- ファッション
- 2019.12.04
サスティナブルなランジェリー

グローバルなランジェリー業界では、すでに2000年代からエコフレンドリー、オーガニック、サスティナブルといった問題意識があらわれ、近年は当たり前のものとしてすっかり定着しています。
素材からの発信が広がる
ランジェリーの「サスティナビリティ」に関する発信元となっているのが、製品展に併設されるかたちで、年に2度パリで開催されるランジェリーの素材展・アンテルフィリエールです。持続可能、環境にやさしいという視点はますます重要になり、今年7月の同展では、あらゆる出展素材メーカーが実際にエコロジカルな製品を取り入れるようになったと発表されました。レースから副資材まで多種多様な素材の中でも、伸縮性やフィット性に欠かせないスパンデックス(ポリウレタン弾性繊維)は、ファンデーションの基本ともなるもの。日本企業である旭化成の「ロイカ」は"プレミアムストレッチファイバー"として、近年、ヨーロッパ市場で人気を高めていますが、その中でも特に環境に配慮(リサイクルや土に還る分解性)した「エコスマート」グループ(日本では「ロイカEF」)が注目を集めています。生地メーカーやレースメーカー、またランジェリーブランドとの提携関係も増えて、一般消費者にもヴィジュアルに伝わるように進化しています。


価値ある消費へとつながるもの
一方、製品アパレルのほうでも、この「サスティナビリティ」はもう避けては通れない課題といえるでしょう。オーガニックコットンは2000年を超したころから徐々に増えたように思いますが、リサイクル素材を使用したものが登場するのはもう少し後になります。印象に残っているのは、2015年モードシティ展において、漁網のリサイクル素材を使った水着を発表した「AMA(アマ)」というブランド。当時は海洋汚染問題も今日ほど一般に知られていませんでした。




武田尚子(ジャーナリスト)
インナーウェア専門雑誌の記者を経て、1988年にフリーランスに。以来、ファッション・ライフスタイルトータルの視点から、国内外のランジェリーの動きを見続けている。著書に『鴨居羊子とその時代・下着を変えた女』(平凡社)など。
「パリ国際ランジェリー展」など年2回の海外展示会取材は、既に連続30年以上となる。現在、ライフワークとなる新たな計画を進行中。
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