歩き方のカギは上半身にあった!

特集/歩くチカラを見直そう

山口光國(理学療法士)
取材・文/大庭典子(ライター)

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からだのゆがみや固さで歩き方がブサイクに?!

同じ年齢でも、若々しく見える人となんとなく老けて見える人。その違いはいったいどこにあるのでしょう。お肌の状態や体型など理由はさまざまですが、大きな要因は"歩き方"。歩き方ひとつで若々しい印象を与えることができるのです。

もちろん逆もしかり。歩き方でやる気のなさや老けたイメージなど、残念な印象を与えてしまうことも...。年齢とともに人の歩き方はどう変化するのか、また美しく若々しく見える歩き方とは? 理学療法士の山口光圀先生にお伺いしました。

「きれいな歩行に大事なことと聞いて、思い浮かべるのは、脚の筋肉の強さとか、膝のしなやかさとか下半身周りだと思うでしょう? 実は、違うんです。
正しく美しい歩行の基本は、上半身。胸椎を自在に動かせるかどうかです。私たちは歩くときに下半身だけを動かしているのではなくて、上半身でバランスを取っています。ウォーキングの要であるこの胸椎がゆがんでいたり固かったりすると、からだのバランスを崩し、歩行が乱れます。

上半身がきれいに動かせない場合、大きな動きができないので、歩幅も狭くなりがちからだ全体を横に揺らすことでバランスを取るので、ガニ股になっていきます。横に揺れ、ガニ股でちょこちょこ歩く...見事な"おばちゃん歩き"の完成です。何もないところで転んだり、歩いている途中に急に止まれず前のめりになる現象は、上半身のゆがみや固さから起きているんですよ」
段差もないところでなぜかカクっ...道でよく見かけますし、身に覚えもあります。あれはエイジングウォーキングの現れだったとは!

美しい歩き方の第一歩、正しい姿勢のつくり方

それでは、上半身をきれいに動かすためにまずやるべきこととは何でしょう?
「正しい姿勢を覚えましょう。いい姿勢っていうと、上のイラストの右の例のようにみんなそろって背中を反らせておなかを突き出しちゃうのですが、そうではなくて、左右前後どこにでも自在に動けるのがいい姿勢。イラスト真ん中のように首が前に出て前かがみになるのもダメ。イラスト左のように、まずはまっすぐ立つ練習から始めてください。

正しい姿勢のつくりかた
ポイントは頭と肩甲骨、おなかと背中の挟み込み。
頭をお辞儀するように軽く前に倒し、肩甲骨は逆に後ろに引きます。
その状態から頭と肩甲骨を挟み込むようにしながら、俗によく言う、"天井から頭をぶら下げられているように"すると、きれいな首のラインができ上がります。
3次はおなか周り。首の状態を保ったままで、おなかをひっこめながら上に持ち上げます。おなかばかりに力が入ると背中が丸まってしまいますから、ちょうど、おなかと背中を近づけるイメージで、挟み込みます。

いかがですか。上半身がまっすぐになるのに連動して、腰の仙骨あたりが反らずに立っていくのが実感できますか? これがマスターできれば、美しい歩き方の基本はOK。足がどうだの、の前にまずは姿勢。基本の姿勢ができれば、歩き姿は格段に素敵になっているはずですよ」

知らない間に身についてしまっている歩き方のクセを直すにも、まずはこのポジションを覚えることが大事。次回はいよいよ...足の動かし方。これができたら、女らしさはアップし、見た目の印象をガラっと変える美しいウォーキングが完成します!

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山口光國
(セラ・ラボ代表/理学療法士)
日本サッカーリーグの日立製作所(現 柏レイソルズ)にFWとして入団。故障から21歳で引退し、現職へ転身。昭和大学藤が丘リハビリテーション病院を経て、'05年より横浜ベイスターズ(現横浜DeNAベイスターズ)にフィジカルコーチとして就任。現在はさまざまなジャンルのアスリートをサポートするほか、全国各地で講演、セミナー活動も行う。

イラスト/190