漢方薬剤師・堀江昭佳さんが血流のために実践していること<後編>

特集/驚くべき血管の役割!

語り/堀江昭佳(漢方薬剤師)

堀江昭佳さん 出雲大社参道で90年以上続く老舗漢方薬局の4代目として、また『血流がすべて解決する』の著者としても知られる堀江昭佳さん。後半では、堀江さんの実践している血流のための「食の習慣」についてお聞きしました。どのようなことを意識して、何を取り入れているのか、詳しく教えてもらいます。

意識して「空腹の時間」をつくる

血液は、自分が食べたものでつくられています。その食べ物を消化する胃腸が疲れていると、充分な量やいい質の血をつくることができなくなってしまいます。人間を木に例えるなら、胃腸は栄養を吸う根っこの部分。胃腸を疲れさせて、いわば"根腐れ"の状態を引き起こしてしまういちばんの原因は、食べ過ぎです。ぼくは、昨日は食べ過ぎちゃったな、ちょっと胃腸を休ませたいな‥そんな時には「夕食断食」を行っています。徹底的な断食ともなると専門家の指導が必要なのでハードルが上がりますが、夕食断食は、ただ夕飯を抜くだけ。誰でもすぐに実行できます。夜の食事を抜くのが難しい日は、朝食やランチを抜くなど、1日のなかで意識的に空腹を感じる時間をつくるようにしています。

小腹が空いたときは、第一大根湯

断食中にちょっとした空腹を感じ、おなかに少し何か入れたいときは、おろした大根と生姜に番茶を入れて、お醤油を少し垂らす「第一大根湯」をつくっています。これはからだも温まりおすすめですよ。風邪をひいた時にもてきめんに効きますが、何日も連続して食べるのは胃に負担がかかってしまうので、避けてください。 小腹が空いたときは、第一大根湯

日々の食事は、旬のものをとる

血液は食べたものでつくられているとお伝えした通り、いい血をつくるためには、何を食べるかがとても大事。といっても、これがからだにいいとか悪いとか、難しく考える必要はありません。ぼくが食事において大切にしていることは、ごくシンプルに「旬のものを食べること」。同じ食材でも旬の時期とそれ以外とでは栄養素が全然違うんですよ。ほうれん草もビタミン豊富な野菜として知られていますが、旬の冬の時期と夏ではビタミン量はおよそ倍近く変わります。漢方には、季節の変化に合わせて、起床時間など生活リズムを変えると病気をしにくいという考え方がありますが、旬のものを食べることも、季節に合わせて生活する実践のひとつです。

玄米食+サプリで食物繊維をとって、毎日スッキリ

血流にとって、腸内環境を整えることはとても大切なこと。腸内環境が悪いと悪玉菌が優勢になり、血液もドロドロとなり、血流だけでなく万病の元になってしまいます。腸内環境の目安となるのは、日々のお通じの状態。漢方の歴史をさかのぼると、インドのアーユルヴェーダがその原理なのですが、アーユルヴェーダの考えでは、前日までのものは不浄のものとされています。よって毎日のお通じによって老廃物を出すことはとても大切なことです。

快便のために欠かせないのが食物繊維

ぼくは白米よりも玄米が好きです。ぬかを取り除く前の状態である玄米は、ミネラルも豊かですし、食物繊維は白米の5倍もあるのです。ただし、玄米はよく噛まないと胃に負担をかけてしまうので、苦手な人は雑炊にしたり、おかゆにすると食べやすくなりますよ。食物繊維は、玄米食のほかに毎日サプリでも補っています。この「調爽源」は、ぼくが自分のために開発したもの。悪玉菌を増やしてしまう人工甘味料を使わず、こだわり抜いた自信作(笑)。朝のスッキリのためにも血流のためにもこのサプリは手放せません。 調爽源

その日の体調に合わせて、漢方を飲む

よく飲んでいる漢方は3つあります。腰痛予防のために飲んでいる「独歩顆粒」、血流をよくする効果のある「冠元顆粒」、そして足りない気を補い、血流とからだに活力を与える「麦味参顆粒」です。からだにとって基本となる血や気のために、その時々の自分の健康状態を見ながら、適切な漢方薬を選んで飲むのが習慣。何を食べるか、何を飲むか、それとも何も食べない空腹の状態が必要なのか。今の自分のからだの状態をよく見ることが、いい血流をつくるのだと思います。 「独歩顆粒」、「冠元顆粒」、「麦味参顆粒」

堀江昭佳(ほりえ あきよし) 「堀江薬局」代表、漢方薬剤師、不妊カウンセラー、一般社団法人日本漢方薬膳協会代表理事。出雲大社参道で90年以上続く老舗漢方薬局の4代目。 薬学部を卒業後、薬剤師となったのち対症療法中心の西洋医学とは違う、東洋医学・漢方の根本療法に魅力を感じ、方向転換する。血流を中心にすえた西洋医学、漢方医学、心理学の3つの視点からの総合的なアプローチは評判を呼ぶ。地元島根はもとより全国、海外からも相談があり1か月先まで予約がいっぱいの状態が続いている。著書「血流がすべて解決する」も大好評。
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取材・文/大庭典子
撮影/高木亜麗