2023.01.26

【特集】おとなの「はじめて」は楽しい#03

ビューティ ライフスタイル デザイナー・藤原美智子さん 習慣にする、言い訳しない。始めたことを続けるコツ 後編

いくつになっても、新しいことを始めるときはドキドキするもの。その一歩を踏み出すことにちゅうちょする人もいるかもしれません。前編では、ビューティ ライフスタイル デザイナー・藤原美智子さんに、フットワーク軽く行動を起こす秘訣を教えてもらいました。後編は、「続けるコツ」について語っていただきます。

自分が喜ぶアプローチを考えてみる ランニング、バレエ、そしてピアノ。私が年齢を重ねて始めたことが、今なお続いているのには、理由があります。思い切ってスタートさせたことを、日々やり続けて、習慣にする。そのためには、モチベーションを上げるための創意工夫が必要なのです。

まずひとつ目が「チェックマークをつけること」。私は手帳に「ラ」(ランニング)とか、「ピ」(ピアノ)などと書き込んでおいて、それらをやり終えた時点で、ピッとチェックマークをつけます。そのときの達成感、そして快感たるや。この喜びを味わうために続けているのかも、と思うぐらいです(笑)。ふたつ目は、「5分でもいいからやる」。人は5分やれば10分やるし、10分やれば15分続けるものです。だからとにかく最初の5分だけやってみる。本当に忙しいなら合間合間の5分を利用するのでもいい。取り掛かることを、おっくうがらない。ぜひ意識してみてください。さらに3つ目が、「言い訳をしない」。まとまった時間が取れないからできない、というのは単なる言い訳だと思うんですよね。おとなになると、できない言い訳が上手になってしまうけれど、それでは自分をだまし続けてしまうだけ。自分の背中は自分で押してあげる。そうして、ミッションをクリアした自分を褒めてあげましょう。

やる気が出ない日はお休みしてもいい それでもくじけそうになったら、「目の前のことではなく、少し先を見る」ことを意識してみるのはどうでしょう。私の場合は、ランニングを続けたことで、継続すれば力になることを経験したことから、バレエがなかなか上達しないときは「今が一生続くわけではない」と言い聞かせて、一歩先を見るようにしています。

もしくは、「一度お休みしてみる」のも手かもしれません。そこで「やる気が出ない」という気持ちを思う存分に味わい尽くすのです。すると不思議なことに、それが本当にやりたいことならば、改めて「やってみよう!」と意欲が湧いてくるのですよね。気力や体力の波は誰にでもあるもの。だからこそ、自分のペースやリズムを知っておく。それも、おとなのたしなみかもしれません。ここまでお話ししてきたこと、いかがだったでしょうか。これらはあくまで私の事例。この中からぜひ自分に合うものを見つけて、参考にしてもらえるとうれしいです。

「今さら…」は損。人生は楽しんだもの勝ち ところで私は、2022年秋に大学の特任教授に就任しました。信州大学社会基盤研究所の教授たちと一緒に、ストレスや幸福が人の美しさに与える影響について、研究に取り組むことになったのです。私はずっと、ヘアメイクが人の外見ではなく、内面にどんな変化を与えるのかについて興味を抱いてきました。研究ですから時間がかかるのですが、そのエビデンスを出すことに関われることにとても幸せを感じています。人間は生きていると、何が起こるかわからないものです。だから「今さらやって何になるの?」なんて考えるのは損。頭で考えすぎず、心とからだが反応したことを純粋に楽しんでみる。それこそが、年齢関係なく人を輝かせる源になる。そのように考えています。

藤原美智子(ふじわら みちこ)ビューティ ライフスタイル デザイナー、「MICHIKO.LIFE」プロデューサー。2022年4月をもって、トップで活動し続けた42年間のヘアメークアーティスト活動を終了。現在は雑誌や広告での執筆、講演、TV等で活躍し、幅広い年齢層から支持を集めている。2022年秋、信州大学の特任教授に就任。

今だと思ったら、迷わずGO!/藤原美智子さん<前編>

構成・文/本庄真穂
撮影/高木亜麗
ヘア・メイク/田中宏典
デザイン/日比野まり子