2021年春夏の「重力に負けないバストケアBra」はバストサイドがすっきり進化!

語り/横山有以(チーフデザイナー)、小林真紀子(チーフパタンナー)

2020年春の登場から人気の「重力に負けないバストケアBra」より、さらに機能を進化させた新商品がリリース。その機能性のヒミツやデザインの魅力を探ります。

重力に負けないバストケアBra
※「バストケア」とは、からだのサイズを測って自分に合うブラをつけて、バストを重力から守ることです。

お客様の声を反映してバージョンアップ

――今シーズンの「重力に負けないバストケアBra」は、従来の商品とどう変わりましたか?

小林 2020年に発売した「重力に負けないバストケアBra」の最大のポイントとなる、カップがバストに密着して位置をキープしてくれるという機能は継続しています。前かがみになったときにバストがこぼれるのをおさえるバストケアシートはそのままに、今回はバストサイドをよりすっきりさせる構造をプラスしました。

皮ふの伸びをおさえてくれるバストケアシートがポイント。
皮ふの伸びをおさえてくれるバストケアシートがポイント。

横山 そうした背景には、ワコールの「3D smart & try(スマート アンド トライ)」の存在があります。デジタル技術を活用し、3Dボディスキャナーが約5秒でバストサイズを正確に計測し、AI(人工知能)を用いて最適なブラジャーを提案するワコールの新しい接客サービスです。このサービスから得られたデータをひも解くと、バストのお悩みとしては「位置が下がった」、下着のお悩みは「カップがフィットしない」、そして全世代をとおして理想のバストは、「バスト脇すっきり」というワードがあがってきたんです。そこで、今回はその「バスト脇すっきり」に着目して開発を進めました。

カップ脇にレースをあしらいバストサイドをよりすっきりと。
カップ脇にレースをあしらいバストサイドをよりすっきりと。

小林 バックの素材は、上辺がフリーカッティングのチュールパワーネットに替え、透け感があり軽やかです。繊細な印象のレース部分はデザイン要素だけでなく、はみ出してしまったお肉をスムージングしてくれる働きがあります。

横山 レースを使って視覚的に切り替えることで、すっきりと見える視覚効果もあるんですよ。大きいサイズはレースの裏に裏打ちを入れ、サイズごとの微調整も行いました。ちょうどいいテンションになるように整えつつ、きれいに見えるように工夫したことで、機能性とデザイン性をうまく融合できたと思います。

――ほかにもブラッシュアップされた部分はありますか?

小林 カップのシルエットを変更しました。従来の商品はバストに高さを出していたのですが、サイズの大きい方はそれを強調しないシルエットにしています。突出感をおさえたことで密着感が増しています。

横山 トップ位置を内側に寄せて、バストサイドをよりすっきり見せられるように設計機能を変えていくと、一方でバストケア機能が出なくなったり…という問題があって、調整には苦労しました。開発難易度が高かったですね。

小林 新たにGカップの開発にも取り組みましたが、ボリュームのあるバストをきれいに魅せるために、ストラップやバックの位置を変えるなどみんなの知恵を出し合いました。

横山 モニターさんのフィッティングでは、「一般的なブラと比較してバストの密着感がある」といううれしい反応をいただけました。

最新のプリント手法でリアルな描写を表現

――デザインのポイントを教えてください。

横山 “透き渡る美しい花々”がモチーフです。クリーンで知的な透明感のある女性をイメージしてデザインしました。レースにのせるプリントの手法をいかに駆使するかが最近のトレンドなんですよ。ポジショニングプリントと言って、絵柄に合わせて色をのせていきます。陰影を表現することで、リアルな大人っぽい雰囲気をつくれたり、自然な印象の表現ができたり。刺繍レースと違って色数も無限なので、そこが難しい面でもあるのですが。

繊細な印象のプリントチュール・エンブレース。
繊細な印象のプリントチュール・エンブレース。

――カラー展開は?

横山 2月発売ということで、春らしい印象も意識しました。メインのピュアホワイト(IV)のほか、淡いパステルトーンのピンク(PI)、イエロー(YE)を。服装が薄手になっても、スタイルアップを生かせるスキンカラーのベージュ(OC)も欠かせないカラーです。そして、華やかすぎるのが苦手なお客様のことも考えて、あえてプリントを入れずラメ糸だけをあしらったシックでモダンなネイビー(KO)もご用意しました。カラーごとにラメ糸も少しずつ違うものを選んでいて、光が当たるとさりげなく光るのもポイントです。

それぞれに印象が異なるカラー展開。
それぞれに印象が異なるカラー展開。

――セットで使えるアイテムを教えてください。

横山 ショーツは3タイプご用意しています。ベア天竺素材のノーマルショーツ、フリーカッティング素材を採用したボーイショーツ、そして特におすすめのソング(ブラジリアンタイプ)です。はじめての方でも抵抗なくはいていただけますし、最近は気軽に手に取られる方が増えてきているんですよ。華やかなデザインですが、アウターに響きにくいのも魅力です。

ソング(ブラジリアンタイプ)のレーシィなバックスタイル。
ソング(ブラジリアンタイプ)のレーシィなバックスタイル。

横山 さらにキャミソールもご用意しています。ブラやショーツとテイストをそろえたプリントに加えて、裾の左右には繊細な模様のレースをあしらいました。

3タイプのショーツとブラやショーツとテイストをそろえたプリントのキャミソール

横山 将来的なバストの不安を感じているノンワイヤーブラユーザーの方にも、谷間やシルエット美を追求されたいワイヤーブラユーザーのお客様にも、どちらにも満足いただける機能造形性です。幅広い方にお試しいただけるとうれしいです。

  • 横山有以
  • 横山有以(よこやま・うい) 卸売事業本部 ワコールブランド インナーウェア商品統括部 商品企画部 商品企画一課
    2007年入社。ブラジャーのパタンナーを経て、デザイナーに転身。2017SSより「パルファージュ」のチーフデザイナーをつとめ、2020AWからはキャンペーンのチーフデザイナーを担当。
  • 小林真紀子
  • 小林真紀子(こばやし・まきこ) 卸売事業本部 ワコールブランド インナーウェア商品企画部 商品企画一課
    2007年入社。「SUHADA ONE」「GOCOCi」「バストケアBra」などの開発・設計に携わり、2016年からキャンペーンのブラジャーチーフパタンナーを担当。
取材・文/シキタリエ
撮影/合田慎二