2022.05.25

特集 梅雨をポジティブに過ごすコツ#01

雨の日だからできる「お楽しみ」を用意。逆転の発想で梅雨を満喫! ヘア&メイクアーティスト山本浩未さん

窓の外は今日も雨。湿度が高くてジメジメしていて、なんだか気分が上がらない。
そんなとき、暮らしを楽しむ賢者はどう過ごしているのでしょうか。「梅雨のシーズンをご機嫌に過ごすコツ」をお聞きしました。

梅雨は金継ぎのベストシーズンです

金継ぎを仕上げるためには、適度な『湿度』が必要なことをご存知でしたか? 空気中にたっぷり湿気が含まれる6月は、金継ぎの絶好のシーズンなのです。奥のふたつは母から受け継いだ入れ子の茶器。うちのかわいい猫ちゃんが落としてしまい、見事バラバラに(泣)。猫の絵付け皿は、私がうっかりパリンと割ってしまいました。そこで金継ぎをして修理をしてみたら、世界でたったひとつの1点ものに仕上がって大満足。雨の季節のお楽しみ、始めてみてはいかがですか?

夏のヘアケアは進化系アイテムを味方に

梅雨の訪れとともに、ヘアケアアイテムを
一新するのもお楽しみのひとつ。私が取り入れているのは、乾きが早くなる速乾性のトリートメント。爽快感が心地いいシャンプーとセットで使っています。また、おとな世代にこそぜひおすすめしたいのがストレートアイロン。気になるうねりを整え、セットもできる優秀アイテム。充電式のコードレスタイプなら、出先でササッと使えるので重宝しますよ。

日がなお風呂でゆっくり これぞ梅雨の贅沢な過ごし方

私にとって、雨予報はお風呂日和のサイン。梅雨時期は特に『雨が降ったらお風呂に入ればいいわ』とすら思っています(笑)。ジメジメした6月に出番が多いのは、ヒマラヤ岩塩のバスソルト。しっかり汗をかいて、デトックスに励みます。さらに香りのいいバスオイルを贅沢に使って、マッサージをしたり、フェイスパックをしたり、海外ドラマを見たり。のんびり長湯を満喫できるのだから、梅雨も悪くないなって思えるんです。

おとなのゆらぎの救世主 それが香りです

心とからだがゆらぐ更年期に私を助けてくれたのは、香りでした。今では、玄関、廊下、リビング、ベッドルーム…その空間ごとに似合う香りを使い分けています。すると家の中でもリズムができて、おうち時間が充実するんですよね。また6月は、ファブリックスプレーがあるとアイロンがけが楽しくなります。たとえば枕カバーにシュッとひと吹き。パリっとした肌ざわりとふんわりとした香り、その両方を感じながら眠りにつくのは、まさに至福のひとときです。

お香を焚いて心を整える梅雨時期のルーティン

湿気の多い時期は、お香の香りがより立つ気がして、焚く機会が増えます。この香炉は京都の骨董屋さんで、深いグリーンにひと目ぼれして買い求めたもの。もとはお茶席で使われていたもので、たばこの灰入れだったそう。すっきりと落ち着いた『沈香(じんこう)』という香りがお気に入り。焚く場所は玄関です。シュッとマッチを擦って、火を灯し、スーッと煙が立ち上る。その姿を眺めるだけで、心が洗われる気がします。

雨の日を心待ちにしてしまう30年来の相棒レインブーツ

30年愛用しているのが、『エイグル』のレインブーツです。形がプレーンでかわいらしく、水溜まりもへっちゃら。長靴だから水はねを気にしなくていいのもうれしいところ。絶対的な信頼を寄せている、私の雨の日名品です。

雨降りの季節…なんだか気分が上がらないですよね。よーくわかります。でも実は「雨が降っている」という事実をどう受け止めるかは自分しだい。「雨だから憂鬱」ではなく「雨だからラッキー」と視点を変えてみるのはいかがでしょうか。たとえば湿度を必要とする金継ぎは、天然の湿気を利用できるこの時期ならではのお楽しみ。じっくり取り組むチャンスと思えば、もう雨模様に感謝です。さらに金継ぎをするようになって、それまでは「割っちゃった…」と途方に暮れていたのが、「割っちゃったけど、素敵な器によみがえって、かえってよかった!」と思えるように。ネガポジ反転の発想って、本当に大切だと思うのです。それでもやっぱり気力が湧かないときは、どうぞ香りを頼ってください。上質な精油は、成分が脳にダイレクトに届くので、気分転換にも即効性があるのだそう。自分なりの「雨の日だからできること」一緒に探してみませんか?

山本 浩未(やまもと ひろみ)ヘア&メイクアップアーティスト。資生堂ビューティクリエーション研究所を経て独立。数多くの広告やファッション誌ほかで活躍。「今すぐ実践できるメイクテクニック」を発信するメイクアップの第一人者。

オフィシャルホームページ:Steam.
Instagram:@hiromicoy

*写真のアイテムはすべて山本さん私物です。

構成・文/本庄真穂
撮影/望月みちか
デザイン/日比野まり子