まずそのネーミングが耳に残る新商品「くるしゅうない」は、ユーザーが増えたブラトップの不満点を解消した自信作。2月上旬より随時発売の最新型ブラトップは、従来品とどう違うのでしょうか。開発担当者にインタビューしました。
ユーザーのリアルな声を拾いアンダーゴムのしめつけを解消
――「くるしゅうない」はどんなきっかけで生まれたのでしょう?
富山 アンケートやインタビュー調査で、まずノンワイヤーのニーズが高まっているということがわかりました。日常使いされていたり、年齢にともなってワイヤーブラを卒業されたり。そこで、市場が拡大しているブラトップのユーザーに調査をかけたところ、快適な着ごこちを実現するアイテムであるにもかかわらず、夕方など長時間着用したときに感じるアンダーゴムのしめつけを不満と感じている方が多いことがわかりました。それが理由で着用をやめた人もいるとわかったため、その問題点を解消するアイテムを開発しようと取り組みが始まりました。
――それを、インパクトあるネーミングが表現しているんですね!
富山 そうなんです。"くるしくない"ブラトップをつくろうと徹底的に追及したので、つい覚えてしまうようなネーミングを目指しました。よく私が考えたのでは?と言われるんですが、「くるしゅうない」は若い女性パタンナーが出した案なんです。3か月かけて、さまざまな部署に案を募って4000ほどあがったなかから採用しました。今やブラトップは多くのブランドが乱立しているのでつい覚えてしまう、ささるネーミングにしたかったんです。
――具体的にどうやって、しめつけを解消したのですか?
富山 しめつけの原因となっていたアンダーゴムを使わず、フリーカッティング素材を採用したんです。弊社の従来品と比べていただければわかりやすいと思います。
――フリーカッティングだと圧迫感を感じにくいのですね。でも、アンダーテープをなくすとカップの下がずれ上がってきませんか?
富山 新しく採用したこのフリーカッティング素材は、横方向だけでなく縦方向にも伸びるので、日常的なからだの動作についていきやすくなっているんです。
――ところで、サイドに入った縦のラインも気になります。
富山 パワーの違う素材を合わせているんです。サイドにバストを支える機能をもたせることで、からだによりフィットするように調整しました。肌あたりにもこだわったストレッチ構造なので、一日中快適に過ごしていただけます。
――カップは一体型なのですね。
富山 はい、一体型の構造にすることで、バストが横に崩れず、長時間つけていても脇に流れにくいのがポイントです。自然なシルエットと着ごこちを実現するために、とてもやわらかな触りごこちの一体型カップは、少しボリュームももたせております。
――カップで特に苦労された部分は?
富山 カップの高さはミリ単位で調整していきました。これまでは、ブラトップは下着メーカーならではの高い造形性を重視していたのですが、ブラトップユーザーの方が求めているのは「自然でキレイなシルエット」「ラクな着用感」ということが調査でわかったので、考え方を変えて取り組みました。サイズ展開がM、L、LLなので、幅広い体型の方に合うよう、通常より多くのモニターさんにご協力いただいています。
需要に合わせてキャミソールとノースリーブの2タイプを用意
――デザインは、キャミソールとノースリーブとあるのもうれしいですね。
富山 はい、どちらも需要があることから2タイプご用意しました。素材も綿混素材と、汗をよく吸い乾きの早い吸汗速乾素材があります。Wingで需要の多い綿混素材はキャミソールとノースリーブの2タイプ、吸汗速乾素材はノースリーブでご用意しています。
――それぞれのデザインのポイントを教えてください。
富山 まずノースリーブタイプは普段使いしていただきやすいように、ネックホールやアームホールのラインを、見えても違和感のない自然なラインに仕上げました。
富山 キャミソールの上部は、縫い目が表に出てこないようにしています。肌あたりを感じにくく、見た目もすっきりとしたデザインです。
――従来よりお求めやすい価格設定なのですよね?
富山 そうなんです。今まで、Wingブランドで3,000円台後半の設定だったのを、毎日使っていただくために2,500円(M・Lサイズ)でご提供できるように、実は価格設定を決めてのスタートでした。そこから、新しい材料メーカーを開拓したり、縫製工場の方とのやりとりでムダな部分は削ぎ落とすなど努力することで、この価格が叶いました。モニターさんからも、ネーミング通り「まったく苦しくない」「ハードな仕事のときや、本当にラクに過ごしたいときにぴったり」という声をいただいているので、ぜひたくさんの方に手に取っていただけるとうれしいです。
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富山恵介(とみやま・けいすけ)
卸売事業本部 ウイングブランドIW企画商品部 商品営業三課
京都工芸繊維大学 繊維学部 デザイン経営工学科卒業後、ワコール入社。技術、材料、企画部門を経て現職。
撮影/合田慎二