2022.08.10

【特集】おとな流 夏の紫外線対策#03

医師・友利新さん/美肌にはストレスケアと角質ケア。「くすまない」歳の重ね方

――20代、30代と同じ紫外線対策をしていても、当時と比べると、くすみがちだと感じることはありませんか? おとな世代に起こっている肌の変化と、夏に実践したい美肌対策を教えてもらいました。

夏のくすみ対策には
角質ケアを

一度浴びてしまったら蓄積されてゆき、ゼロにはできないのが、紫外線によるダメージ。前回お話しした光老化が、肌を老化させるおもな原因です。

ターンオーバーが整っていた若いころは、日焼け痕もすぐに消えていました。しかし40代、50代になると、肌に蓄積されたメラニンを排出する機能が低下してしまいます。

おとな世代の肌のくすみやゴワつきの理由は、ターンオーバーをコントロールする基底膜(きていまく)にあります。通常、皮膚の細胞は成熟すると、皮膚の奥から表面に移動して、最後に角質になってはがれ落ちます。紫外線によって発生したメラニンを蓄積した細胞も、ある一定の厚さになったら古い角質を切り離すシステムが働くのです。

肌のくすみの原因

ところが、こうした基底膜の機能が紫外線などのダメージで年齢とともに低下し、古い角質を切り離せなくなったり、うるおいをつくりづらくなったりしています。

そのため、角質をはがす細胞の働きを後押しする、ナチュラルなピーリングが必要です。最近は、刺激も少なく肌にやさしいおとなの角質ケア商品が充実しています。年齢を重ねると角質が溜まりやすいと意識して、月に1度や、季節の変わり目だけでも試してみてください。また潤いを保つ機能も下がっているので、角質ケアと同時に保湿もしっかりとしてくださいね。

健やかな肌に導く
ストレス対策と運動

運動やストレスも紫外線対策に関係しているのをご存じですか。物理的に日焼けを防ぎながら、筋肉をつけること、ストレスをためない生活も、美肌の土台になります。

運動をおすすめするのは、筋肉から出るホルモンがシミに関係しているから。筋肉が動いたときに出るこのホルモンが血流に乗って肌に届くことで、紫外線による炎症やシミになる原因を抑えるなどの働きをするといわれています。(参考:「美肌体質の秘密-筋肉が“鍵”を握ることを発見」ポーラ・オルビスホールディングス)

運動といっても、毎日30分筋トレなどは続きませんよね。階段を積極的に利用する、しっかり動いて家事をするなど、こまめにからだを動かす習慣からで大丈夫ですので、まずは継続してください。

そしてストレスは、角質にもともと備わっている紫外線をバリアする機能も弱くしてしまいます。すると水分が保てず肌が乾燥して、肌荒れやくすみの原因に。さらに肌の水分量を保っていたエストロゲンという女性ホルモンも減ってくる年齢では、かさついてかゆみにつながることも多くなります。保湿はもちろん、ストレスをためない生活を心がけてください。

ちなみに眠りに落ちる瞬間に多幸感がある私は、ここちよく入眠することを目指しています。特にパジャマにこだわりがありますね。昔はデザインで選んでいましたが、最近は素材の肌触りの良さや、タグや縫い目が気にならないなど、刺激のなさがポイントです。快適なアイテムにフォーカスして、ストレスを丁寧に軽減するのも、自分自身をよく理解した年代の知恵だと考えます。

不調は放置せず
病院を上手に利用

ストレスや更年期からくるさまざまな症状を、「こんなことで病院にいってもいいのかしら」と遠慮していませんか。いえいえ、相談されて「なんでもないですよ」と安心してもらうのも医師の仕事。美しい肌の基本は健康なからだ。なんだか不調だなと思ったら、気軽に病院を利用してください。

そして更年期世代は、心もからだも不調になりがちな中、自由に行動できない期間が長く続きました。ぜひこれからは自分が楽しめること、ここちよくすることを実践してください。私はこの夏こそ、子どもと夫、家族5人全員で宮古島に帰省して、海にも行きたい。もちろんみなさんも健康という礎のもと、紫外線対策は万全に、素敵な時間を過ごしてくださいね。

――――【特集】おとな流 夏の紫外線対策#04では、モデル金子エミさんの夏旅スタイル&紫外線対策をご紹介します。

  • 友利 新(ともり あらた) 医師(内科・皮膚科)。沖縄県宮古島出身。東京女子医科大学卒業。同大学病院の内科勤務を経て皮膚科へ転科。2004年第36回準ミス日本。三児の母。現在、都内2ヶ所のクリニックに勤務のかたわら、医師という立場から美容と健康を医療として追求し、美しく生きるための啓蒙活動を雑誌・テレビ などで展開中。YouTubeチャンネル『友利新/医師「内科・皮膚科」』は登録者数68万人以上。美と健康に関する著書も多数。
取材・文/三宮千賀子
撮影/高木亜麗
ヘア・メイク/鈴木京子
デザイン/日比野まり子