを使って王道ケアのみを行います。化粧水や乳液をつけるときは、それらを手のひら全体に広げたら、肌にやさしくスタンプを押すように入れていく〝掌(たなごころ)付け〟を意識。更年期は、スキンケアも無理しない、抗わない。そうすれば、少しずつバリア機能が回復してくるはずですよ」

Q

2. コンシーラーでカバーしきれないほどシミが増えてきました。美容医療に切り替えるなら、どのタイミング?(51歳)

A

メンタルがネガティブになるようであれば、美容医療の道を探してみても

「もしシミが増えていることで、おしゃれが楽しくないとか、写真を撮るときに気おくれしてしまうとか、そういう思いが増えてしまうのであれば、美容医療の扉を叩くのは悪いことではないと思っています。大切なのは、『なんとなくきれいになりたい』ではなく、『このシミを取りたい』という目的を決めること。そして美容医療はすべてを解決するものではない、と知っておくことかもしれません。

また、シミを取るレーザー治療に関しては、紫外線の強い真夏にやることはおすすめしません。秋から春にかけての紫外線の少ない時期を選ぶようにしてください。自力と他力をうまくブレンドして、自分の肌を慈しむ時間を増やしてくださいね」

Q

3. 季節によってスキンケアアイテムやお手入れ方法は変えるべきですか? 1年中乾燥しやすいので、同じアイテムを使っています。また、日焼け止めも1年中使ったほうがいいと聞きますが、いまのところ夏だけです。(53歳)

A

まずはスキンケアの自分軸を探して、あとは日々のチェックを大切に

お気に入りのアイテムがあるということは、それだけ自分の肌との親和性が高いということ。まずはそのスキンケアの軸を大切にしてください。

私自身、季節でスキンケアを変えることはしないんです。その代わり、毎日の肌チェックでスキンケアの答え合わせをしています。朝起きたとき、人差し指、中指、薬指の第一関節と第二関節の間を使って、ベタつきがちな小鼻のワキと乾燥しがちな頬骨のトップ、この2カ所を交互に触ります。このふたつの質感がそろっているのが理想。なのですが、もし異なっていたら、『乳液を多めにしてみよう』とか『昨夜のクリームを減らしてみよう』など、日々肌の状態に合わせて調整するようにしているのです。

また、朝と夜で乳液やクリームのつけ方を変えています。朝は〝外→内づけ〟。日中、皮脂が出やすい顔の内側(Tゾーン)は少量でいいので、乳液やクリームを手のひらに広げたら、顔の外側にあてて、内側へ手をずらしながらつけていきます。夜は反対に〝内→外づけ〟。朝とは反対に顔の内側から外側に向けてつけていきます。こういう微細なステップこそ肌状態を上向きにするコツだと思いますよ。

日焼け止めに関しては、できれば1年中つけることをおすすめします。というのも、昨今は四季のリズムが崩れているので、うっかり怠っている間にメラニンが蓄積されてしまう可能性があるのです。今は日焼け止めもスプレータイプや透明なもの、さらりとしたテクスチャーのものまでバリエーション豊か。自分に合うものを探してみてください」

Q

4. 「面倒だから」と10年以上オールインワンを使っています。プチプラコスメも大好きです。でも50代からはやめたほうがいいという声も聞くし…。(55歳)

A

今の時代、気になるものがあればプチプラでトライを!

「オールインワン、手軽でいいですよね。プチプラコスメも、韓国コスメをはじめ質の高いものがどんどん登場して、日々進化しているなと思います。肌がしっとり潤ってここちいい状態ならオールインワンでもプチプラでもOKです。また、このアイテムを使ってみたいなと思っても、高価なものでは失敗したときに後悔するけれど、プチプラだったら『ま、いいか。ボディに使っちゃおう』と思えることも。だから悩んでいるものがあれば、ぜひプチプラで試してみるといいと思いますよ

どんなものだとプチプラでも満足感があるのか、次回#03にて私のプチプラ&コスパコスメを紹介するので、参考にしてみてください」

Q

5. YouTubeやインスタを見ていると、次々と欲しいものが出てくる→試す→肌に合わず後悔、というサイクルをいまだに繰り返し、やめられません。上手なSNSとの付き合い方を教えてください。(49歳)

A

まずは、時間帯や予算のルールを決めましょう

「今、本当に情報がたくさんあるので、おっしゃることはよくわかります。私も『なぜこれを買ってしまったのか』『あれ? (同じものが)2個も届いてる!』なんてこと、ときどきあるんです(笑)。解決方法はふたつ。まず深夜から朝方の決断力が鈍っているときにはなるべくSNSを見ない、見てしまってもその時間帯は購入しないと決めること。次に月の予算を決めておくこと。その設定があれば、計画的に行動ができると思います」

Q

6. どんなに「保湿」アイテムを使っても、高価なものをたくさん使っても、乾燥してしまいます。なにがいけないのでしょうか?(54歳)

A

足してダメなら引いてみる! 角質ケアを試してみては?

「年齢を重ねるにつれて、足すスキンケアばかりで、引くスキンケアを恐れてしまっていませんか? そこで提案したいのが、『足してダメなら引いてみよう』という視点。何をしても乾燥してしまう人は、メラニンを含む角質が肌の表面を覆ってしまってうるおいが届きにくい可能性があるんです。

そういう場合に試して欲しいのが、肌のすす払いともいえる角質ケアです。とはいえ、スクラブで肌をゴシゴシ刺激するものではなく、今はふき取りタイプの優秀なアイテムがたくさん出ています。それをコットンに含ませて、小鼻やあごのまわり、おでこなどをやさしく滑らせてみれば、そのあとのスキンケアの入り方が変わるはずです。おとな世代こそ、足すと引くのバランスを大切にしたスキンケアがおすすめです」

次回、「【特集】おとな世代の肌悩みを徹底解剖#03」では、小林ひろ美さんが考える、おとな世代のスキンケアで大切なことについて、伺います。愛用アイテムも公開!

小林ひろ美さん
  • 小林ひろ美(こばやし・ひろみ) 美容家、「美・ファイン研究所」主宰、リバイタライズサロン「クリーム」ディレクター。1991年、日本を代表する美容研究家である母・小林照子とともに「美・ファイン研究所」を設立。1998年、リバイタライズサロン「クリーム」をオープン。自身の経験に基づく理論と美容方が多くの人々の支持を集める。 Webサイト:「美・ファイン研究所
撮影/望月みちか
ヘア&メーク/広瀬あつこ
構成・文/本庄真穂
デザイン/日比野まり子