2024.05.15

【特集】あなたの骨、大丈夫ですか?#01

最新の骨密度検査を体験! 若い世代と比較すると…

女性のための整形外科 伊藤薫子先生

普段生活をしていて、自分の骨の状態を自覚することはほとんどなく、健康診断ではオプション扱いになってしまう骨密度の検査。測ったのはもう何年も前という人も多いでしょう。今回の特集は、女性ホルモンの値と密接に関係している骨密度について。骨粗しょう症という概念ができてからまだ30年と日が浅く、治療法や検査法などさまざまな情報が日々アップデートされています。#01では、骨を知る第一歩である検診を担当ライターがレポート。50代の女性が多く通い、骨活を実践している「女性のための整形外科、かおるこHappyクリニック」での検診と、伊藤薫子院長のお話をお届けします。

骨は見えない、
だからこそ数値化を

骨は弱っていてもなかなか自覚することができません。だからこそ、数値化して知ることが大事です」と伊藤先生が話すように、現在の骨の状態を知ることは、骨粗しょう症の予防につなげるためにとても重要なことです。

「女性のための整形外科、かおるこHappyクリニック」伊藤薫子院長

骨密度の検査には大きく3つあります。ひとつは、かかとやスネに超音波を当てて測る「超音波法」。保健所など自治体の検診で使われることが多く、よく知られている検査法ですが、骨粗しょう症の正確な診断を行うことはできないことがデメリットです。もうひとつは、X線を使って両手の骨密度を測る「MD法」で、整形外科でもよく使われています。

3つ目は、もっとも正確に骨密度を測定できるといわれている「DXA(デキサ)法」です。「DXA法」のポイントは、腰椎(ようつい)と大腿骨(だいたいこつ)の2カ所を測定すること。「骨粗しょう症による骨折が起こりやすい2つの部位を測ることで、自分の骨の状態を正しく知ることができます」と伊藤先生。

骨の現状を知る検査は
数分で終了!

今回は、最新機器で「DXA法」による検診を体験します。「DXA法」は、微量のX線による測定ですが、ボタンや金具、ワイヤーなどは画像に写ってしまうため、ガウンに着替えて撮影台へ。関節の状態がよくわかるように足を少し開き、仰向けで横たわっていると、足元のバーが胸元に移動し、そこから“ウィンウィン”と少しずつ下がりながら撮影をします。じっとしていることおよそ3分。…あっという間に検査が終了しました。

クリニックでは、最初に問診を行い、骨密度検査をした後は、カウンセリングルームで先生と対面で話をします。ドキドキしながら結果を待っていると、すぐに先生の手元へ届き、プリントアウトされたものが手渡されます。

「骨密度は、平均値を100%としたときの自分の骨量の割合が数値化されています。結果の欄には2つのパーセンテージがありますが、ひとつは同年齢の平均と比較したもの、もうひとつ若い世代の平均と比べたものです。重要なのは、若い世代と比べたときの数値。骨粗しょう症と判定される基準は、(若い世代と比べて)70%未満の場合で、70~79%なら骨量減少(骨減少症)、80%以上なら正常だと診断されます。70%を切った患者さんに対しては、さらに骨の状況を調べるために当クリニックでは採血を行います。

骨は、カルシウムを使って骨をつくる『骨芽細胞』と、骨を溶かして壊す『破骨細胞』によって日々新しくつくられています。骨粗しょう症は、2つの細胞のバランスが崩れてしまい、つくる細胞よりも、壊す細胞の働きが活発になった状態。新たにつくるよりも壊されるスピードが早く、骨がスカスカになってしまうのです。採血では、この2つの細胞のバランスを見ていきます」

かかりつけの整形外科医、いますか?

カウンセリングでは、自分の骨の状態と、健康な骨をつくるためにできること、また更年期において骨密度減少のカーブを少しでも緩やかにするために、食や運動、医療などさまざまな角度からのアプローチについて、ひとりひとりに合わせたアドバイスが行われます。こちらのクリニックでは、骨の状態を改善するための4カ月間のプログラムを作成してもらえますが、自分の骨の状態を継続的に見てくれるかかりつけ医師の存在は心強く、ひとりで頑張るよりも、成果が出やすいといった側面も。

同世代と比べると平均を下回るものの「問題ありませんね」の先生の言葉にひと安心。骨のための食や運動、普段の生活面からたくさんのアドバイスをいただきました(詳細は特集#03で)。

「今、自分の骨がどうなっているのか、どれだけ弱っているのか、もしくはいい状態なのかを知るためにも、40歳になったら一度検診を受けていただきたいです。一般的に骨密度は閉経後の3~5年で最も下がるといわれています。毎年骨密度を測ると、下がり方のカーブなどその方の特徴がわかり、多角的に対策ができることもメリットです。できれば、更年期の間も共に経過を見て、アドバイスをくれるかかりつけの整形外科医をもつことをおすすめします」と伊藤先生。

骨密度の結果を知ることは、思った以上にドキドキします。ですが、測定することで、改善や予防について選択肢が広がるならば、前向きな気持ちで受けることができますね。次回#02では、骨粗しょう症に陥りやすい3つの要因について解説いただきます。そして、更年期になぜ骨密度がガクンと落ちてしまうのか、女性ホルモンと骨の密接な関係について引き続き、伊藤先生にお伺いします。

  • 伊藤薫子 かおるこHappyクリニック院長。日本整形外科学会専門医、日本整形外科学会認定脊椎脊髄専門医。東京女子医科大学医学部卒業。2021年、東京の帝国ホテル内に「女性のための整形外科かおるこHappyクリニック」開院。大学病院で骨粗しょう症外来に4年間勤めた経験と、背骨の認定医としての知見を活かし、骨粗しょう症の早期発見と治療、骨活プログラムに注力している。いくつになっても背筋を伸ばしてハイヒールを履き、輝く女性を増やしたい、との思いをもって日々治療を行う。
取材・文/大庭典子
撮影/高木亜麗
デザイン/日比野まり子
イメージ写真・イラスト/stock.adobe.com

【特集】あなたの骨、大丈夫ですか?(全4回)