マチュア世代に応え、肌ざわりを追求したニットインナー「101回目のサプライズ」

語り/プライス美佐依(MD)、松山美幸(デザイナー)

この春、大人のためのブランド「グラッピー」から、「101回目のサプライズ」という印象的なネーミングの新商品が誕生。たくさんの洗濯を重ねても、そのここちよさが続くこと(※)を目指して開発された肌着の、生地や構造の工夫について、徹底したこだわりを開発担当者が語ります。

※当社指定方法での試験評価(洗濯前・101回後)に基づくものであり、あらゆる条件下での性能を保証するものではありません。

マチュア世代の声に応え、肌ざわりを追求したニットインナー「101回目のサプライズ」

加齢による肌のお悩みをサポートする生地

――まずは、グラッピーから今回の新商品が生まれた背景を教えてください。

プライス グラッピーは、「年齢にともなうからだの変化」と向き合うブランドとして、<肌ざわり><快適で美しい設計><動きやすさ>の3つにこだわって商品を開発しています。1999年に誕生し、20年以上にわたって大人の女性に親しまれてきました。

プライス 美佐依(MD) プライス 美佐依(MD)

松山 もともと社内で、マチュア層(成熟した大人の女性)をターゲットにしたプロジェクトが組まれ、そこで、50代・60代の女性のお悩みやご要望をヒアリングすると、加齢によるからだの変化を感じながらも、「いつまでも美しくいたい」、さらに「生活を充実させたい」という思いがあることがわかりました。

中でも、肌ざわりへのこだわりをもつ方が多く、ニットインナー(肌着)で何かできないかとアンケートを取ったところ、「洗濯、着用を繰り返しても生地の肌ざわりがいいもの」という声があがりました。また、アクティブで若々しい感覚をおもちのところも、いまどきのマチュア世代の特徴です。そのような方たちに、長く安心して着ていただける肌着をと、この商品の開発をスタートしました。

プライス 今回のポイントとなるのがこちらの生地です。ぜひ触ってみてください。

新商品のために開発したハイブリッド構造の生地。 新商品のために開発したハイブリッド構造の生地。

――とてもやわらかくて、気持ちのいい手ざわりですね!

松山 そうなんです。手に取った瞬間だけでなく、洗濯を繰り返してもずっとその肌ざわりが続くものを目指しました。繊維メーカーの方とアイデアを出し合っていたとき、「100回以上洗濯しても風合いの続くもの」というキーワードが出まして。私が「せっかくなら101回にしませんか? 100回より記憶に残りそう」と思いついたのが、「101回目のサプライズ」というネーミングの由来です。

――どのようにして、状態が持続する生地を開発したのでしょう?

プライス まず、どんな糸を使ったらいいかを考えました。そこで、特徴の異なるレーヨンとポリエステルを採用することに。短繊維であることで毛羽の出やすいレーヨンを、長繊維のポリエステルが表面にくるように撚り合わせた「ハイブリッド構造」にすることで、風合いがなめらかで、やわらかい触感が続く生地が生まれました。

松山 洗濯試験はあらかじめ決められた厳しい条件のもとで行うのですが、通常は、洗濯すると生地が少し固くなってしまうなど変化するため、洗濯を数多く繰り返した後も風合いを持続させるのはとても難しいことです。試験後のアンケート結果では、そのハードルを越える評価を得ることができました。

松山 美幸(デザイナー) 松山 美幸(デザイナー)

プライス 満足度の高い質感に加えて、プラスアルファの機能もつけたいなと思って。吸水速乾性と、アンモニアを消臭する機能も付加しているので、これからの暑い季節にもおすすめです。

肌ざわりや機能性を追求した細やかな設計

――商品のバリエーションやサイズ、カラーについて教えてください。

マチュア世代の声に応え、肌ざわりを追求したニットインナー「101回目のサプライズ」

プライス カップ付きインナー(ノースリーブ)、3分袖、ノースリーブ(画像左より)、ほかに7分袖、3分丈ボトムを加えた全5アイテムで、シーズンを通して着用していただけます。サイズはM、L、LL。カラーは、いつも好評いただいているピンク(PO)は欠かせないですね。春夏シーズンということで爽やかなブルー(SX)、ご要望の多い濃色としてブラウン(BR)をご用意しました。

――デザインや設計のポイントは?

松山 最近は年齢を問わず、「いかにもインナー」に見えないものが求められているので、シンプルに仕上げました。肌ざわりが気になるマチュア世代の方に向けてつくっていますが、もちろん若い方にも着ていただけます。肌あたりを考えて、筒状の生地を使うことで脇の縫い代もないので、着ごこちがいいんですよ。

両サイドに縫い代がないので肌あたりがやさしい。 両サイドに縫い代がないので肌あたりがやさしい。

プライス 3分袖と7分袖には、脇の下にマチを付けることで、腕を上げたり下げたりしても着くずれしにくいように配慮しています。グラッピーの商品では、基本的な仕様ですが、どのタイプも、それぞれの構造に合わせて糸を使い分け、肌に最もやさしい縫製方法を考えて開発しています。

脇にマチを付けることで、動きやすく着くずれしにくい。 脇にマチを付けることで、動きやすく着くずれしにくい。

松山 マチュア世代の人気アイテム、カップ付きインナーにも、この世代のからだに配慮した工夫をちりばめています。ネックとアームホールを袋縫いにすることで肌にやさしい仕様にしました。

ノースリーブのカップ付きインナー。ネック・アームホールは、袋縫いを採用することで縫い目が肌にあたらない。 ノースリーブのカップ付きインナー。ネック・アームホールは、袋縫いを採用することで縫い目が肌にあたらない。

プライス カップ部にはソフトなモールドカップを内蔵し、カップの肌側は縫い目が肌にあたりにくい始末にしています。カップのアンダーはストレッチ性があり、このようによく伸びるので、圧迫感を感じにくいのも魅力です。また、タグが肌に当たらないように必要な表示を直接生地の裏側にプリントしました。

カップ付きインナーのアンダーは、よく伸びる素材を使用。 カップ付きインナーのアンダーは、よく伸びる素材を使用。 カップ付きインナーの裏側(背中側)。タグを縫いつけず取扱い表示を生地にプリント。 カップ付きインナーの裏側(背中側)。タグを縫いつけず取扱い表示を生地にプリント。

松山 生地の風合いが洗濯後も安定しているというメリットは、肌との相性につながる部分もあるので、グラッピーを知らなかった方でも、質のよさに共感してお使いいただければうれしいです。

プライス 肌あたりのやさしさを重視される方はもちろん、着ごこちのいいニットインナーとしておすすめですよ。

プライス 美佐依(MD)
  • プライス美佐依(プライス・みさえ)
  • プライス美佐依(プライス・みさえ) 第1ブランドグループ ワコールブランド商品営業部 商品営業三課
    1994年ワコール入社。入社後、材料・貿易・生産管理担当として企画から仕入・生産までを経験。2017年まで約7年間「アキュート」、2018年より「ルーチェスト」、2021年より「グラッピー」のMDを担当。
  • 松山美幸(まつやま・みゆき)
  • 松山美幸(まつやま・みゆき) 第1ブランドグループ ワコールブランド商品企画部 商品企画一課
    1995年ワコール入社。ランジェリーパタンナーを経験したのち、「ラゼ」やショーツ全般の企画を担当し、2019年より「グラッピー」の企画を担当。マチュアプロジェクトメンバーとして研究調査にも参画。
取材・文/シキタリエ
撮影/松井ヒロシ
デザイン/WATARIGRAPHIC