芒種(ぼうしゅ)/自律神経を整え、肌トラブルも改善

文/伊藤和憲(鍼灸師・明治国際医療大学教授)
イラスト/中根ゆたか
芒種(ぼうしゅ)

「芒種」(6月5日〜)のころからは、湿気もさらに高くなり、本格的な梅雨がやってきます。湿気とともに気温も上昇しますが、実はからだのほうは体温調整が難しい時期でもあります。体温調整には汗をかくことがとても大事で、汗は体内の熱を外に放出する役目があるのです。この機能は自律神経によって調整されていますが、高湿度、温度変化や気圧変化が自律神経を乱してしまうためです。だるさを感じたり、炎症やニキビなどの肌のトラブルを起こす人も多いでしょう。

芒種にケアしたいツボ

曲池(きょくち)
位置:ひじを曲げたときにできる横じわの外側の端、くぼみの部分。左右ともにあります。
方法: イタ気持ちいい程度に5秒押して5秒離す刺激を1セットとし、5〜10回程行いましょう。
効果:ニキビ・湿疹・のどの痛み・便秘・下痢など、皮膚系・消化器系の弱さからくる症状に有効です。また肩こり・ひじの痛み・目の疲れなどの改善にも期待。免疫機能を向上する万能ツボでもあります。

曲池(きょくち)

血海(けっかい)
位置:ひざのお皿の上端から指3本上、両脚の内側にあります。
方法:イタ気持ちいい程度に5秒押して5秒離す刺激を1セットとし、5〜10回ほど刺激を行いましょう。冷えていると感じたら、お灸であたためるのもおすすめです。
効果:「血」は字のとおり血液や血流、「海」は大量に集まるところを意味し、血が大量に集まるツボをさします。血流を改善し、肌のかゆみ・湿疹をおさえます。また、ホルモンバランスを整え、婦人科系全般の症状に効果的です。

血海(けっかい)

大椎(だいつい)
位置:首を下に向けたとき、首の付け根でいちばん飛び出る骨の下のくぼみ部分。
方法:首もとが冷えているときは、あたたかさを感じる程度までお灸をしたり、カイロなどを貼って首をあたためることもおすすめです。
効果:肌のかゆみ・炎症・にきび・吹き出物・湿疹などの改善に作用します。また、首や肩のこり・鼻血・胃腸の不調を緩和するツボとして知られています。かぜの初期にはこのツボにお灸をすると、症状改善をすることもあります。

大椎(だいつい)
  • 伊藤和憲
  • 伊藤和憲(いとうかずのり) 鍼灸師・明治国際医療大学教授・鍼灸学部長・鍼灸臨床部長
    1972年生まれ。鍼灸学博士。全日本鍼灸学会理事。明治国際医療大学鍼灸学部教授。明治国際医療大学大学院鍼灸学研究科教授、同大学大学院研究科長。2012年~2014年、厚生労働省科学研究費助成事業 地域医療基盤開発推進事業「慢性疼痛患者に対する統合医療的セルフケアプログラムの構築」, 2014年~2015年同研究助成事業「鍼灸における慢性疼痛患者の治療方針ならびに医師との連携に関するガイドライン」の研究班班長を務める。また、2016年より過疎化対策の一環として京都府南丹市にて養生の体験教室「MIYAMA 森の湯治場」、さらには奈良県宇陀郡曽爾村の美人プロジェクトを監修。明治国際医療大学附属鍼灸センター長を務め、「はり・きゅう」の治療に当たるとともに、慢性痛患者のためにセルフケアを指導している。 https://www.yojyo1192.com/