2025.04.30

【特集】おとなの紫外線対策#02

あらためて知っておきたい、おとなのための紫外線用語解説

「銀座ケイスキンクリニック院長」慶田朋子先生

年齢を重ねてどんどん増えていくように感じるシミやしわ。その予防のためにも紫外線対策は欠かせません。そこで知っておきたいのが、紫外線にまつわる数々の用語について。そこで、「銀座ケイスキンクリニック院長」慶田朋子先生に監修をお願いし、解説集としてまとめました。知っていたつもりの基礎知識、あらためてアップデートしておきましょう。


エストロゲンの低下と
紫外線対策の密なる関係

更年期を迎えると、女性ホルモンの低下によって皮膚にもさまざまな影響が出てきます。ケラチノサイトによる皮膚再生の動きが鈍ったり、コラーゲンの分解が進み、ヒアルロン酸の合成力が減るなど、これまではエストロゲンの作用で得られていたことが、年齢とともに失われていくことになります。

また、女性ホルモンで高く保たれていた酸化ストレスの抵抗性が、加齢によりさらに弱まっていくのも事実。紫外線を過度に浴びることは免疫力を低下させることにつながり、ヘルペスや帯状疱疹が出やすくなることも考えられます。肌だけでなく、からだ全体にも影響を与えるのが紫外線。あらためてそれぞれの用語の意味を理解して、正しく紫外線対策に取り組んでいきましょう。

紫外線(しがいせん)
地上に届く太陽光の一部で、人間の目には見えない光。強いエネルギーをもっていて、物質に化学的な変化を起こすのが特徴。波長が長い順にUV-A、UV-B、UV-Cの3つに分類される。
UV-A(ゆーぶいえー)
紫外線A波のことで、波長が長く、肌の奥深く(真皮深層)まで届く紫外線。地表に降り注ぐ紫外線の約9割を占めており、雲や窓ガラスも透過するため「生活紫外線」とも呼ばれている。肌の弾力やハリを低下させ、シワやたるみの原因になると言われている。
UV-B(ゆーぶいびー)
紫外線B波のことで、波長が短く、肌の浅いところ(主に表皮)に急激なダメージを与える紫外線。日焼けによる炎症(サンバーン)と、メラニン色素の沈着(サンタン)を引き起こす。UVBによるDNAの傷が修復しきれないと、メラニン色素が無制限に増えてしまい、シミやそばかすの原因になると言われている。
UV-C(ゆーぶいしー)
紫外線C波のことで、太陽光のなかで最も危険な波長だが、地球を覆うオゾン層にさえぎられるため、通常地表へは届かない。細胞のDNAを破壊する力が強いため、細菌やウィルスを死滅させる、強い殺菌力をもっている。
SPF(えすぴーえふ)
「Sun Protection Factor」の略。UV-Bに対する防止効果を示すもの。SPFの数値は、日焼け止めを塗った場合、塗らない場合に比べて、肌が赤くなるまでの時間が何倍長くなるかを示している。SPFの数値が大きいほどその防止力が高まる。
PA(ぴーえー)
「Protection Grade of UVA」の略。UV-Aに対する防止効果を示すもの。PAは「PA+」~「PA++++」の4段階で表示され、「+」が多いほど防止力が高まる。
紫外線吸収剤(しがいせんきゅうしゅうざい)
日焼け止めに使用されている紫外線防止成分のひとつ。紫外線を吸収して、熱や赤外線などのエネルギーに変化させて放出することで、紫外線のダメージが皮膚に届かないようにする役割がある。透明な油性成分で、伸びがよく白浮きしない、使用感がよくなる、汗でくずれにくいなどのメリットがある。
ビタミンD(びたみんでぃー)
カルシウムの吸収を助けて骨を形成・維持する脂溶性のビタミン。免疫機能やホルモンバランスの調整など、さまざまな働きがある。食生活で補うだけでなく、日光を浴びることによって皮膚で合成される特徴がある。
ブルーライト(ぶるーらいと)
可視光線の中で青色の光。紫外線と同様に細胞障害性が強い。UVAより波長が長く、真皮深層まで届く。目の奥まで届き、眼障害の一因となる。太陽光をはじめ、パソコン、テレビ、スマートフォンなどの液晶画面からも多く放射されている。長時間目に入れると、視界のちらつきや目の疲れ、体内リズムの乱れが引き起こされると言われている。
活性酸素(かっせいさんそ)
呼吸で取り入れた酸素が通常よりも活性化した状態のこと。紫外線は、タバコ、ストレスなどと同様に活性酸素を発生させる。皮膚の細胞内で大量に発生した活性酸素は、メラニンを増やしシミを、DNAに傷をつけ老人性イボや皮膚がんを、コラーゲン線維、エラスチンを分解・変性させることでシワをもたらし、これらを称して光老化と呼ぶ。
UV耐水性表示(ゆーぶい たいすいせいひょうじ)
水に濡れる場面での紫外線防止用化粧品を選ぶ際の目安となるもの。水に触れない条件で測定した日やけ防止効果(SPF)が、水に触れたあとにどれだけ保持されているかを調べ、一定の基準を満たすと製品に表示される。レベルは☆の数で示され、☆(ワンスター)、☆☆(ツースター)の2段階となる。

次回、【特集】おとなの紫外線対策#03では「慶田先生が答えます。おとなの紫外線対策Q&A<前編>」をお届けします。

  • 慶田朋子(けいだ・ともこ) 美容皮膚科医、「銀座ケイスキンクリニック」院長。東京女子医科大学医学部医学科卒業後、皮膚科助手、美容クリニック勤務などを経て、クリニックを開設。日本皮膚科学会認定皮膚科医専門医。日本レーザー医学会認定レーザー専門医。医学博士。 公式サイト:「銀座ケイスキンクリニック
構成・文/本庄真穂
デザイン/日比野まり子
イメージ写真/stock.adobe.com

【特集】おとなの紫外線対策(全5回)