つけているのを忘れるくらい、軽いつけごこち。「エアリーソフトブラ」新作誕生

語り/北村典子(デザイナー)、松本直之(MD)

「生活するからだと会話する」をコンセプトにリブランドしたWing(ウイング)より、2021年春夏シーズンの「エアリーソフトブラ」の新作が登場。より軽やかな構造が叶った開発の過程や、新しいターゲットに向けて取り入れたデザインについて聞きました。

つけているのを忘れるほどの軽やかさ。「エアリーソフトブラ」新作誕生

お客様のニーズに応える、軽くてやわらかなつけごこちが魅力

――「エアリーソフトブラ」の新商品はどんなテーマで開発をされたのでしょう?

松本 Wingとなじみの薄い若い世代をターゲットに開発しました。これまでは量販店に行かれることの多い40代の方を想定してきましたので、その層に向けた商品はすでに充実しています。そこで、今回はWingをまだ使ったことのない方々が何を求めているのかを調査しました。すると「自分のからだにそって無理なくつけられるものが欲しい」という声がとても多かったんです。自宅用、おでかけ用というよりは、どちらでもほどよく使えるものが求められているとわかりました。

北村 現在は、女性のライフスタイルが変化していますよね。仕事、家事、育児…ととても忙しいなか、いろんなものがスマート化しています。「がんばりすぎなくていいんだよ、そのままの姿でいいんだよ」というのが特に今のニーズに響くメッセージだと考えて、軽くてやわらかなつけごこちを大切に、あえて造形感をつくるのではなく、ほどよくきれいなシルエットを目指しました。

松本 背中の段差が気になるというお声も複数あったので、それがクリアできるようなフリーカッティングのパワーネットを開発しました。

フリーカッティングのバック素材を新たに開発。
フリーカッティングのバック素材を新たに開発。

北村 さらに、従来まっすぐのラインでつくるフロント中心部は、V字設計にしました。そうすることで、圧迫感がおさえられます。突出した機能ではありませんが、より負荷がかからずデイリーに使えるように配慮しています。

センターをV字にすることで圧迫感を軽減。
フロント中心部をV字にすることで圧迫感を軽減。

松本 手にとっていただいたときに、まず軽さを感じていただけるように各素材の質量にもこだわりました。顧客調査でも、「すごく軽い!」「つけてみたい」という感想をいただけてうれしかったですね。Wingは販売員が常在していないセルフ店もありますし、これからwebでの販売にも力を入れていきたいため、コンセプトである「軽さ」が伝わりやすく日常に溶け込みやすいアイテムになるよう意識しました。

松本 直之

北村 従来よりもお求めいただきやすい価格におさえつつ、こだわりを詰め込んでいるのがポイントです。バストの左右差が気になる方もいらっしゃるので、調整できるようパッドも付けています。このように、お客様のニーズを取りこぼさないように工夫していきました。

バストの左右差が気になる方もいらっしゃるので、調整できるようパッドもおつけしています。

くすみ系カラーを取り入れた、バリエーション豊かな5色展開

――デザインやカラー展開について教えてください。

松本 デザインも顧客調査の結果から分析しました。これまでは華やかなタイプが人気だったのですが、若い世代のトレンドでもあるくすみ系にチャレンジしたのがポイントですね。従来からのお客様にも選んでいただけるよう、グレー(GY)、イエロー(OV)、ブルー(BU)、アイボリー(CB)、紺(LB)の5色をそろえました。

つけているのを忘れるほどの軽やかさ。「エアリーソフトブラ」新作誕生
手前から、グレー(GY)、イエロー(OV)、ブルー(BU)、アイボリー(CB)、紺(LB)。
「エアリーソフトブラ」では挑戦してこなかった、くすみ系カラーを導入。
「エアリーソフトブラ」では挑戦してこなかった、くすみ系カラーを導入。

北村 こちらが、カップにあしらっているレースです。葉っぱがモチーフの、軽やかな印象に仕上げています。

ベースのレースは、葉っぱがモチーフのデザイン。
ベースのレースは、葉っぱがモチーフのデザイン。

松本 カラーによって、ここにお花をプリントしたものと、していないものとを使い分けているんですよ。新しいお客様と既存のお客様、どちらにもお好みのものを選んでいただけるようにバリエーションを網羅した結果です。

お花のプリントを施したレースは従来からのお客様を意識。
お花のプリントを施したレースは従来からのお客様を意識。
レースの葉に色をのせたシンプルなレース。
レースの葉に色をのせたシンプルなレース。

――特に苦労された点はありますか?

北村 くすみを意識しすぎると、老けて見えてしまうことも…。トレンドではありますが、うまく表現するのがむずかしかったですね。

松本 同じように、赤味をプラスすると年齢層が想定よりも低い印象になるケースも。ニュアンスカラーの絶妙なバランスに苦労しましたね。ブラジャーにはパーツがたくさんあるので、単体で見たらOKでも組み合わせたら違和感が出るなど、微調整がたいへんでした。

――こちらのカラーは、ストラップの色の組み合わせに特徴がありますね。

北村 そうなんです。フランスで出会った、くすみ系なのにストラップが華やかなブラジャーを参考にしました。地味になりすぎないように、ストラップの色選びを工夫した、キャリア向けのイメージです。肩からのぞくストラップが気になるというお声があるので、あえて見えてもOKな色選びをしました。

ストラップには、アウターから見えてもアクセントになるカラーをセレクト。
ストラップには、アウターから見えてもアクセントになるカラーをセレクト。

――ショーツについても教えてください。

松本 ショーツは、ノーマルとボーイレングスの2タイプです。ノーマルは、肌あたりがよくはきやすい綿混です。最近人気の高まっているボーイレングスは、フリーカッティング素材でアウターにひびきにくい設計です。

ショーツは、ノーマルとボーイレングスの2タイプ。

北村 ショーツにも、さりげなくレースをあしらっています。ブラとセットで着用いただけるとうれしいですね。

ショーツにも、さりげなくレースをあしらっています。

松本 おかげさまで、昨年発売した「エアリーソフトブラ」は、2020年8月から12月の5カ月間で計画以上の15万枚が売れました。今シーズンは、機能面も妥協することなく、3,000円台で発売することができました。多くの方が手に取ってくださると何よりうれしいです。ぜひ店頭で軽さを実感していただき、お好みのカラーをお選びください。

  • 北村典子
  • 北村典子(きたむら・のりこ) 第2ブランドグループ ウイングブランド商品企画部 商品企画一課
    ワコール入社後、ワコールブランドの様々なブランドでチーフデザイナーの経験を経て、現在はウイングキャンペーンのチーフデザイナーに。
  • 松本直之
  • 松本直之(まつもと・なおゆき) 第2ブランドグループ ウイングブランド商品営業部 商品営業一課
    ワコール入社後、販売課で9年間の量販店セールスを担当。現場の経験を活かし、2016年4月より「レシアージュ」のMDを務め、2019年4月より現職。
取材・文/シキタリエ
撮影/合田慎二