2024.06.12

【特集】あなたの骨、大丈夫ですか?#04

カルシウム&ビタミンD・Kで50代からのヘルシー骨活

骨密度改善サポーター・管理栄養士 内田 祐子さん

骨にとって大切な主な栄養素は3つ。どんな食材が骨を強くするのかを知ることは、今後の食生活においても、とても重要なことです。骨密度改善サポーターとして活躍し、これまでに20代~80代までさまざまな年代の骨密度測定を行ってきた、管理栄養士の内田祐子さんに50代での食の骨活について教えてもらいます。

50代の骨活で、
これからの人生の骨の健康が決まる!

私は、かつて地域の健康増進センターで働いていたことと、高齢者に向けた栄養指導を行った経験から痛感したことがあります。それは、女性の骨密度が下がり始める50代で、どれだけ骨にいい生活を定着させるかが、その後の骨の健康を大きく左右するということ。

私自身もそうでしたが、どれだけ生活習慣に気をつけていても、更年期を迎え、女性ホルモンが低下すると骨密度が減少するといった、骨が弱くなる要因として避けられないものもあります。更年期だけではなく、遺伝的な要素も自分ではどうすることもできません。

一方で、骨の健康のために自分でコントロールできることもあります。運動をすることや日光にあたることを習慣にして、無理なダイエットやお酒やカフェインなど嗜好品の過剰な摂取を控えること、そして誰もが必ず毎日行う「食事」を改善することです。

一生使える、
骨にいい食材を知ろう

骨にとって大切な栄養素の代表は、カルシウムやビタミンD、ビタミンKです。骨の主な構成成分であるカルシウム、腸管でのカルシウムの吸収を助けるビタミンD、カルシウムが骨につくのを助けるビタミンKと、それぞれの役割があります。せっかくカルシウムをとるならば、ぜひ一緒にビタミンD、ビタミンKの摂取を意識しましょう。効率的にカルシウムの吸収率を上げることができます。

カルシウムは650mg、ビタミンDは8.5μg(マイクログラム)、ビタミンKは150μgと摂取基準の量(*)はあります。ですが、それぞれの栄養素が含まれる食材を偏りなく食べられていれば問題ないと考えてよいでしょう。
*日本人の食事摂取量基準2020年版より。30~64歳までの女性の摂取基準

カルシウム

カルシウムは、牛乳やプレーンヨーグルト、ミックスチーズなどの乳製品や、桜エビやちりめんじゃこ、さば缶、煮干しなどの魚加工品に多く含まれています。これらの動物性食品は、カルシウムの吸収率が高いのもうれしいポイント。ただし、カルシウムは一度にたくさん吸収されないので、まとめて1食でとるのではなく、いろいろな食材から少しずつとることが大切です。

納豆や木綿豆腐、厚揚げなどの大豆製品や小松菜や水菜などの青菜類などカルシウムが多く含まれた植物性食品は、動物性たんぱく質と一緒にとると、吸収率がアップしますよ。乳製品が苦手という方は、粉末状のスキムミルクをカレーやスープなど料理に少し入れてみるのはいかがでしょう?

ビタミンD

鮭やいわし、あじやマグロなどの魚介、ちりめんじゃこやサバ缶などの魚加工品、まいたけや干ししいたけなどのきのこ類に多く含まれています。特におすすめは缶詰。魚の骨がやわらかくなっていて骨ごと食べられます。また、健康効果が期待できる魚の油、DHAやEPAは缶詰の汁にも溶け出します。栄養を無駄なく摂取するためぜひ缶詰の汁まで調理に使ってください。

ビタミンK

圧倒的に多いのは、納豆です。ほかにはほうれん草や小松菜、春菊、ブロッコリー、にらなどの青菜も多く含みます。納豆に、ちりめんじゃこを混ぜた一品や、お味噌汁に小松菜や納豆を入れた一品など、それだけでちょい足しの骨太料理になりますよ。

おいしい、骨活レシピ

パッククッキングという言葉、聞いたことがありますか? ポリエチレンの袋にカットした食材を入れて、 調味料をもみ込んで、20~30分湯煎する調理法です。とても簡単ですし、袋に入れたまま調理するので、鍋のまわりに調味料がつくこともなく、少量の調味料でも味が浸透するので減塩にもなります。今回は、簡単にできるパッククッキングのシチューのレシピをご紹介します。

鮭ときのこのシチュー

材料<2人分>

  • 鮭 2切れ
  • にんじん 40g
  • しめじ 40g
  • じゃがいも 40g
  • 牛乳(または豆乳) 300g
  • 塩 小さじ1/2
  • 小麦粉または米粉 大さじ1と1/2
  • バター 大さじ1と1/2
  • ホワイトペッパー 適量
  • ポリ袋 1枚

作り方

  1. にんじんはいちょう切りにして、しめじは石づきを取ってほぐす。
  2. 鮭は塩で下味をつけてひと口大にカットする。
  3. 鮭、にんじん、しめじと小麦粉を袋に入れ、ダマができないように小麦粉を材料にからませる。
  4. 3に残りの材料をすべて入れる。
  5. 袋の空気を抜いてよく混ぜ、口を結ぶ。
  6. 袋ごと沸騰した鍋に入れて20分加熱する。盛り付ける前にやさしく混ぜる。

牛乳のカルシウムや、鮭やきのこのビタミンDとKがしっかりととれる骨太料理です。講演で紹介すると、ルーを使わなくてもこんなに旨味が出るんだとの声をたくさんいただくので、ぜひ試してみてください。

続いて、鶏肉料理をもう1品ご紹介します。骨付肉を酢で煮ると、カルシウムが煮汁に溶け出します。冷蔵庫で4日間保存OKなので作りおきおかずとしても便利です。

鶏手羽の酢煮

材料<2人分>

  • 鶏手羽元 4本
  • オクラ(またはブロッコリー) 4本
  • 卵 2個
  • 醤油 大さじ2
  • 酢 大さじ2
  • みりん 大さじ1
  • 砂糖 小さじ2
  • ポリ袋 2枚

作り方

  1. 鶏手羽元は、水気をよくふく。
  2. ポリ袋に手羽元と調味料を入れてなじませる。
  3. 別のポリ袋に卵とオクラを入れる。
  4. 2のポリ袋は電気ポットで20分、もしくは、沸騰した鍋の火を弱火にして20分湯煎する。
  5. 3のポリ袋は電気ポットで15分、もしくは、沸騰した鍋の火を弱火にして15分湯煎する。
  6. それぞれを盛り付ける

1食でカルシウム117mgもとれて、ビタミンKたっぷりのオクラとの相性も抜群の骨太料理です。おいしいものを楽しくいただきながら、骨活も同時にやっていく。50代は骨にとって大切な年代であることを念頭におきながら、良い食生活を習慣にしてください。

  • 内田 祐子(うちだ ゆうこ)さん
  • 内田 祐子(うちだ ゆうこ) 骨密度改善サポーター・管理栄養士。高校時代に摂食障害になった経験から、食と健康の重要性を痛感し栄養士の道へ。管理栄養士取得後、給食会社、クリニックに勤務し、現場の調理業務や栄養指導、市の骨密度健診業務に携わり経験を積む。7年でのべ2200人あまりの骨密度測定を経験。保健師、運動指導士とともに福祉施設などを回り、20代から80代の女性の骨密度の悩み相談を受ける。さまざまなメディアでの執筆や講演活動を通して、骨粗しょう症改善の啓蒙を行う。2019年はFRAX(骨折リスク評価ツール)体験、レシピ開発、2022年は骨トレ体験講座、2024年からパッククッキングのオンラインセミナーも実施している。
取材・文/大庭典子
デザイン/日比野まり子
イメージ写真・イラスト/stock.adobe.com

【特集】あなたの骨、大丈夫ですか?(全4回)