かいた汗を服に残さない! 改めて学びたい洗濯の基本

特集/2022年夏、汗対策の最新事情

語り/大貫和泉(ライオン お洗濯マイスター)
かいた汗を服に残さない! 改めて学びたい洗濯の基本

カラリと過ごしやすかった時期が過ぎると、湿気が多い梅雨、汗と戦う夏と、衣服のケアが気になる時期が立て続けにやってきます。そんな季節に改めて知っておきたい、基本の洗濯方法や洗剤の使い分け、生乾きをできるだけ防ぐ方法などを、ライオン株式会社のお洗濯マイスター、大貫和泉さんに教えていただきました。

洗濯表示を見て、洗剤を賢く使い分け

まずは「洗濯表示(取扱い表示)」の見方を改めて学びましょう。タグのいちばん左に表記してあるのが、家庭洗濯のマーク。こちらに×がついている場合は、各アパレルメーカーの試験によって、洗うと縮む・色落ちする・型くずれするなどのダメージが出る可能性がある衣服なので、家では洗濯できません。クリーニングに出しましょう。

洗濯表示(取扱い表示) 洗濯表示(取扱い表示)

家で洗濯できる場合は、マークの下線の本数によって、洗濯する際の強さが変わります。 横棒の数が多いほど、弱い水流で洗うことを示します。

おすすめの洗濯のコース

家で洗濯できる場合は、マークの下線の本数によって、洗濯する際の強さが変わります。 (提供:ライオン)

左ふたつは洗濯機の標準コース、右ふたつはおしゃれ着コースや手洗いでやさしく洗濯することをおすすめします。おしゃれ着コースは、「手洗いコース」「ドライコース」「おうちクリーニングコース」など、洗濯機によって呼び方が異なります。
またどのマークかによって、洗剤を変えることもおすすめしています。

○洗濯の強さが強いもの/標準コース、一般的な衣料用洗剤
洗濯機の標準コースで洗うときに、しっかり汚れが落ちるようにできています。

○洗濯の強さが弱いもの/おしゃれ着コース、手洗い、おしゃれ着用洗剤
素材を傷めずにやさしく洗っても、汚れが落ちるようにつくられています。また、型くずれ防止成分が含まれているので、セーターなどのニット類、ブラウスやスカート、制服、スーツなどにも使えます。

洗濯表示(取扱い表示)が覚えられないときは、「これ洗える?」アプリが便利です。タグに表示されているマークと同じものをアプリ内で探しタップすると、その衣服に最適な洗い方や干し方、漂白剤やアイロンの使用可・不可を見ることができますよ。

(提供:ライオン「これ洗える?」アプリ) (提供:ライオン「これ洗える?」アプリ) (提供:ライオン「これ洗える?」アプリ)

また、衣服を傷めないために洗濯ネットを多用する方もいますが、洗濯ネットを使用すると、どうしても汚れの落ちる度合いは下がります。特に、タオルなど型くずれの気にならない衣類は入れないことをおすすめします。

ネットに入れるときも、1枚のネットに2枚3枚と衣服を入れてしまうと、重なる部分が多くなり、洗浄力が落ちてしまいます。基本は「1枚のネットに、1枚の衣服」がおすすめです。

下着の洗濯は洗濯表示を確認して、やさしく丁寧に

下着を洗濯する際も洗濯表示(取扱い表示)を確認して、大切にケアしましょう。より⻑くご愛用いただくために、おしゃれ着洗剤・下着専用洗剤など、「中性洗剤」を使用し、手洗いされることをおすすめします。

ブラジャーは左右のカップの真ん中で二つ折りにし、ハンガーにかけて干す方法とアンダー部分を上にして干す方法があります。ブラジャーだけでなく、基本的に「洗濯物は上から乾く」ので、生地が重なっているなど乾きにくい部分を上にして干して早く乾かすといいですよ。

ブラジャーの洗濯について

ブラジャーの洗濯についてはこちら>

「裏返しで洗濯する」がいい場合も

洗濯は奥が深い世界です。たとえば靴下は「汚れが気になるか、ニオイが気になるか」で、洗い方が変わります。泥などで汚れるのは表、からだに直接触れて汗がつくのは裏。そのため、外からついた汚れや黒ずみが気になる場合は表のまま、からだからのニオイが気になる場合はむしろ裏返しで洗うのがいいですね。

ほかにも、ロゴや図柄などがプリントされているTシャツなどの洋服も、実は裏返しにして洗うことで、プリントが薄れにくくなりますよ。よく「家族が、服を裏返しにしたまま洗濯機に入れてしまう」というお悩みをもっている方を見かけますが、実は悩む必要がないこともあるのです。

部屋干しの生乾き臭を防ぐ乾かし方

お洗濯で汚れやニオイを落としても、干すときに湿っている時間が長いと、菌が増殖し、イヤな生乾き臭が発生してしまうこともあります。洗濯のときに落としきれなかったわずかな「汚れ」が化学的に変化したり、「菌」による作用を受けたりするのが原因です。

そのため、生乾き臭を防ぐには、とにかく「できる限り汚れが残らないように洗う」「早く乾かして、菌の増殖を抑える」の2点が重要です。生乾き臭は、環境にもよりますが、干してから5時間後くらいからニオイが発生してきますので、5時間以内に乾くように干すと、生乾き臭が抑えられます。
部屋干しの場合は扇風機などの家電を利用したり、角ハンガーを使用する場合は、外側に長いものを、真ん中に短いものを干す「アーチ干し」にするなど、風の通りをよくするように干し方を工夫するとよいでしょう。

服をケアする知識をもっておくことで、大好きな服を長く愛することができて、毎日も楽しくなります。ぜひできるものから実践してみてくださいね。

取材・文/後藤香織
デザイン/WATARIGRAPHIC
  • 大貫和泉(おおぬき・いずみ)
  • 大貫和泉(おおぬき・いずみ) ライオン お洗濯マイスター
    消費生活アドバイザー、繊維製品品質管理士 健康予防管理専門士
    洗濯用洗剤などの製品開発・調査に約20年携わった経験をもとに、日々のお洗濯にまつわる情報をわかりやすく提供している。
    https://lidea.today/