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  • 2024.03.27

歩き姿をAIがチェックする!?「フットコンシェルジュ〜歩き姿チェック〜」体験レポート

これまで自分の歩く姿を意識したことはありますか? ワコールによる調査(※)では、4人に3人が「自分の歩き姿が気になる」と回答しているのだそう。ただ、客観的に見ることができないため、どうすればいいのか、わからないのではないでしょうか。そこでぜひトライしたいのが「歩き姿チェック」です。今の自分は他人にどういう印象を与えている? なりたい印象に近づくためのポイントはある? 記者による体験レポートをお届けします。

※ 2022年10月 ワコール調べ(WEB調査:全国女性10,000人対象)

Step.1
耳・手首・足首の3カ所にセンサーをつける

耳・手首・足首の3カ所にセンサーをつける

今回、計測のために訪れたのは、「サクセスウォーク」商品を扱っている婦人靴売り場。ワコール専属のシューフィッターさんが説明してくれました。まず最初に、歩き姿を計測するため、耳・手首・足首の3カ所にセンサーを取り付けます。センサー自体は、つけている感覚がないぐらい軽いもの。

Step.2
いつもどおりに10メートル程度歩く

いつもどおりに10メートル程度歩く いつもどおりに10メートル程度歩く

センサーをつけたら、いつものように約10メートルほど歩きます。

Step.3
歩行解析AIが、今の歩き姿の印象から6つのタイプに分けて判定

歩行解析AIが、今の歩き姿の印象から6つのタイプに分けて判定 歩行解析AIが、今の歩き姿の印象から6つのタイプに分けて判定

すると、歩行解析AIが歩行時の印象を6つのタイプに分けて判定してくれます。記者の結果は『エレガント』(写真上)。なかでも『ややエレガント』という判定が出ました(写真下)。現状の歩き姿は、「しなやかで、のびやかで、品のある印象」を与えることができるのだそう。その特徴として「歩く速さはやや速め」「からだの左右のブレが小さめ」「背筋がまっすぐ伸びている」ことがあげられるのだとか。

Step.4
なりたい印象を伝えて、歩行時のアドバイスを受ける

なりたい印象を伝えて、歩行時のアドバイスを受ける

現状の印象がわかったうえで、次は「自分がなりたい印象」を伝えます。記者が目指しているのは「若々しくアクティブな印象」。歩行解析AIに「なりたい印象タイプ」を伝えると、歩行時のアドバイスが提示されました。そのアドバイスとは、「動きを大きくして、歩きましょう」というもの。「歩幅や腕振りを大きく、歩く速さは速く」という具体的なポイントが示されます。

Step.5
再度、10メートル程度歩く

再度、10メートル程度歩く 再度、10メートル程度歩く

先ほどのアドバイスを意識して、再度歩きます。

Step.6
歩行解析AIが、なりたい印象に近づいたかどうか判定

歩行解析AIが、なりたい印象に近づいたかどうか判定 歩行解析AIが、なりたい印象に近づいたかどうか判定

アドバイスどおりに歩いてみると、見事『アクティブ』の判定が! 「しゃきしゃき、すたすた、堂々とした印象」を与えることができるとわかってうれしい限り。『アクティブ』を目指す人は、「歩く速さは速め」「歩幅、腕の振り幅が大きめ」「からだの左右のブレがややある」というポイントを意識するとよいのだとか。

ちなみに、今回の6つのタイプ分けは以下のとおり。
『エレガント』しなやかで、のびやかで、品のある印象
『アクティブ』しゃきしゃき、すたすた、堂々とした印象
『ストイック』ずんずん、ひたむきな印象
『エアリー』ふわふわ、ゆっくりした印象
『アンニュイ』力まない、慎重な印象
『マイルド』しとやか、穏やかで落ち着いた印象


最後に、シューフィッターさんはこう語ってくれました。「歩き姿チェックで大切なのは『何が正解か』ではなく、『どういう印象を与えたいか』。これまで、就職活動を始める方、お子さんの受験を控えた方、管理職に就く方など、さまざまなTPOの方がいらっしゃいました。どんなシーンで、どんな自分をプレゼンしたいのか、ぜひイメージして、サクセスウォークのフットコンシェルジュを体験し、活用してほしいと思います」

Column 研究の現場から
「なりたい自分」をイメージすることから

今回の「歩き姿チェック」で実感したのは、「与えたい印象をイメージして、からだを動かす」ということでした。そこで、認知科学(身体メディア論)を専門とする、同志社大学 文化情報学部の阪田真己子教授に、身体とイメージについて、お話を伺いました。

――阪田先生は、「身体が世界とつながるためにどんな機能を果たしているのかを探求すること」をライフワークとしていらっしゃいますね。

私は、「身体は自分と世界の結び目」だと考えています。ただ、私たちは自分の身体を客観的に見ることができません。鏡や写真などで見る断片的な姿を組み合わせることによって、脳内で「自己イメージ」をつくり上げています。そこで、身体の動きを少しだけ意識することで、自己イメージをアップデートするとともに、他人に与える印象を変えることもできると考えているのです。

――それは、歩き姿でも実践できますか?

「歩く」という日常動作は、本来は単なる移動手段にすぎないのですが、一方で、日常動作だからこそ、「その人らしさ」が最も現れ出る動作であるということもできます。ちなみにこれまでの研究で、「客観的には平均的な歩き姿だったとしても、女性の場合、それが自分の姿だと認識するとたちまち評価が下がってしまう」ことがわかっています。さらに、「自分の歩き姿を見る前よりも見た後のほうが、理想の歩き方を実践するためのモチベーションが上がる」こともわかっています。

――すごく興味深い結果ですね。

だからこそ「今の姿をしっかり見て自分と向き合う」「その姿は思っているよりずっとよいものだと知る」。この2点を認識して、自己イメージのアップデートにつなげてほしいですね。自分の印象は意識ひとつで変えられること、そして表現の引き出しをまだまだ増やすことができることを、もっと知ってもらえたらと思っています。

  • 阪田真己子さん
  • 阪田真己子さん 同志社大学 文化情報学部 教授
    2002年神戸大学大学院総合人間科学研究科博士課程修了。博士(学術)。ATR知能映像通信研究所研究員、福島学院大学講師を経て、2005年4月本学部専任講師に着任、2018年より現職。
取材・文/本庄真穂
撮影/高木亜麗(体験取材分)
デザイン/WATARIGRAPHIC