植物療法士・森田敦子さんの肌習慣<前編>
特集/正しく知りたい肌のこと
語り/森田敦子(植物療法士)

日本における植物療法士の第一人者でもある森田敦子さんが、肌を健やかに保つライフスタイルから、ハーブの活用法までレクチャー。重病を患いながらも、思考法の変化や植物療法によって、肌や髪、粘膜を再生した経験をもつ、森田さんのライフスタイルに迫ります!
Secret1
前向きな思考こそ肌へのダメージを防ぐ第一歩
「20代後半にダストアレルギー気管支喘息を患い、強力なステロイド剤を使用する治療で、肌も心もボロボロになってしまいました。その後、周りのサポートもあり、フランスで植物療法と出合うのですが、そこでは、ハーブなどの植物がからだにもたらす作用も知識として習得すると同時に、考え方を根底から変えることも学んだのです。
健やかな肌を保つためには、ストレスホルモンを出さない思考のあり方が大切なのです。辛いことや悲しいことがあっても、「ドンマイ」「なんとかなる=ケ・セラ・セラ」と考えるようにしています。泣き崩れて、不満を心に溜めてしまうと、肌にもダメージをもたらすからです」
Secret2
睡眠なくして、美しい肌はつくれません
「健康的な肌をつくるには成長ホルモンという、睡眠時に分泌されるものがカギとなります。いくら高価な美容液を塗ったり、アロマを使っても、睡眠がおろそかになると、肌にはマイナスになってしまします。
肌のために絶対やってはいけないことがあります。それはベッドサイドでスマートフォンを見ること。画面から出るブルーライトが視線に入った瞬間に、
メラトニンという睡眠を司るホルモンの分泌が阻害されてしまうのです。スマートフォンをアラーム代わりに使っている人も多いかと思います。スマートフォンは寝室にはおかず、アラーム用にはきちんと目覚まし時計を使いましょう」
Secret3
呼吸法でセロトニンとメラトニンのサイクルづくり
「
眠りの質をよくするために、習慣づけているのが呼吸法。朝に目覚めたときと夜寝る前に行います。朝に行う呼吸法は、息をフーっと吐き切ってから吸う、という簡単なもの。吐くときに力を入れるのがポイントです。この1分間ほど行う呼吸法を"セロトニンのボタン"と呼んでいますが、幸せホルモン=セロトニンが出やすい状態をつくるために行います。一方、夜寝る前に行う呼吸法は"メラトニンのボタン"。これは、軽く座り、半眼で30秒の瞑想をするもの。寝る前になにも考えないという"空"の時間をつくるのが目的です。
1日を呼吸で始めて、呼吸で終わることを、セレモニーにしています」
Secret4
肌を健やかに整えるハーブがあります
「
思考、睡眠、呼吸といった、お金をかけず解決できる"当たり前のこと"が習慣づいたら、ハーブの力を借りる出番。肌に効果的に作用するハーブといったら、次の5つがおすすめです。①エキナセア(からだの免疫力を高める)②ハトムギ(肌の再生力を高め、シミを予防)③ゴツコラ(代謝を促す。吹き出物などの炎症に作用)④チェストベリー(女性ホルモンを調整。月経中のニキビなどにも作用)⑤メリッサ(悩みを軽減。婦人科系のトラブルにも作用)これらは、肌だけでなく、艶やかな髪の毛をつくる効果も期待できます。
植物がもつ力を信じながら、ハーブティなどで取り入れていくのがおすすめです」
Secret5
血流を促進し、ヘルシーな肌づくりを
「
美しい肌を手にいれるためには、血流をよくし、体温を上げることにも気を配りましょう。手先の関節をさすって、毛細血管を刺激するだけでも、効果が期待できるのでお試しを。血流促進に効くハーブは、次の3つがおすすめです。①ジンジャー(生姜)(からだを温め、胃腸の血行も促進。生姜1つをスライスして日陰干しにしたものを300ccほどの水でコトコト煮て、ジンジャーティに)②ホーソン(血管が丈夫になり、血液循環も促進)③ヴァンルージュ(血行を促進し、抗酸化作用もある万能なハーブ)
冷え性で悩む女性が多いですが、そのまま放置せず、3ヶ月をめどに、体質改善を目指したいものです」
赤ぶどうの実のる前の葉からつくられるハーブ。ポリフェノールの塊で、冷え解消抜群。
〈
後編〉では、肌のためのさらなる奥義を伝授します。
取材・文/川口夏希
撮影/長谷川梓