2022.06.08

特集 梅雨をポジティブに過ごすコツ#02

梅雨のキーワードは「遊び心」と「知的好奇心」。脳に刺激を与えます  和文化プロデューサー森荷葉さん

窓の外は今日も雨。湿度が高くてジメジメしていて、なんだか気分が上がらない。そんなとき、暮らしを楽しむ賢者はどう過ごしているのでしょうか。ふたり目は、新たなチャレンジを続ける森 荷葉さんが登場します。

雨音と相性ぴったりなジャズピアノの調べ

60代は新しいことにチャレンジしたいと思い、改めて始めたのがピアノ。基本とジャズと、その両方を学んでいます。30代の先生に習っているのですが、教え方がとても上手。レッスンを受けるたび、いい刺激を受けています。今、練習しているのはウイスキーのCMでもおなじみの『夜が来る』。これが雨の日のBGM にぴったりなんです。

心落ち着く雨の日は書をたしなみます

もうひとつ、新たなチャレンジとして始めたのが書道です。お手本を隣に置き、忠実に守りながら、一文字一文字ていねいに筆を動かします。人は年齢を重ねると、どうしても自己流になってしまいがち。だからこそ、お手本のとおりにゆっくり書く。上手に仕上がると開放感と達成感が得られます。シトシト雨が降る日こそ集中できる、とっておきの習い事です。

脳を活性化してくれるおとなのボードゲーム

インドアの日のお楽しみのひとつ、それがボードゲームです。友人を呼んで、おつまみを並べておき、まずはワインで乾杯。そこでおしゃべりを楽しむのもいいけれど、ゲームに興じるのも乙なもの。たとえばヨーロッパの伝統的なパブゲーム「シャット ザ ボックス」(左)や、迷路の宝物を集める「ラビリンス」(右)など。「花札」も、つやがあっていいですよね。頭をフル回転させながら、ときに心理的駆け引きも。脳が刺激される有意義な時間です。

愛猫を愛でる、戯れる 心ほぐれる癒しの時間

ブリティッシュショートヘアの男の子「青太郎」(写真)と、女の子の「茶子」(引っ込み思案で撮影中はバスルームに避難)。ふたりを家族に迎え入れて約4年。言葉は話さないけれど、目線や仕草で思いをしっかり伝えてくれる生活の相棒です。ベタベタしすぎず、ほどよい距離を取りながら、ともに暮らすのが私流。雨の日はただ眺めているだけでほっこり心が満たされる、かけがえのない存在です。

マントタイプのレインコートが優秀!

雨の日に使い勝手がいいのが、撥水性のレインマントです。袖がないので、荷物を持ったまま、ただ羽織るだけ。バッグなどを雨から守ってくれます。傘は、小雨の日は軽量タイプを、雨風が強い日は頑丈タイプ(写真)を使い分け。優れたレイングッズがあると、外出が億劫にならないから、ぜひお気に入りをそろえておきたいものです。

心とからだを満たすとっておきのランジェリー

年齢を重ねてこそ心がけているのが、お気に入りのランジェリーを身につけること。陰影の美しいレース、シルクのここちよい肌ざわり…それらを眺めて、手に取り、身にまとうことで、自分が内側からうるおっていく気がします。私が愛用しているのは、フランス発の「シモーヌ ぺレール」。肌もしっとり落ち着く6月、とっておきの1枚を探してみてはいかがでしょうか。

60歳を機に、湯河原にある築70年の古民家を購入しました。1階をかねてからの夢だったワインバーに仕立て、その2階を自宅にして暮らしています。東京での仕事も多いので、湯河原にいる雨の日は、自然とくつろぎモードに。ジャズピアノ、書道、ボードゲームまで、インドアの時間を充実させるモノやコトはたくさんありますが、共通しているのは「脳への刺激」かもしれません。遊び心や知的好奇心を満たして、脳にたっぷりの栄養を与えてあげる。それって、大人になるほど必要なことだと思うんです。 私のさらなるおすすめは、もし気になるコミックがあったら、それにまつわるガイドブックもあわせて読み込んでいくというアプローチ。鬱陶しい雨の日に分厚い本を開くのは億劫だけれど、それが漫画だとしたら? ほら、手にとってみたい気持ちになりませんか? 私はあらためて『キングダム』に夢中(笑)。中国歴史探究に余念のない日々です。 見栄や虚栄心を捨てて、本当に好きなことに邁進できるのがおとな世代。アクティブに過ごすことが叶わない梅雨のシーズンこそ、本来の自分に焦点を当てて、脳をしっかり刺激する。6月はその絶好のタイミングなのではないでしょうか。

森 荷葉(もり かよう)和文化プロデューサー。株式会社「荷葉亭」代表取締役。着付け、香道、着物や食器のデザイン、礼法・作法教育、レストランのプロデュースに至るまで、現代の暮らしに和の知恵をいかす活動を展開している。青山に「きもの和處東三季」、湯河原には棒寿司とワインの「青太郎」を経営。

オフィシャルサイト:東三季

*写真のアイテムはすべて森さん私物です。

構成・文/本庄真穂
撮影/望月みちか
デザイン/日比野まり子