バレリーナ浅川紫織さんの背中美人10の秘訣<前編>
特集/背中美人は肩甲骨から!
語り/浅川紫織(K-BALLET COMPANY、バレリーナ)
取材・文/川口夏希<attik>(ライター)
スラッと伸びた背筋や、くっきりと浮かぶ肩甲骨は、美しい後ろ姿には必要不可欠! 今回の「美の流儀」では、まさに"天使の羽"のように、しなやかに動く肩甲骨をもつ、バレリーナ・浅川紫織さんが登場。前編では、なぜバレリーナの背中が美しいのか、その理由に迫ります。
Secret1
「バレリーナにとって、背中は"命"です」
「
全身を使って踊るバレエでは、からだのどの部分も重要ですが、なかでも背中は特に重要です! 正面だけを向いて踊ることはないので、常に後ろ姿を見られているという意識をもっています。
バレエの衣裳は、おなかは隠せても背中は出ているものが多いので、観る人も背中の美しさは気になりますよね。薄暗い舞台では、背中の筋肉の動きが浮き立ちます。背中は、バレエにとってはベースとなるパーツですから、
背中の美しさを気にしないバレリーナはいないんじゃないかな、と思います」
Secret2
「美しいダンサーの背中には小さな筋肉が無数にあります」
「例えば『白鳥の湖』という演目では、白鳥の羽の羽ばたきを表現するために、肩甲骨と肩の動きが重要になります。そのようなしなやかな動きを表現するためには、細かい筋肉を動かさなければなりません。そんな小さな筋肉をつくるのは難しいのですが、
"小さな筋肉よ、目覚めよ"と意識することが、まずは大事です。トレーニングを重ねているダンサーの背中には、無数の小さな筋が浮き出てきます」
Secret3
「大きく広がる背中が、舞台でオーラを放ちます」
「バレリーナには華奢なイメージがあるかもしれませんが、舞台では存在感をアピールしなくてはなりません。そのために、背中をできるだけ広く大きく見せるようにみんな心がけているものなんです。
背中が固まっていると、オーラが半減してしまうので、ふだんから背中を横に引っ張り合い、左右に伸びていくような意識をもっています。舞台を観る機会があったら、ダンサーの背中の動き、横への広がりの大きさにも注目してみてください」
Secret4
「男性と組んで踊る"パ・ド・ドゥ"では背中の筋肉が必須」
「股関節や足首をケガする事が多いと思われがちですが、
実は背中に筋肉がないと肋骨が骨折することもあるんです。実際に私も経験したことがあるんですが、男性が女性を持ち上げる"リフト"というポーズでは、男性が女性の肋骨部分を持って支えます。重心がすべてそこにかかるので、想像以上に肋骨に負荷がかかります。
"パ・ド・ドゥ"を踊るためには、背中を強くしておくことが必要なんです」
Secret5
「からだの動きで観客を魅了するには、背中のやわらかさがカギになります」
「背中の筋肉をつけることもバレリーナにとっては必要なのですが、しなやかな動きを表現するためには、
背中がやわらかいことも大切です。ふだんの生活では、背中がやわらかいかどうかは意識しないですよね。バレエでは、背中を丸めたり、反ったり、横に倒したりと
バリエーションにとんだ動きをスムーズに行う必要があって、背中がやわらかいとそれだけ、表現の幅も広がります」
まるで羽のように、自在に動く肩甲骨。背中にくっきりと浮き立つ肩甲骨は、美しさの極み。浅川さんがしなやかに動くたび、撮影スタッフ一同、羨望のまなざしが。
〈
後編/背中を美しくする方法〉は7月公開予定
浅川紫織〈バレリーナ〉(K-BALLET COMPANY プリンシパル・ソリスト)
長野県生まれ。4歳よりバレエを始める。2003年4月、Kバレエ カンパニーに入団、2008年12月プリンシパル・ソリストに昇格。躍動感のある動きと、繊細な感情表現で、観る人に夢を与える、美しきバレリーナ。
http://www.k-ballet.co.jp
撮影/本間日呂志
ヘア&メイク/阿部知洋