2023.12.13

【特集】ホルモンの変化と上手につきあう#04

俳優・熊谷真美さんが語る、心とからだに向き合う方法<後編>

OTONA BODY BOOK 編集部

年齢を重ねるにつれて、少しずつ減ってしまう女性ホルモン。誰にも平等に訪れるこの変化を、今なお美しく輝く先輩女性は、どのように受け止め、どのように対応してきたのでしょうか。俳優・熊谷真実さんに体験談を伺うこの企画、後編ではご自身が実践している運動について、また移住先の浜松での暮らしについて、語っていただきました。

運動は、
好きこそものの上手なれ

「今年、久しぶりにグラビアの撮影があって、肉体をグッと立体的にするべく、懸命にトレーニングに励んでいました。頑張った甲斐があって体重はそのまま、体脂肪を4%減らすことに成功。運動することで、からだそのものが健やかに保たれるのはもちろんのこと、気持ちまで晴れ晴れとする感覚がありました」

トレーナーさんからは「とにかくしっかり食べてください。そうしないと筋肉がつかないし、結果、脂肪を燃やすこともできないのです」と言われ、プロテインをしっかり摂取することを意識。普段は避けてしまいがちな炭水化物も、たんぱく質と結びついて脂肪を燃やす働きがあることを知り、適量を取り入れるようにしたのだとか。

「おすすめのトレーニング方法は、ずばりYouTube。私は今、ベリーダンスにはまっているのですが、憧れの人が錦糸町で踊ることを知り、その姿を見に行ったぐらい大好き。あれほど女性の肉体を究極に美しく見せてくれるダンスはないのでは、と思っています。今朝も、YouTubeで登録しているお気に入りのベリーダンストレーニングをやってきましたよ」

おとな世代であればこそ、「トレーニングは自分の好きなものを」というのが熊谷さんの持論。ダンスやヨガ、ピラティス、ウォーキング、ランニング、水泳…などなど、自分の心がときめくものを始めれば、日常的に取り組むようになると考えているそう。そのときのポイントはひとつ「有酸素運動であること」。更年期世代特有の脂肪は、有酸素運動を選ぶことで、より効果的に燃やすことができると教えてもらったのだとか。

熊谷真実さん

浜松に移住して、
人生が輝き始めた

「2020年夏、ご縁があって浜松に移住することになりました。『自然欠乏症候群』という言葉をご存知でしょうか。現代人の多くが抱える原因のはっきりしない不調は、自然から遠ざかっていることが理由のひとつである、という考え方です。浜松に住み始めて、この言葉がスッと腹落ちするようになりました。私にはずっと自然が足りていなかった。自然のエネルギーに囲まれて生きる今、心とからだ、そして人生が満ち足りていると感じています」

空気が澄んでいるから呼吸が深くなり、心からリラックスしていると感じるのだそう。木の葉が揺れる音や、うぐいすの鳴く声がのどかに響くのを聞きながら、暮らしが充実していることを実感する。日本ミツバチの箱を置いておいたら、巣をつくったという素敵な逸話も。

「自然豊かな土地で、すべてが満たされているので、皆さん人柄がおおらかなんですよね。じゃがいもや夏みかんなど、野菜や果物が玄関先に置かれている、というおすそ分けは日常のこと。この前は『たくさんつくったよ』って、おでんを分けてもらいました」

コロナ禍にあったとき、熊谷さんの胸にふつふつと湧き上がってきたのは「共同体をつくりたい」という思いでした。食材や食事をあげたりもらったりするこの状態は、まさに描いていた理想のライフスタイル。移住以来どんどん友人が増えて、今では60名ほどの名前が挙げられるまでになったのだそう。

熊谷真実さん

未来の自分から見れば、
今がいちばん若いのです

「私は浜松で暮らし始めたことで覚醒した、という感覚があります。心の窓がいつも開いていると言えばいいのかな。うまく言えないけれど、おてんとう様がずっと頭の上に降り注いでいるような、そんな感じ。これまで何かしら体調不良を抱えていたけれど、いろんなものが作用した結果、今は毎日が楽しいし、人生でいちばん幸せなんです」

熊谷真実さん

そう語る熊谷さんから、更年期トラブルで悩んでいたり、心にモヤモヤを抱えている女性に、こんなアドバイスをいただきました。

「童話『シンデレラ』に出てくる魔法の杖があるけれど、その杖を自分で自分にふるってあげるのはいかがでしょうか。だって、悩んでいる今のほうが、10年後の自分より確実に若いのだから。未来の自分を変えられるのは、現在の自分だけなのです」

熊谷真実さん
  • 熊谷真実(くまがい・まみ) 俳優・タレントとして、映画、ドラマほか幅広い分野で活躍。1979年NHK朝の連続テレビ小説「マー姉ちゃん」の主役に抜擢され、同年製作者協会(エランドール賞)を受賞。2016年「マンザナ、わが町」で紀伊国屋演劇賞・読売演劇賞受賞。2020年夏から静岡県浜松市に移住。2020年11月27日から「浜松市やらまいか大使」に就任。2021年6月から「静岡県観光プロモーション 観光PRメッセンジャー」に就任。
構成・文/本庄真穂
撮影/高木亜麗
ヘア&メーク/坂田佳子
デザイン/日比野まり子