尿もれ特集の最後は、尿もれ防止の要となる骨盤底筋のトレーニングをご紹介。引き続き、産婦人科医・高尾美穂先生にアドバイスいただきます。
*軽失禁・尿もれは、加齢や出産などにともなって起こる、「尿をしようとしていないタイミングで、膀胱から尿がもれてしまう」状態をさします。
立っているときも、
座っているときも
「しめる」意識で
骨盤底筋のトレーニング方法としては、直接筋肉に働きかける方法が一般的とされてきました。やり方は、お尻の穴の前、腟の穴の後ろのほう、このあたりをからだの内側にギューっとへこませます(骨盤底筋のトレーニングその1を参照)。感覚がなかなかつかみにくいと思いますが、立っているときでも、座ったままでも、思いついたときにできるという手軽さがあります。
骨盤底筋の周辺の筋肉を動かして、
間接的にトレーニング
上のような筋肉に直接働きかける動きに加えて、私が提案しているのが、間接的なトレーニングです。骨盤底筋そのものを鍛えるのは難しく、収縮している感覚もつかみにくいものです。そこで、骨盤底筋の周辺の筋肉を収縮させることで、骨盤底筋にも影響を及ぼす、という方法はいかがでしょうか。
骨盤底筋のトレーニングその1(直接的方法)も、その2(間接的方法)も、骨盤底筋が収縮しているかどうかは、感じにくいものです。だからといって、やめてしまうのではなく、そもそも「感じにくいもの」だということを頭に置いて。トレーニングしながら、なんとなく周囲の筋肉を「使っている」と思えれば、それでOKです。
加齢にともなって骨盤底筋に弾力がなくなり薄くなると、尿もれだけでなく子宮脱などにもつながったり、やがてボディラインの崩れを招くことも。尿もれを軽減し、日常生活の質を下げずに楽しく年齢を重ねるためにも、骨盤底筋とその周辺の筋肉を鍛える。ぜひ習慣にしてみてください。
- 高尾 美穂(たかお みほ) 産婦人科医・医学博士・スポーツドクター。女性のための統合ヘルスクリニック「イーク表参道」副院長。産業医として内閣府男女共同参画局、人事局で職員研修を担当。 長年ヨガを愛好し多くのヨガインストラクターを指導。YouTube「高尾美穂からのリアルボイス」では毎日、女性のお悩みに答え、楽に生きられる考え方を配信している。 「ワコール フェムケア」サイト 監修 「高尾美穂オフィシャルサイト」
取材・文/おとなボディブック編集部
デザイン/日比野まり子
デザイン/日比野まり子
【特集】あれ? もしかして尿もれ?みんなの実態を聞きました(全5回)
- #01|1500人アンケート<前編> 尿もれは「咳、くしゃみ」が2大要因
- #02|1500人アンケート<後編> 「相談しにくい」尿もれ問題、どう解決してる?
- #03|産婦人科医・高尾美穂先生/知っておきたい尿もれの基礎知識と対策
- #04|産婦人科医・高尾美穂先生が回答/こんなとき、どうしたらいい? 尿もれの素朴な疑問
- #05|産婦人科医・高尾美穂先生が教える/尿もれ対策「骨盤底筋トレーニング」