
3月は、卒業式や職場の異動など、人生の大きな節目を迎える時期。1年の中でからだが大きく変わるときでもあります。
東洋医学の考えでは、春は季節が「陰」から「陽」へと移り変わるとき。気候が徐々に変わればからだにもやさしく、負担が少ないのですが、ここ最近は急に気温が上昇したりまた戻ったり、変動が激しく冬から春にかけて体調をくずす方が多いようです。
からだを陽(春)へ適応させるために、この時期に意識したいことは解毒=デトックス。熊やリスが冬眠をする前、たくさん食べてエネルギーを温存することはよく知られています。熊やリスに限らず我々人間を含む哺乳類のからだは、冬に「ため込む」性質があります。通常、ため込んだものは老廃物となりますが、冬は代謝が悪いため、どんどん老廃物がたまってしまいます。
冬にため込んだものをからだから出さないと、春に新たな陽のエネルギーを取り入れることができません。水が満タンに入っているグラスに、さらに水を注いだら、新しい水はグラスに入らず流れ出てしまいます。
私たちのからだも同様で、隙間のないからだにいくら良いものを注いでも、吸収することができません。まずは、ため込んでいた不要なもの(老廃物)をからだから排出するために、解毒=デトックスをしましょう。
ため込んだ老廃物をそのままにしておくと、春の不調の原因になります。解毒といっても、下剤を飲んだりする必要はありません。旬の食材には解毒効果のあるものがたくさんあります。苦味のある、ふきのとうなどの山菜や春が旬のアブラナ科の野菜がその代表食材です。
アブラナ科の野菜は、キャベツ、白菜、大根、カブ、ブロッコリー、カリフラワー、菜の花など。私たちの身近な野菜たちばかりです。スープやおひたしなど、簡単に食べられる野菜たちですが、今日はインドの蒸し野菜料理「サブジ」をご紹介いたします。
今月のレシピ
カリフラワーとひよこ豆のサブジ

<材料>(2〜3人分)
カリフラワー……1/2株
ひよこ豆(ゆで)……1/2カップ分
カットトマト缶……1/2缶分(200g)
A
にんにくみじん切り……1片分
しょうがみじん切り……1片分
カレー粉……小さじ2
クミンシード……小さじ1
塩……小さじ1
サラダ油……大さじ2
作り方
❶カリフラワーを小房にする。
❷鍋にサラダ油とクミンシードを入れて中火にかける。プチプチと弾くようになったら弱火にし、カリフラワー、ひよこ豆、カットトマト缶、Aを入れてひと混ぜしたらふたをして弱火にし、5分蒸す。途中で上下返す。
❸ふたを外し、水分が少なくなるまで加熱する。
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橋本加名子(はしもと かなこ)
料理研究家、栄養士、フードコーディネーター、国際薬膳調理師。タイ料理、ヴィーガンタイ料理、和食、発酵の料理教室「おいしいスプーン」を主宰。『老けない体をつくる! たんぱく質の10分おかず』(ART NEXT)ほか著書多数。新刊『魔法の万能調味料 玉ねぎ麹レシピ』(河出書房新社)が好評発売中。食べてからだを調える「養生・ベジ発酵薬膳クラス」、「ヴィーガンタイ料理・ベジタイ指導者クラス」開催中。
サイト:「おいしいスプーン」oishi-spoon.com
Instagram:kanakohashimoto1
イラスト/いしわたりきわこ
デザイン/WATARIGRAPHIC