忙しいランチ時間でも「置き替え」でロカボを実践

特集/糖質制限、ホントのところ

文/おくだじゅんこ(管理栄養士)
イラスト/いしわたりきわこ
忙しいランチ時間でも「置き替え」でロカボを実践

日本人は昔から、糖質を多くとる民族です。糖質は脳やからだを動かすための大事な栄養素ですが、とりすぎてしまうと脂肪となってからだに蓄積されるため、太ることにつながります。また、糖質による「血糖値の乱高下」が、からだの不調の原因になることも、一般に知られるようになってきました。

さて、日本人はいったい1日にどれくらいの糖質をとっているのでしょうか?

令和元年度 国民健康栄養調査の結果では、1日の糖質摂取量は273g。単純に3食で割ると、1食あたり約90gの糖質という結果でした。「ゆるやかな糖質制限・ロカボ」が提唱する適正糖質では、1日あたりの糖質量としては70~130g 、1食あたりの糖質を20~40g、間食で10gと定義されています。ちなみに「ロカボ」は一般社団法人 食・楽・健康協会の登録商標で、ローカーボ(low carbohydrate)の略語。carbohydrateは英語で炭水化物をさします。(教えて、ドクター!「食べていいもの・やめたいもの。「ゆるやかな糖質制限」実践編を参照)

一般的な主食の糖質量(炭水化物から食物繊維を除いた量)は、ごはん1膳(150g)約55g、食パン(6枚切り)1枚約28g、うどん1玉(200g)約40gです。おかずのことを考えると、それぞれ「半分ずつ」を目安にすると「ロカボ」の目安におさまりそうです。

でも、忙しい日常でこうした計算をしている余裕はないし、コンビニで済ませるという方も多いでしょう。そんな方には、簡単な置き換えを提案します。たとえば、「メロンパン1個」と「野菜ジュース(果汁入り)1本(200ml)」をとったとします。食事量としてはまったく多くありませんが、糖質の量でいうと、メロンパン約65g、野菜ジュース1本約15gで、トータルは80gにもなってしまいます。てっとり早い食事であまり量を食べていなくても、糖質は多くとっているということは、多々あるのです。これを、「卵サンド1個」と「無糖の紅茶」に置き替えてみましょう。卵サンドは糖質約30g、紅茶は0gで、トータルの糖質量は30gです。

このように、タンパク質や野菜が入ったものを組み合わせて、食事量や栄養は確保する。飲み物類は無糖のものに替えて糖質を減らしていく。これが、無理なくロカボを実践するポイントといえます。さらに食事量を増やしたいなら、肉や魚、豆腐といったタンパク質と野菜料理を追加しましょう。まずは、食品の栄養成分表示を見て、どれくらいの糖質が入っているのか、チェックする習慣をつけてみてください。

スーパーなどでは、食品の表示にも「ロカボ」という言葉をよく目にするようになりました。麺類やお菓子、アイスクリームなど、さまざまな商品が出ています。通常の商品と比べて味や甘さは大きく変えず、糖質だけカットしているものも多いので、甘いものが大好きな方も、これらを活用すれば、ストレスなく「ロカボ」を続けられるのではないでしょうか。

食品の表示でもうひとつおさえておきたいのが、「糖質」と「糖類」の違いです。「糖類ゼロ」=「糖質ゼロ」と勘違いされる方が多いですが、これは間違いです。

「糖類ゼロ」と書かれている商品をよく目にしますが、これらは砂糖やブドウ糖が入っていないという意味合いが大きく、「糖質ゼロ」とは限りません。チョコレートなど、砂糖は使っていないけれど、糖質は入っている商品は多々あります。

糖質をとりすぎると「糖化」を促進し、老化を早める原因にもなります。糖尿病やダイエットのためだけでなく、若さや美肌キープのためにも、適正糖質を心がけたいものです。

  • おくだじゅんこ/管理栄養士 広島生まれ。2004~2012年の8年にわたり株式会社ワコールに勤務。陸上選手から社員まで幅広く健康管理に携わる。 病院栄養士を経て、現在は広島酔心調理製菓専門学校にて、調理師やパティシエの卵たちと「健康且つおいしい!」を追求し、日々奮闘中。