読者のみなさんから寄せられた「白髪の素朴な疑問」に答える後編。まだ医学的に解明されていないことも多いという白髪。ゆえに不安も募るものですが、そんな気持ちに浜中聡子先生(クレアージュ エイジングケアクリニック総院長)が寄り添いながら答えてくださいました。
7.白髪ができる部位によって、体調の不調がわかるって本当ですか?
この部位に生えているのは眼精疲労だとか、右脳を使うと右側が白髪に…などの不思議なエピソードを聞くことがありますが、どこにも医学的根拠はありません。白髪は研究が進みにくい分野なので、いわゆる都市伝説も多いのです。
8.一度白髪になったものを、黒髪に戻すことは可能ですか?
これは残念ながら、NO。円形脱毛症や白斑症などで、生え始めは色素細胞の再生が追いついていないものの、後からしっかり再生されるパターンや、一時的に甲状腺機能が低下して白髪が増えたものの、治療で体調が戻ったパターンなどは、黒髪に戻ることはあります。ただ、加齢変化による白髪の場合、現在の医学的アプローチで黒髪に戻すことは不可能です。
9.「毛染めを続けると肝臓によくない」というのは、本当ですか?
ある程度の品質が保証された現在のカラーリング剤は、そこまで負担がかかるものは使われていないと考えられます。皮膚から蓄積した成分が肝代謝するというのも考えにくい話。そこまで心配する必要はないでしょう。
10.髪の毛が猫っ毛の人は白髪になりにくく、髪が硬い人は白髪になりやすい。このウワサは本当ですか?
白髪は硬くて太いので、髪が硬い人=白髪になりやすい、さらにその逆もありきと捉えているのかもしれませんね。ただそこに因果関係はありません。猫っ毛の方でも白髪になりますし、髪が硬い方でも白髪になりにくい方はいます。よく「自分は白髪だからハゲない」という人もいますが、これも希望的観測にすぎないことをお伝えしておきます。
11.白髪が生えるときは頭がかゆくなると聞きましたが、本当ですか?
白髪ではありませんが、円形脱毛症の回復期にそうおっしゃる方はいます。円形脱毛症とは、免疫機能が崩れて自分の毛穴を敵と勘違いし、リンパ球が集積してしまう症状で、ほとぼりが冷めるとその集積は治まります。ただそのリンパ球の影響か、敏感な方はむずかゆいとおっしゃる方はいます。ただそこに医学的根拠はないのです。
12.白髪によい食べ物を教えてください。
黒ゴマをはじめとして、わかめにひじき、のりなど…。日本人は髪によいものとして、烏の濡れ羽色の食材をイメージすることが多いですね。確かにそれぞれミネラル豊富ではありますが、髪の毛は基本的にタンパク質から生成されます。ケーキの材料がそろわないとケーキは焼けないように、また単品ダイエットは効果が低いように、髪のためにはさまざまな栄養素をバランスよくとることが重要です。しいて言えば、高タンパク低糖質を意識するとよいでしょう。
13.黒髪の時代におしゃれカラーをすると白髪になりやすい。というのは本当ですか?
カラーリングをすることで、白髪になりやすいということはありません。ただ、カラーや脱色、縮毛矯正などは頭皮・頭髪に負担がかかり、髪へのダメージが大きいことは事実です。カラーを楽しみたいときはなるべくその頻度を減らすなど、長い目で自分の髪とのつき合いを考えるとよいかもしれません。
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浜中聡子(はまなか さとこ)
医学博士。国際アンチエイジング医学会(WOSAAM)専門医、米国抗加齢医学会(A4M)専門医、米国先端医療学会(ACAM)専門医、日本抗加齢医学会専門医。 薄毛治療に多くの症例と実績を有するクリニック「クレアージュ エイジングケアクリニック」にて総院長を務める。
「クレアージュ エイジングケアクリニック」
デザイン/日比野まり子
イメージ写真/shutterstock.com
【特集】おとなの白髪問題、何が正解?(全4回)
- #01|実は知らないことばかり! 「白髪の素朴な疑問Q&A」<前編>
- #02|実は知らないことばかり! 「白髪の素朴な疑問Q&A」<後編>
- #03|美容エディター・毛髪診断士 伊熊奈美さんに聞く、間違いだらけの白髪ケアQ&A
- #04|美容エディター・毛髪診断士 伊熊奈美さんに聞く、「白髪ケアの4ステップ」&「ヘナ最新事情」