今回の特集にあたって、ワコールが行ったアンケート(集計結果は、尿もれ特集#01、#02で)では、尿もれに関してのご質問も多く寄せられました。特集#04では、その中からご質問をピックアップして、高尾美穂先生にお答えいただきました。
*軽失禁・尿もれは、加齢や出産などにともなって起こる、「尿をしようとしていないタイミングで、膀胱から尿がもれてしまう」状態をさします。

【質問1】
子どものころの失敗と、大人の尿もれ、何が違うのでしょうか?
大人の尿もれというのは、尿を出そうとしていないのに、自然に漏れてしまう現象のこと。子どもの粗相は、おしっこをしようとしているわけだから、尿もれとは意味合いが異なります。子どもに関してはおしっこを徐々にコントロールできるようになりますが、大人の場合は完全に治すのは難しいという点も異なります。
【質問2】
未出産の30歳で尿もれがクセになっています。早すぎますか?
そうですね、早いかもしれませんね。理由がわからないのでなんともいえませんが、漏れやすい動き(重たいものを持ち上げる、ジャンプをする、など)を日常で多くしていることが予想されます。まず、どんな動きをしたときにもれやすいかを知っておき、その動きをするときに、自分の意思で止める(しめる)ことを意識してみてください。尿道をしめるのは難しいので、「お尻の穴をしめる」意識をするといいでしょう。
この「しめる」という感覚は、なかなかつかみにくいし、効果も見えにくいもの。だからといって諦めずに、日常の習慣としてぜひ続けてほしいと思います。

【質問3】
尿もれにいいというサプリ、服用したら治るでしょうか?
からだに合えば、サプリでもよい方向に向かう場合はありますが、基本的にサプリが症状を「治す」ことはないと考えましょう。尿もれに限らず、症状を治す成分は、サプリではなく医薬品として扱われます。薬局で相談するか、必要であれば病院で処方してもらうことをおすすめします。
【質問4】
避けたほうがいい飲み物は?
つくられる尿の容量が増えるという意味で、アルコール類やカフェイン飲料は控えたほうがいいでしょう。
【質問5】
病院に行く目安は? 行くとしたら何科を受診したらいい?
もれる量・回数とふたつの点において、日常生活に支障がある場合は、女性泌尿器科を探して受診することをおすすめします。とはいえ多くの場合は、ご自分で日常生活の中でケアしたり、エクササイズをしたり、というアドバイスで終わることも多いのが事実です。
それでも日常生活に支障をきたす、行動が大きく制限されてしまうなど、お困りのようなら、尿の量をコントロールする薬を処方してもらえることもありますし、手術をすすめられることもあります。

【質問6】
仕事中の姿勢などで予防できることはありますか?
骨盤底筋のエクササイズのひとつとして、いすに座った状態で内ももに力を入れるという方法があります。このとき、オフィスによくあるプラスチック製のゴミ箱(空の状態で)を太ももにはさんでデスクワークをしてみましょう。最初は5分でもキツく感じるでしょう。やがて慣れてきたら、ゴミが入った状態のゴミ箱で重さを加えてもいいし、ペットボトルに水を入れて挟むのでも。自分に合った、続けやすい方法を見つけてみてください。
次回、尿もれ特集#05では、尿もれ防止の要となる骨盤底筋のトレーニングをご紹介します。
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- 高尾 美穂(たかお みほ) 産婦人科医・医学博士・スポーツドクター。女性のための統合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長。産業医として内閣府男女共同参画局、人事局で職員研修を担当。 長年ヨガを愛好し多くのヨガインストラクターを指導。YouTube「高尾美穂からのリアルボイス」では毎日、女性のお悩みに答え、楽に生きられる考え方を配信している。 「ワコール フェムケア」サイト 監修 「高尾美穂オフィシャルサイト」
デザイン/日比野まり子
【特集】あれ? もしかして尿もれ?みんなの実態を聞きました(全5回)
- #01|1500人アンケート<前編> 尿もれは「咳、くしゃみ」が2大要因
- #02|1500人アンケート<後編> 「相談しにくい」尿もれ問題、どう解決してる?
- #03|産婦人科医・高尾美穂先生/知っておきたい尿もれの基礎知識と対策
- #04|産婦人科医・高尾美穂先生が回答/こんなとき、どうしたらいい? 尿もれの素朴な疑問
- #05|産婦人科医・高尾美穂先生が教える/尿もれ対策「骨盤底筋トレーニング」