Wing(ウイング)から、新しいガードル「マッチミーガードル」が誕生。初採用のよく伸びる生地で、「きつい」「おなかが苦しい」というガードルの一般的なイメージを払拭しました。特徴のある生地や快適な設計について、担当者が語ります。
“生活するからだと会話する”をコンセプトに、日々変化するからだとこころに身近な存在として寄り添うブランド「Wing(ウイング)」。その象徴ともいうべき商品づくりを行っているのが、「マッチミー」商品シリーズです。下着が自分に合わせてくれるという快適な着用感が人気を呼んでいます。その中から、3月に発売したガードルをご紹介します。
ガードルのイメージを払拭する、よく伸びる生地を初採用
――商品開発のテーマを教えてください。
塩田 ひと言で言うと、今ガードルをあまりはいていない人にも「着用したい!」と思ってもらえる商品の開発です。一般的にガードルのイメージとして、スタイルをよく見せてくれる反面、「きつくて窮屈」「苦しい」などのマイナスな要素があるかと思います。その理由を深堀りするために、ガードルに関するアンケート調査を実施しました(2021年2月 マイワコール会員<現ワコールメンバーズ>約980名)。
そのなかで、ガードルをはかなくなった方の理由として「きつい」が6割以上にのぼり、特に着席時の圧迫感や食事中のおなかへの食い込みを感じておられることがわかりました。一方で、「きつさが改善すれば、またはきたい」と答えられた方も多く、苦しい思いをせずに快適にご着用いただけるガードルを目指しました。
宇野 以前ははいていたけれど、ガードルから離れてしまったという方も、おなかが苦しくないガードルなら、またはいてくださるかもしれない。以前なら「おしゃれはがまん」という風潮もありましたが、今は「無理をせずにきれいになりたい」が主流ですよね。そこで、通常よりよく伸びる伸縮性のある生地を採用し、がまんしなくていいガードルを開発しました。
――かなり伸びますね!
塩田 そうなんですよ。今回のコンセプトに合う生地を探していたとき、ベテランのパタンナーに「どんな生地がベストですか?」と尋ねたら、「ぐーんと伸びて戻ってくる生地」と回答をもらったのですが、これはまさにタテ・ヨコ・ナナメの8方向にしっかりと伸びて、戻ろうとする力でからだをサポートしてくれるんです。
宇野 触っていただくとわかるのですが、手触りがやわらかい。よく伸びる生地は、伸びきったあとに元の状態に戻りにくいものもありますが、この生地はしっかりと戻るんです。
塩田 まさにつくりたかったガードルにぴったりの素材で、サンプルに触れたときに「これだ!」と。この生地があったからこそできた商品です。通常、1枚のガードルをつくるのに、コストも考慮して数種類の生地を使い分けますが、今回はクロッチ部を除きこの1種類のみで仕立てることにこだわりました。そうすることで、よく伸びるこの生地の特性を活かすことができますし、制作過程での生地のロスも最小限におさえることができます。
宇野 この生地にチャレンジしたことで、着用感はバッチリでしたが、縫製が大変だったんですよね。
塩田 そうなんです。試作の生地があがって縫製工場に出したところ、「縫えません」となって。一見わかりませんが、よく見ると生地に極細糸の毛並みがあるのが原因でした。毛並みの方向がミシンの刃と合わなかったため、うまく縫えなかったのです。いろんな方向で試し、裁断方法も考えて、なんとか縫製に至りました。技術の担当者や工場のみなさんのご協力のおかげです。
造形性をキープしながらも楽な着用感を実現
――1種類の生地で、どのように造形性をもたせたのでしょうか。
塩田 フロント部分は、座ったときにおなかが苦しくならないように、上部だけ裏打ち素材を重ねず、生地を1枚使いにすることでパワーをおさえました。その幅も試行錯誤を重ねて設定しました。また、本来ガードルは腹部の生地の伸びをしっかりと止めて押さえるものが多いのですが、今回はこの伸びる生地を2枚重ねることでパワーを出しました。伸びたあとにきちんと元の状態に戻るキックバック性の高さが、楽な着用感とサポート感を両立するポイントです。
塩田 さらにヒップ面も、ヒップ下部を2枚使いにすることでサポート力を強め、ヒップアップできるようにしています。まだガードルをはいたことがない方にも使っていただけるよう、接ぎが多いデザインを避け、最低限の縫製にしてシンプルな見た目になるよう意識しました。生地を2枚重ねにしている部分は上辺のみの縫製にし、下辺は生地の重なりだけでパワーを出しています。
宇野 座ったときにおしりの皮ふも伸びますが、この生地は追随性があるので、からだの動きにフィットして窮屈に感じません。また、裾がフリーカッティングなので、足を上げたときに生地の突っ張りを感じにくいのも魅力です。試着モニターの方からは、「着脱がしやすく、脱ぎ着が苦にならない」「生地が肌に吸いついているみたい」「きゅうくつ感が少ないので使いやすい」などのお声をいただきました。なかには、着用してストレッチなどの動作をしても気にならなかった、という方もいらっしゃいました。
――カラー展開はどのようになっているのでしょう。
塩田 肌に溶け込むようなシンプルなイメージを中心に、計5色ご用意しました(そのうち2色は6月発売予定)。従来のガードルによくあるツルっとした光沢感ではなく、パンストのように透明感があって適度にヌーディな生地なので、着用姿もスッキリとした印象できれいにはいていただけると思います。マッチミーブラとのセットアップもお楽しみください。
――サイズ展開を教えてください。
宇野 S、M、L 、LL、3Lです。よく伸びてフィット感があり、選んでいただきやすいサイズ展開なので、ネットでの購入もしていただきやすいと思います。全サイズ、価格を統一したのもこだわりです。
塩田 ガードルのイメージである「苦しい」などの違和感の声に向き合い、社内メンバーにもからだになじむような着用感と補整機能を実感してもらいながら、検討していき、ようやく完成しました。ぜひ、この気持ちいいサポート感を味わっていただき、「こんなガードルもあるんだ!」と知っていただければうれしいです。
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塩田青衣(しおた・はるい)
第2ブランドグループ ウイングブランド商品企画部 商品企画一課
ワコール入社後、ウイングショーツ・仏ワコール・メンズインナーのパタンナー、デザイナーを経て、2020年よりウイングボトムのチーフデザイナーを担当。
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宇野晃平(うの・こうへい)
第2ブランドグループ ウイングブランド商品営業部 商品営業一課
ワコール入社後、販売店で量販店セールスを経て、2021年よりウイングブランドのボトム企画MDを担当。
撮影/合田慎二
デザイン/WATARIGRAPHIC