【特集】「おとなの五月病」どうつきあう? #02

朝時間を味方につけて、じんわり汗をかく。春には春の養生を

漢方薬剤師 樫出恒代さん

----50代女性が更年期症状を強く感じるのが、実は5月なのだそう。「おとなの五月病」が発症しやすいこのシーズン、私たちは日々をどう過ごせばよいのでしょうか。漢方薬剤師の樫出恒代さんに、具体的な養生方法を教えてもらいます。

春のキーワードは
「解毒」と「温め」

5月は気温、気圧、湿度の変動が激しく、からだに負担がかかっていることは、#01でお伝えしたとおりです。更年期を迎え、心身がゆらぐおとな世代にとっては、ダブルパンチの厳しい季節。では、そんな5月を乗り切るために、何をすればよいのでしょうか。東洋医学的アプローチをお伝えしましょう。

●遠くの新緑を眺める

これぞ、5月だからこそできることですよね。春は「肝」の季節で、肝は目を司ります。眼精疲労を感じる人はもちろん、ホットフラッシュなど「のぼせ症状」がある人も、スマホやパソコンから目を離して、遠くの緑を眺めてみてください。人間は自然から離れるほど、病気になりやすいと言われています。切り花でもいいですが、できれば自然豊かな場所へ出かけて、生命エネルギーあふれる大きな木を眺めてみましょう。

●じんわりと汗をかく

東洋医学では、春は解毒のシーズン。デトックスのために汗をかき始めるのがよいとされています。注意点は「じんわり」ということ。汗をかくのは、体温を下げることも目的のひとつです。だから寒い冬は汗をかかなくていいし、むしろかかないほうがいい。それが春になったら解毒のために少しずつかき始め、暑い夏は体温調節のためにしっかりとかく。そして秋は少しずつかかないようにしていきます。四季の巡りと汗のかき方はリンクしています。春の汗は「じんわり」を意識してみてください。

●運動をスタートさせる

少しずつ薄着になるこの季節、「からだを引き締めるために運動を始めなきゃ!」と思っている方、大正解です。冬は無駄に動かないほうがいいので、体重を減らそうと思わずに現状キープできればOK。だからこそ春は、ぜひからだを動かしましょう。そのときに味方につけてほしいのが、朝の時間。更年期世代は「やる気が出ない」「面倒くさい」となってしまいがち。朝の空気は“陽の気”に満ちあふれています。気力がない人ほど、えいやっと飛び起きて、ウォーキングやヨガなどを始めてみてください。太陽の光を浴びて、呼吸を深くするだけで、更年期症状にも変化が出るはず。そのときの汗は「じんわりかく」を心がけてくださいね。

●お風呂で下半身を温める

少しずつ気温が上がり始めても、まだ地面は冷たいのがこの季節。意外に下半身が冷えているので、#01でもお伝えした「冷えのぼせ」にならないよう、お風呂で下半身をあたためてください。半身浴の場合は肩まわりを冷やさないように注意しながら行うのがコツ。また腰湯や足湯などもいいですね。上半身は大火事、下半身は大寒波にならないよう、春こそ熱を循環させるようにしましょう。

●眠りスイッチを入れる

不眠に関する悩みが多く寄せられるのが、ちょうど今の季節です。4月に新生活が始まって、まだまだ緊張が続いている5月こそ、自分なりの「眠りスイッチ」をもちましょう。私のおすすめはお気に入りの漢方茶を飲むこと。香りをかいで、自然の甘みを味わって、ゆったりリラックス。心とからだがほぐれて、深い眠りへと誘われるはずです。

漢方薬剤師が厳選した7種の生薬でつくった「Kaon茶」。樫出さんが運営する「漢方Kaon」でも取り扱っている。

●三陰交のツボを押す

その名のとおり、3つの経路が交わっているのが「三陰交」(さんいんこう)。肝はもちろん、腎にも脾(ひ)にも効果があるので、5月に限らず1年中意識してほしいツボです。場所は、足の内くるぶしから指4本分上にあります。イタ気持ちいいと感じる強さで、息を吐きながらゆっくり押して、息を吸いながらゆっくり離す。これを繰り返してみてください。血流がアップするのが感じられると思います。

●漢方薬を取り入れる

興味がある方は、漢方を日々の暮らしに取り入れてみてはいかがでしょうか。おとな世代におすすめなのは、ホルモンバランスを整える働きがある「加味逍遙散(かみしょうようさん)」、血の巡りを整える「桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)」、寝つきをよくする「黄連解毒湯(おうれんげどくとう)」、手足の冷えを改善する「当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)」。また、便秘や肩こりに悩んでいる人には「桃核承気湯(とうかくじょうきとう)」、気分が鬱々としているなら「柴胡桂枝乾姜湯(さいこけいしかんきょうとう)」もいいですね。体質によって合う漢方は変わるので、カウンセリングを受けてみることをおすすめします。

ガマンしない、ムリしない。
“好き”を味わう人生を

さまざまな要因が複雑に絡んで、翻弄されやすいおとな世代。だからこそ私は、「自分の芯をもつこと」「自分を丁寧に扱うこと」が大切だと考えています。子どもの巣立ちや親の介護、責任ある仕事に追われ、プライベートを後回しにしがちな年齢だからこそ、自分自身に戻れるお気に入りのコトやモノ、いわゆる“推し”をどうぞ見つけてみてください。

何よりお伝えしたいのが「50歳を超えたらガマンしない、ムリもしない」ということ。漢方では、女性は七の倍数で年を重ねると言われています。7歳で少女になり、14歳で初潮を迎え、21歳で女性らしいからだつきになり、28歳でピークを迎え、35歳で老化が始まり、42歳でシミシワができて、49歳で閉経して終わり。昔はそこで人生を終えていたので、50歳以降のことは、実は漢方の本には書かれていないのです。

だからこそ、もう好きなことだけをする。はりきって立派な目標を立てる必要なんてありません(笑)。これからゆっくり続けられる好きなこと、ありますか? 陽気のいい5月にぜひ考えてみてはいかがでしょうか。

漢方薬剤師 樫出恒代さん

【特集】「おとなの五月病」どうつきあう?

  • 樫出恒代(かしで ひさよ) 漢方薬剤師・漢方ライフクリエーター。『漢方カウンセリングルームKaon』の代表でもあり、『Kaon漢方アカデミー』の代表兼講師としても活躍。「漢方をもっと身近に。もっと自分らしく」というテーマの元に行うきめ細やかなカウンセリングや施術に定評あり。また、スクールやセミナーでは講師としての一面をもち、心身ともに元気になるための"漢方ライフ"の普及に力を注いでいる。 『漢方Kaon』
取材・文/本庄真穂
撮影/望月みちか
デザイン/日比野まり子
イメージ写真/shutterstock.com

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