『胆汁酸』ダイエットで基礎代謝がアップ!?

特集/女はおなかで勝負!

先生/渡辺光博(慶應義塾大学政策メディア研究科教授、
医学部兼担教授)
取材・文/大庭典子(ライター)

Image

食事制限もきつい運動もナシでダイエット効果があるワケ

前回、古い胆汁酸を排出するためには、食物繊維を積極的にとることが重要だとお伝えしましたが、実践されていますか? 実際に始められた方からは、どことなくおなかがすっきりしてきたような...など、うれしい声も届いていますよ。今回も引き続き、"胆汁酸"について、渡辺光博先生にお伺いします。

「胆汁酸にはからだを何度も巡った"古い胆汁酸"と、新たに肝臓でつくられる "新しい胆汁酸"があることをお伝えしましたが、最新の研究では、胆汁酸はコレステロールや脂質などの脂っこいものを消化吸収するだけでなく、新しい胆汁酸の量が増えると、基礎代謝がアップし、脂肪燃焼を促すことがわかりました。

それは、ミトコンドリアの活性と深く関係しています。細胞を元気に動かすミトコンドリアは、"エネルギーの生産工場"とも呼ばれ、各細胞が元気に動くようにエネルギーを作りだす重要な細胞。いわば、若さや健康を保つ源なのです。

実は、新しい胆汁酸の量が高まると、このミトコンドリアが活性化することが解明されたのです。ミトコンドリアの働きがよくなれば、無理な食事制限やきつい運動をしなくても、脂肪の燃焼が促進され、基礎代謝が高まるなど、ダイエットにも健康にもうれしいことばかり。

さらにミトコンドリアが活性化すれば、体脂肪を燃やしエネルギーを消費する"褐色脂肪細胞"や筋肉の働きもよくなります。新しい胆汁酸は、エネルギー代謝のいい、痩せやすいからだをつくることができるのです。

"腸もみ"で古い胆汁酸を撃退、おなかもすっきり!

新しい胆汁酸をつくるには、古い胆汁酸の排出がマスト。それには、腸の運動を促すことも重要です。"腸もみ体操"を寝る前にやれば、朝の排泄にいい影響があるかもしれませんし、トイレで行うのも効果的でしょう」

1.イスに軽く腰かけ足を軽く開く
2.両手をへその下3cmへ差し込み大きく息を吸う
  息を吐きながら手首が太ももにあたるくらいまで上体を倒す
3.指先を指し込んだ状態で時計回りに3回まわす
4.息を吸いながらゆっくり上体を起こす

※あまり強く、もみすぎないよう、ご注意下さい。
※効果には個人差があります。
※通院中の方、妊娠中の方は医師にご相談下さい。


きついダイエットをしなくても、新しい胆汁酸が、痩せやすいからだをつくってくれるなんて、ナイス、胆汁酸! 腸の働きを活発にして、すっきりしたおなか、若々しいからだをつくりたいですね。

Image

渡辺光博(慶應義塾大学大学院 政策・メディア研究科教授 ヘルスサイエンスラボ代表 兼環境情報学部、兼医学部) 国立東北大学遺伝子実験施設 博士前期課程、フランス国立ルイ パスツール大学分子生物学科 博士課程 卒業。2014年「胆汁酸の調整で肥満、糖尿病が改善」をイギリスの科学誌『ネイチャー』に発表。その後、研究の関連論文は英科学誌『サイエンティフィック・リポーツ』と米科学誌『プロス・ワン』『JBC』等の国際誌に掲載された。バックパッカーで世界中を巡った経験も。

イラスト/190