2024.10.16

【特集】50代からのリセット術「私はこれを始めました/やめました」#05

50代からの「きれい」のために―― 五感のセンサー、磨いていますか?

美容家 山田祥子さん

読者からのリアル白書を紐解いた前編に引き続き、後編では山田さんご自身のお話を伺います。何を始めて、何をやめたのか、その具体的な話はもちろん、それをどうやって見分けているのかというポイントまで、丁寧に紡がれた言葉をご紹介します。

5年ほど、
ノーファンデで暮らしています

前編では、「同世代のみんなのリアル白書」から感じたことをお話しさせていただきましたが、後編は「始めたこと、やめたこと」をテーマに、私自身が実践していること、また皆さんにアドバイスしたいことをお伝えしていきたいと思います。

まず、私が50代になって始めたのは「調味料を厳選するようになった」ということです。エステティックサロンの代表として活動するだけでなく、食の専門家としてさまざまな方に栄養指導なども行ってきたので、以前から意識高く選んできたつもりです。ただそれをもっとブラッシュアップさせて、化学調味料や合成原料が入ったものはより一層避けるようになりました。

一方で、ファンデーションを塗るのをやめました。もう5年以上、ノーファンデで暮らしています。理由は、ファンデーションに使われている原材料を詳しく調べたときに、なんだか自分にはフィットしないなと思ったから。以来、自分のサロンで開発した、天然由来成分99%以上配合のBBクリームを使っています。そのときからずっと感じているのが、肌が塞がれていないことで、皮膚呼吸ができているという感触。自分が求めているのは、その「ここちよさ」なのかもしれないと考えるようになりました。

そのここちよさを知って以来、寝具や肌着などの素材にもこだわり始めたように思います。それまではデザインも重視していたところがありましたが、今は肌さわり一択。長く触れていたい、触れることで優しい気持ちになれる、そんなベッドリネン、パジャマ、インナーを厳選するようになったのです。

50代から何より大切なのは
「骨活」!

あらためて皆さんにアドバイスができるとしたら、「化粧品の力に頼るのをやめる」ということでしょうか。最近は高機能をうたった化粧品がたくさんありますから、そこで迷われてしまうのだと思います。コロコロと化粧品を変えて、悩みを解決しようとする方も多いのですが、口から入るものを変えるだけで肌の質感は驚くほど変わっていきます。「食生活を正して肌の土台を整える」ことを始めるのはいかがでしょうか。

肌に関連することでいえば、「美容医療のお付き合いを見直す」ことも大切になってくるでしょう。特にシミとりを目的としたレーザー照射、また必要以上に角質を取り去ってしまう強いピーリングなども、避けるようにしたほうがいいかもしれません。人によっては逆効果になること、またシミだけを気にすることで全体的なバランスが崩れてように感じているからです。

夏の日焼けにより一時的にシミが浮き出ることがありますが、秋に入れば少し落ち着くもの。すべてが沈着するわけではないので、抗酸化作用のある食事、適度な運動などで、まずは代謝を上げて、ターンオーバーを促す。そのほうが効果的ではないかと考えています。

またマストで考えて欲しいのが「骨活」です。閉経後は女性ホルモンの分泌が著しく減ることで、骨量がガクンと減ります。その影響を受けない女性はいないと言っていいでしょう。食事も運動も気をつけているのに、立とうと思って手首をついたら骨折してしまったという女性を知っています。折れて初めて対策するのでは遅いのです。予防としての骨活、ぜひスタートさせましょう。

ここちよさの感覚を
丁寧に磨くこと

皆さんは、始めるべきこととやめるべきこと、それをどう見分けていますか? 私は先ほど出てきたキーワード、「ここちよさ」をその判断軸にしています。ここちよいと思うことは始めるし、そうでないことは思い切ってやめてしまいます。だからこそ心がけているのが、自分のセンサーを磨くこと。「自分は何をここちよいと感じるのか」、その感覚を鋭くすることで、より自分らしい判断ができるようになると思うからです。

たとえば、甘いものがやめられないという女性は多くいますよね。その場合、少しの間だけでいいので、甘いものを食べるのをやめてみましょう。すると次に同じものを食べたとき、必要以上に甘く感じられて、自分に必要かそうでないかがわかると思います。それこそがセンサーが磨かれた証拠。私も甘いものが好きで、決して食べないわけではありません。ただその場合は質を重視。必ず原材料を見て、天然のものが使われているものをいただくようになりました。

正しい食事を大前提に、適度な運動を加えることで、健やかなる心とからだの土台をつくる。そうすれば感性も磨かれて、何を「始めるべきか」「やめるべきか」も見えてくるはず。人生の後半戦、さまざまな揺らぎのなかで何を取捨選択するか。そのしなやかな感性を一緒に身につけていきましょう。

  • 美容家 山田祥子
  • 山田祥子 「サロン・ド・メリッサ」代表。セラピスト。分子整合栄養医学協会会員。日本抗加齢医学会正会員。美容商社にてエステ講師として活躍後、1992年1月「サロン・ド・メリッサ」を東京・恵比寿に開業。30年以上肌やボディのケアを行う。医療機関とも提携し、分子整合栄養学に基づく栄養療法や食事も指導。女優・モデルや美容ジャーナリストらの顧客も多く、美容雑誌、webなどでの監修でも活躍。 「サロン・ド・メリッサ」
構成・文/本庄真穂
デザイン/日比野まり子
イメージ写真・イラスト/stock.adobe.com