大人のバストは「みっちり」から「やわやわ」へ!?

特集/美胸の保ち方

先生/奥田逸子(国際医療福祉大学 三田病院)

---- 乳腺組織を脂肪の中で支えてくれているクーパー靭帯のおかげで、形をキープしている私たちのバスト。しかし、年齢を重ねるとともに、からだの状態は変化していきます。加齢によって、私たちのバストはどのように変わっていくのか。これまでに数多くの乳房の変化を研究してきた国際医療福祉大学 三田病院 放射線診断センターの奥田逸子先生にうかがいました。

大人のバストは「みっちり」から「やわやわ」へ!?

画像で一目瞭然!
乳房はこんなに変化する

年齢を重ねると乳房はどう変化するのか。いろいろとご説明する前に、まずはマンモグラフィの画像を見ていただきましょう。

マンモグラフィの画像

左が若年者、右が高齢者の乳房です。一見して、色と形の違いがわかると思います。画像に白く写し出されているのは乳腺組織で、黒く見えているのが脂肪組織です。

若年者は乳腺組織が豊富で、ぎゅっと凝縮しています。一方、高齢者の乳腺組織は退縮しており、脂肪に置き換わっています。画像からも伝わってきますが、若年者の乳房はみっちりと堅く、高齢者の乳房はやわやわとしてやわらか。乳房内の組織が変化しているためです。クーパー靭帯も弱くなり伸びてくるので、乳房全体が下垂します。いつまでもみっちりと堅いバストでいたいのはやまやまですが、これは、加齢によって頬やお尻が垂れてくるのと同じで、仕方のないことなのです。

バストはブラジャーという
“棚”にふんわりと乗せて

バストのエイジングについては、よく、「デコルテがそげる」「外に流れる」「垂れる」の順で進むといいます。これまでお話してきたように、加齢に伴うクーパー靭帯の伸びと、乳腺組織の変化で、そのステップが起こるわけです。これは、残念ながらだれにも起こる変化です。ただし、そのスピードには個人差があります。

加齢によるバストの変化

バストが大きな人は重力の影響を受けやすいとか、激しいスポーツをする人はバストも大きく動かされるといった、物理的な刺激は、エイジングによる加齢変化ステップが進むスピードに関係してくるでしょう。ゆさゆさとバストを大きく揺らすことは、乳房周辺の皮膚や、クーパー靭帯を刺激して、伸ばしてしまうことにつながりかねません。

どのステップの方でも、美しいバストラインを整えるために大切なこと。それは、きちんとサイズのあったブラジャーをつけて、バストを重力から守ることです。サイズはもちろんですが、みっちり堅いバストと、わやわやバストでも、適するブラジャーは異なります。20代のときと同じブラジャーを40代になってもしていては、せっかくのブラジャーの役割も最大限に生かされません。

バストに重力をかけないように、ふんわりと棚に乗せておく、そんなイメージでブラジャーをつけていれば、美しいシルエットを長く保つことができると思います。

----誰にでも等しく訪れるバストのエイジング。その進行を、少しでも遅くするためにも、定期的に自分の乳房の状態を観察して、ブラジャーを見直してみるとよいのではないでしょうか。次回は、奥田先生がWACOAL BODY BOOK読者からのバストケアの疑問にお答えします。

取材・文/剣持亜弥
  • 奥田逸子
  • 奥田逸子 医学博士。国際医療福祉大学 医学部 放射線医学 准教授。放射線診断専門医として、マンモグラフィやMRIにおける乳腺画像、CTやMRIによる頭頸部および胸部画像などを中心とする画像診断を行う。画像を使ってエイジングを研究する「加齢画像研究所 ONI」所長。