すべての人の「キレイ」を支えたい、下着メーカーならではのブラトップ「Wing シンクロブラトップ」

語り/松尾麻未(デザイナー)、柴田樹美(デザイナー)

アンダーゴムのしめつけを軽減したWingのブラトップ「くるしゅうない」の発売から4年。ますます拡大するブラトップ市場において、下着メーカーが本気でつくった「シンクロブラトップ」(2021年7月に「くるしゅうない」から名称変更)が、さらなる進化を遂げました。「とことんラクに」を追求し、きれいなバストシルエットにこだわったリニューアルの軌跡をたどります。

すべての人の「キレイ」を支えたい、下着メーカーならではのブラトップ「Wing シンクロブラトップ」

着けごこちとバストメイクを両立させる新発想

――まずは、今回のリニューアルに至った背景をお聞かせください。

松尾 アンケートやインタビューなどでノンワイヤーへのニーズが高まっていることに注目し、ブラトップユーザーに調査をしたところ、快適な着ごこちを実現するアイテムにもかかわらず、長時間着用した際にアンダーゴムのしめつけに不満感を抱く人が多いことがわかりました。その問題点を解消するアイテムを開発しようと考えたのが、取り組みのきっかけです。

――従来商品と比べて、どのような特徴がありますか?

柴田 商品の特徴は、大きく2点です。まずは、左右一体型の成型カップでバストを寄せ上げるため、きれいなシルエットをつくれること。もう1点は、アンダーゴムを使っていないのにずれにくい独自設計で、しめつけずラクに着られることです。

肌あたりのやさしさを重視し、とくに裏打ち部分はフラット縫製で、縫い目が肌にあたりにくい仕様に。このカップ形状については意匠権を取得済。 肌あたりのやさしさを重視し、とくに裏打ち部分はフラット縫製で、縫い目が肌にあたりにくい仕様に。このカップ形状については意匠権を取得済。

松尾 しめつけの最大の理由であるアンダーゴムをなくすことで、着ごこちが随分とラクになりました。伸縮性のあるフリーカッティングの裏打ち素材と一体型構造のカップで、カップのフィット感やホールド感は維持しつつ、シルエットを美しくする工夫を重ねています。

――ラクなのにきれいなシルエット、両方叶うものですか?

松尾 そこが下着メーカーの腕の見せどころです! シンクロブラトップの開発は、元々ブラジャーの設計を担当していたメンバーによる挑戦でした。こだわりたかったのは、カップのシルエット。自然できれいなシルエットというブラジャー思想の良い点を取り入れながら、既存の考え方を取っ払うところからスタートしました。カップを一体化することで、バストを寄せ上げ、長時間着用していてもズレにくいのが特長です。直接肌に触れるカップのやわらかな触感や、切りっ放しの生地の肌ざわりにもこだわりました。2024年リニューアルの吸汗速乾タイプでは、さらに裏打ちをメッシュタイプに進化させました。

メッシュ生地は素材を6種類ほど取り寄せて、肌ざわりや伸縮性、カット面のほつれにくさなどを試したという。写真は松尾麻未(デザイナー)。 メッシュ生地は素材を6種類ほど取り寄せて、肌ざわりや伸縮性、カット面のほつれにくさなどを試したという。写真は松尾麻未(デザイナー)。

柴田 従来の一般商品にあった、押さえ込んできっちりバストメイクをするタイプは、時間が経つにつれて苦しくなってしまいます。ゴムに頼らず、カップの下部に厚みを持たせてバストを支える発想こそが、この商品のポイント。脇に別生地を配しているのも、きれいなシルエットづくりに一役買っています。

柴田樹美は、ビューティーアドバイザーを経て商品開発メンバーへ。「売り場での経験をものづくりに活かしたい」と意気込む。 柴田樹美は、ビューティーアドバイザーを経て商品開発メンバーへ。「売り場での経験をものづくりに活かしたい」と意気込む。

松尾 フィットするのに気持ち悪くない。吸汗速乾タイプの裏打ち素材はメッシュ生地を採用しているので、これからの暑い季節にはとくにおすすめですね。

ワコールへの入口となる商品に育てたい

――お求めやすい価格に驚きました。

松尾 毎日使っていただきたいからこそ、2,970円(税込)~でのご提供を目標としました。新しい材料メーカーを開拓したり、縫製工場の方と相談して無駄な部分を削ぎ落としたりといった努力を重ねて、この価格が叶いました。サイズはS~4Lをご用意しています。サイズ別設計は、私たちの強み。幅広い体型の方に合うように、多くのモニターさまにご協力いただきフィッティング確認を重ねて製品化しています。

柴田 いろんな年代の方に試着していただいて商品化しているため、さまざまな世代の方にも自信をもっておすすめできます。とくに、普段はブラジャーを使用しているけどブラトップにチャレンジしてみたい方に、下着メーカーが本気でつくったことを感じていただけたらうれしいです!

松尾麻未、柴田樹美

――カラーバリエーションも豊富ですね。

松尾 はい。実は先日、綿混タイプの商品がアマゾンランキングで1位を獲得(※)したんです! Webで購入頂いているお客さまにもっと喜んで頂くために、アマゾンと弊社Webサイトの売上管理者が集まり、Webでの販売を念頭に置いて話し合い、お客さまの声を反映したカラーの採用を行っています。

※Amazon売れ筋ランキング レディースインナーキャミソール・タンクトップ1位(2024年2月15日調べ:ET1131・ET1132の累計枚数が対象)
柴田 吸汗速乾タイプについては、店頭でのカラー展開へのご要望やレビューのお客さまのお声を吸い上げて、これだ! という7色を決めました。店頭・ワコールウェブストア、いずれも一番人気はCM着用色のBE(グレージュ)。上の服に響きにくく、上品さもあって着やすい色だと思います。

吸汗速乾タイプについては、店頭でのカラー展開へのご要望やレビューのお客さまのお声を吸い上げて、これだ! という7色を決めました。

松尾 従来であれば、白と薄いベージュはどちらか片方を選ぶのがセオリーでしたが、それぞれにニーズがあると考えて両方とも採用する、といったこれまでにないカラーバリエーションにチャレンジしています。

松尾麻未、柴田樹美

――この商品が、ブランドを知るきっかけになれば素敵ですね!

松尾 そう願っていますし、Wing商品への入口になれる商品だと自信をもっています。今回のリニューアルでは、「使いやすさから、ついいつもこれを選んでしまう」ようなデザインを目指しました。ベーシックデザインのUネックタンクトップとキャミソールタイプのネックの高さや肩紐の太さにはこだわりました。リブタイプは夏のチラ見せを意識し、肩ひも太め&脇高め設計で体型の悩みを隠せる仕様です。チューブトップは、胸元をすっきりストレートラインで隠してくれるので、お洋服から少し透けて見えるときも格好いいスタイルに仕上がっています。きれいなカッティングのVネックは、深すぎないⅤの設計で谷間が見えすぎる心配もないですし、背中が開きすぎていないのも使い勝手がいいと思います。色違い&タイプ違いで、この夏を楽しく快適に乗り切ってくださいね。

  • 松尾麻未
  • 松尾麻未 ウイングブランド 商品企画部 商品企画二課
    2007年ワコール入社。
    パタンナーを経験した後、Wingブラジャー全般のデザイナーに。
    2022年からシンクロブラトップの商品開発を担当。
  • 柴田樹美
  • 柴田樹美 ウイングブランド 商品企画部 商品企画二課
    2019年入社。
    ビューティーアドバイザーを経験後、2023年から商品開発を担当し、シンクロブラトップを担当。
取材・文/椿屋
撮影/石川奈都子
デザイン/WATARIGRAPHIC